表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/121

73話 三人でダンジョンへ

 ミラの能力が高性能のアイテム袋と言うことが分かった私達。

 丁度朝食に呼ばれたため、カルロさんとアーシャさんにミラを紹介する。


「そ、そうか……アタシが特別怖かったわけじゃなかったんだな。安心したぜ。改めてアタシはアーシャだ」

「僕はカルロ。ミラちゃん、よろしくね」


 二人は、ミラが魔物だと分かっても温かく迎えてくれる。

 

「ほらミラ、頑張って」

「う……うん……」

 

 ミラの手を繋ぎ、勇気づける私。

 そして。


「は、初めまして、ミラです……よ、よろしくお願いします」


 ミラは挨拶する事に成功。

 人との交流の第一歩を踏み出せたのであった。

 因みに、その様子をアルテナは後ろで腕を組みながら、うんうんと言う感じで見ていた。

 ……少しムカついた。

 そして朝食後、部屋に戻ると。


「よし、じゃあ早速ダンジョン行くわよ!」

「は?」


 アルテナが変な事を言い出した。

 いやいや、何故そうなる。


「アルテナ、ミラの能力が役に立つと言っても、あくまで探索面の話よ? 戦えないんじゃ……」

「あんたは過保護なのよ。出来ない事を補ってこそのパーティじゃない。戦闘面はあたし達が頑張ればいいのよ」


 アルテナのくせに良い事を言う。

 ミラなら荷物を預けるに信用足りえるし、量も気にする事はない。

 ゴーレムと違って、危ない時は逃げたり隠れたり出来る。

 ダンジョン探索においてプラスにしかならないだろう

 あとは本人の意思だが……。


「ミラ、あとはあんた次第よ? あたしも無理強むりじいする気は無いわ。嫌ならはっきり嫌と言いなさい」

「ううん、嫌じゃ無いよ! ミラ、ご主人様達の役に立てるなら頑張る!」

 ミラの答えはもう決まっていた。

 それを聞いて、ドヤ顔をするアルテナ。


「ふ、エレンもこれなら文句言えないでしょう?」

「……はぁ。分かったわ。その代わりミラ、絶対無理はしないでね。危ない時はアルテナを盾にしてでも逃げるのよ」

「そうそう……って何であたしが壁要員なのよ!?」

「今更何文句言ってるのよ? こっちは付き合わされてるんだし、『あたしがいるから大丈夫』とかいつも言ってるじゃない」

「壁になるから大丈夫って意味じゃないわー!」

「え、エレン様! アルテナ様! ケンカしないで!」


 ミラが、私達が喧嘩してると思って仲裁に入ってくる。

 その様子を見て、少しポカンとなる私とアルテナ。


「ミラ、大丈夫よ。私達のいつものやりとりだから」

「そうそう、喧嘩じゃないから安心しなさい」

「そ、そうなの? 良かった」

 

 安心してほっと胸を撫で下ろすミラ。

 それにしても……。


(……いつものやりとり……ねぇ)


 自然と出てきたワードに、内心驚き、妙な感情を覚える私だった。

 

 その後、カルロさん達に再びダンジョンに行く事を伝えた私達は、いつもの様にギルドへの道を歩いていた。

 ミラは本体に収まり、宙を浮きながら私の後ろをついてくる。

 本人曰く、本体の中にいるのが一番落ち着くらしい。

 因みに、出発する前にミラの分身と移動能力について確認をしたところ、次の三つの事が分かった。


 一.本体と分身は地上から数メートルの高さまで宙を飛ぶことができる。

 二.本体と分身は同じく数メートルまでしか離れることが出来ず、離れると分身が維持出来なくなる。

 三.分身は幽霊のように壁をすり抜ける事は出来ない。


 うん、宙を飛び回れるなら戦闘の邪魔にならないよう立ち回ることも出来るだろう。

 まあダンジョンはそれで良いかもしれない。

 問題は……。


「おい、何だあれ? 女の子が箱に入って浮いているぞ」

「よく見ろ、従魔の証がついてるぞ。と言う事は魔物なのか?」

「うう……」

 

 町の住人から注目され怯えてしまうミラ。

 私は、ミラの手を繋ぎ、元気づけながら歩く。


「ミラ、大丈夫よ。私がいるわ」

「うん、ありがとうエレン様」


 心の傷はそう癒えない。

 何とかしてあげられれば良いんだけど……。

 そうしているうちに、ギルドに到着した私達はいつも通りマルタのいる受付に向かう。

 その時。


「エレン様、昨日のウサギのお姉さんのところに行くの?」

「そうだけど、どうかしたの?」

「あのお姉さん……ミラを壊そうとしない?」

「え? ……あ」


 昨日の会話を思い出す。

 マルタがレッサーミミックだったミラを捨てるとか壊すとか言っていたのだ。

 うん、これはまずい。

 早めにミラの事を教えなければ。


「くぉらー!! このクソうさぎー!!!」


 いつも以上に怒りを込めマルタに向かうアルテナ。


「うわぁ!? 朝っぱらからなんですか!? もしかして酔ってますか!? だったら路地裏でならず者にお持ち帰りでもされて来て下さいよ!」

「違うわよ! あんたのせいであたしはミラにポンコツ様って呼ばれる羽目になったんだから!」

「話が見えないですけど事実だし良いじゃないですか! 相棒にもそう思われてますよきっと!」

「事実って何よ!? あとエレンはあたしの従者だから! で、どうなの!?」


 二人揃ってこっちに話を振ってくる。

 面倒臭い。


「はぁ……マルタ、アルテナはポンコツじゃないわ。“戦闘以外”ポンコツなのよ」

「なるほど! じゃあ戦闘以外ポンコツさん、略してポンコツさんとお呼びしますね!」

「結局変わってないじゃないのーー!!」


 さて、開幕のやりとりはこの辺りにして、ミラの事を話すべきだろう。

 

