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72話 ミラの決意と能力

累計PV3000

ユニークアクセス1000

ポイント100越え行きましたー。

読んでくださった皆さん本当にありがとうございます

 魔石を吸収して進化したレッサーミミックに、ミラと言う名前をつけた私とアルテナ。

 その時、部屋の外から誰かの怒った声が聞こえてくる。


「おい、エレン、アルテナ! 朝から騒がしいぞ!」


 扉を勢い良く開けて入って来たのは、エプロン姿をしたアーシャさんだった。

 おまけにお玉を右手に持っている。

 どうやら朝食の準備をしていたらしい。

 


「アーシャさんごめんなさい。ちょっと事情があって……」

「てか、あんたエプロン姿似合ってないわね」

「大きなお世話だ! ってお前が抱いてる子供は誰だ? どっから入って来た?」


 アルテナと同じような反応をするアーシャさん。

 とりあえずミラの事を説明する。


「ふーん……おかしな事もあるもんだな。まあそう言う事ならいっか」

「……あんた、随分軽いわね」


 あまりに素っ気ない返事にアルテナも呆れてしまう。


「難しい事を考えるのは苦手だからな。そう言うのはいつもカルロに任せてる。まあよろしくなミラ」

「ひぃ……!」


 アーシャさんがそう言ってミラに近づくと、急に本体(箱)の中に逃げ、蓋を閉めてしまう。

 

「ミラ、どうしたの?」

「……こ、怖い……!」

「なぁ!?」


 カランッとお玉を落とす音が鳴り、アーシャさんは床に崩れ落ちた。

 魔物とはいえ、小さな少女に怖いと言われた事で、かなりのダメージを負ったようだ。


「ぷっ、あはははは! 確かに怖いかもねぇ〜」


 アルテナが揶揄からかうように言うと、アーシャさんが復活する。


「何だとアルテナ!? エレン、アタシは怖くねぇよな!?」

「ええ、もち……えっと……」

「何で言い淀むんだ!?」

「ごめんなさい、最初に会った時を思い出して……」

「うぐっ!?」


 問答無用で殴りかかった時の事を指摘されたアーシャさんは、再び崩れ落ち、「アタシは怖くねぇ……アタシは怖くねぇ……」と呟きながら部屋を出ていった。

 アーシャさんの精神状態は大丈夫だろうか? いや、それよりミラの異常な怖がり方が気になる。


「……もういない……?」


 ゆっくりと蓋を開け、顔を覗かせるミラ。


「ミラ、どうしてアーシャさんをあんなに怖がったの?」

「……虐めてくるんじゃ無いかと思って……」

「虐める?」

「うん……ミラ、何もしてないのに、今まで会った人、みんなミラを虐めた……。壊されそうになった事もあった……。エレン様とアルテナ様だけだった……ミラを助けてくれたの……」

「ミラ……」


 最初に会った時、冒険者二人に虐め殺されそうになっていたが、あれが初めてではなかったのだろう。

 冒険者側の気持ちもわからなくは無い。

 宝箱かと思ったら何も入っていない空箱だったのだから。

 怒りや喪失感で何かに当たりたくなる事もあるだろう。

 そして、ミラはずっとそれを受け続けて来たのだ。

 だからこそ、助けられたことがミラにとって衝撃だったのだ。

 私とアルテナに仕えるなんて考えになるくらいに。


 私は蓋を開け、ミラを抱きしめた。


「エレン様……」

「今まで辛かったのね……でも、もう大丈夫よ。ここにはあなたを虐める人なんていないから。何かあったら守ってあげるから。ね、アルテナ?」

「ふ、当然じゃない。従者を守るのも主人の責務よ。ミラ、あんたを虐める奴はあたし達が全部叩き潰してやるわ、安心してあたしに仕えなさい」

「アルテナ様……う……うぅ……」


 腕の中で再び泣くミラの頭を、私は優しく撫でる。

 こぼれ落ちたミラの涙はポタポタと床に落ちると、キラキラとした光となって消えていく。

 母性本能というものかもしれないが、この子は絶対守らなければと私は思った。


「じゃあアルテナ、ダンジョン攻略は諦めてルベライトに帰りましょう」

「そうね、じゃあアーシャとカルロにその事を話にってちょっと待てーー!!」


 自然にダンジョンを諦める流れになってた事に気づき、思わずノリツッコミをするアルテナ。


「何が不満なの? ミラをあんな危険な場所に連れて行けるわけないじゃない」

「昨日も話したけど、その事についてあたしは納得してないわよ! まさかあんた、ミラをダシにしてあたしにダンジョンを諦めさせようとか思ってるんじゃ……」

「それ以前の問題でしょう? アルテナ、あなたはこんな臆病な子を無理矢理ダンジョンに連れてく、もしくは留守番させるつもり? ミラの顔を見ながらそんな事言えるの?」

「そ、それは……でも……うぐぐ」


 アルテナが困り果てる。

 昨日も同じ言い争いをしたが、ミラが小さな少女になった事で、余計に強く主張できなくなったようだ。

 だが、意外にも困っているのはアルテナだけではなかった。


「え、エレン様……。アルテナ様……。喧嘩はやめて……! ミラ、ダンジョン行く!」

「「え!?」」


 ミラは意を決したかのようにそう言い、私とアルテナは驚き、困惑する。


「ミラ、無理しなくていいのよ? 行きたくないならそう言って……」

「ううん、ミラ、ダンジョン行く! ミラのせいで、ご主人様達が喧嘩するの見たくない!」


 そうは言うが、ミラの分身も本体も少し震えている。

 勇気を奮い出して言ったのだろう。

 だが、そんな健気な姿を見せられても、ミラが何も出来ないと言う現実は……ん?


「ミラ、ちょっと視るわよ」

「え?」


 私は探知魔法を発動する。

 すると……。


「っ!? これって!?」


 ミラの分身と本体には、下手すればアルテナに匹敵するんじゃないかと言う魔力が宿っていた。

 やっぱり。

 あの魔石を吸収して、分身を作れるようになっただけと言うのはおかしいと思った。

 この事実をアルテナに話すと、急にテンションが上がり始める。


「ミラ、凄いじゃないの! それならダンジョンで活躍できるんじゃない!?」

「えっと……よくわからない」

「ミラ、分身以外に何かできるようになった事ってある?」


 ミラは少し考えた様子を見せた後、私の問いに答える。


「えっと……中(本体)にいっぱい入るようになったよ。後、出せるようになった。こんな風に、えい!」


 ミラが真っ直ぐに手をかざすと、その手から一条ひとすじの光が発射される。

 すると、空中で光が形を模していき、鍋が出現した。


「え、鍋?」

「うん、昨日アルテナ様が私に入れたやつだよ」

「あ、そういえばついでに荷物を入れたアイテム袋も、あたしミラの中に入れてわね」

「あなた、荷物まで入れてたのね……と言う事は、ミラの能力はアイテム袋みたいな力って事?」


 ミラにこの力を詳しく聞くと、中に入れたものを自在に出し入れすることが出来るそうだ。

 つまり、生きたアイテム袋という事になる。


「これは便利ね……でも、どれだけ入るの?」

「まだまだいっぱい入るよ。えっと……昨日人がいっぱいいた建物も簡単に入ると思う」

「え?」


 あの公民館のようにでかい冒険者ギルドも?

 しかも簡単に?

 けれど、たとえ入ったとしてもそんな重量……いや、もしかしたら。


「ミラ、ちょっと本体を持ち上げていい?」

「え? いいよ」


 許