「マルタ、昨日従魔登録をしたレッサーミミックの件なんだけど……」

「はいなんでしょ……ぷっあははははは!!!」


 なんかいきなり笑い出した。

 あ、この流れはやばい。


「マルタ、とりあえず話を……」

「いやだって! 最弱級の魔物レッサーミミックを従魔にするなんて!! 昨日は怒っていたのでスルーしちゃいましたけど、後々考えたらもう……あははははは!! あんな何も出来ない役立たずなんてさっさと捨てた方がいいですよ! 何なら今壊してあげますし!」


 私の言葉を無視して、考えうる限り最悪な言葉を言うマルタ。

 う……間に合わなかった。

 そして、そんな事を言われれば当然……。


「う……う……うわぁぁぁぁん!!!!」


 私の後ろに隠れていたミラがマルタの言葉で泣き出す。

 慌ててミラを抱き寄せ泣き止ませようとするが、

 その鳴き声はギルド中に響き、周りの冒険者の視線を集中させた。


「おい、一体なんだ?」

「見て、女の子がマルタの所で泣いてるわ!」

「何だと!? あのウサギ野郎、とうとう子供にまで手を出しやがったのか!?」

 

 ギルド中から軽蔑の視線がマルタに集中する。

 

「クソうさぎ……あんた、最低ね」

「いや、え!? 何でその女の子が泣き出すんですか!? て言うかその子誰ですか!? お二人の子供ですか!?」


 マルタが混乱して訳わからない事を言っている。

 私はミラを抱いて頭を撫でながら、事情を説明する。


「えっと……つまりあの魔石を吸収して、レッサーミミックが進化したと言うわけですか」

「ええ、そうよ」

「そして進化したレッサーミミックがこの子というわけですね。……て事はつまり……?」

「あなたは小さな女の子のに対して役立たずだから捨てろとか、私が壊して(殺して)あげますとか言ったわけね」

「…………」


 マルタは自分がとてつもなくやばい事を言ったと自覚し、顔面蒼白になる。


「ごごごごめんなさい!! えっとミラちゃんでしたっけ!? さっき言ったたのはえっと……冗談と言いますか……!? とにかく撤回しますから!! ほら!! 仲直りの握手でも……!」

「イヤ!! こっち来ないで!!」

「ぐはぁ!?」


 マルタは必死に謝るも当然拒絶され、受付の机に倒れ込み、そのまま床に崩れ落ちた。

 哀れな最後だった。

 合掌。

 

 ……まあ冗談は置いといて数分後、何とか復活したマルタに、ミラとダンジョンへ行く事を説明する。

 

 「うーん……まあ従魔ですし問題ないですけど……このダンジョンはあなた達が遭遇したトラップ部屋なんて例外を除いて、六階層からがいろんな意味で本番ですよ? ミラちゃん連れて行って大丈夫ですか?」

「ふ、問題ないわ。ミラにもすっごい能力があるんだから」

「ほう? それは一体何ですか? 癒し枠とかですか?」

「そんなわけ無いでしょ。まあ帰った時にでも見せてやるわ」


 後でマルタを驚かせようとしているのだろうか、能力を言わないアルテナ。

 

「ふーん……まあ大丈夫ならいいですけど、ミラちゃんって進化したんですよね? 種族名って分かりますか?」


 種族名……。

 確かにレッサーミミックじゃ無くなったわけだし、一体なんだろう?


「分からないわね……。ミラはわかる?」

「ううん……わからない」 

「ふむ……まあ本人がわからないんじゃしょうがないですね。気になりますし私が調べときましょうか?」


 マルタがとてもありがたい提案をしてくれる。

 ミラの種族名が分かれば、詳しくミラの事が知れるかもしれない。

 

「何よ、クソうさぎの癖に気が効くじゃない」

「頭空っぽなポンコツさんと違って、私は気になりますからね!」

「誰が空っぽよ!?」

「はいはい、じゃあマルタ、よろしくね」

「分かりました! ポンコツさんはしっかりと、ミラちゃんの肉盾になって下さいね!」

「ちょっと!? 何でどいつもこいつもあたしを壁要員にするのよ!?」

「適任だからでしょ? さっさと行くわよ」


 マルタとの話を終えると、私達はダンジョンへ向かう。

 そして入り口である転移の部屋に行った所で、手を繋いでいるミラから震えが伝わってくる。


「ミラ、本当に大丈夫? 今ならまだ間に合うわよ?」

「ううん、ミラ、ご主人様達の力になれるよう頑張る!」

「ふっふっふ、よく言ったわミラ! よーし、初の三人パーティ、張り切って行くわよ!」


 そう言って拳を上げるアルテナ。

 ミラが仲間に加わったのが嬉しいのだろう。

 いつも以上のはしゃぎっぷりだ。

 そして転移陣に乗って五階層に移動。

 すぐ近くに六階層に続く階段があるので降りて行く。


「そういやエレン? アーシャやクソうさぎが、このダンジョンは六階層からが本番とか言ってたけど、どういう事?」


 階段を降りてる途中、アルテナが今更な事を聞いてくる。


「はぁ……行きたがってる本人が把握してないって……まあすぐに分かるわ」

「それってどういう……」 


 その時、急に浮遊感に包まれ、視界が暗転する。

 転移の時に起きる現象だ。

 そして、転移した先で私達の目に広がったのは、見慣れたダンジョンの迷宮ではなく、青い空と見渡す限りの平原だった。


「え? これって……」

「言っておくけど外じゃないわよ。このダンジョンの六〜十階層は、平原エリアなのよ」


 今までと違い解放感のある階層だ。

 さて、何が待ってるやら……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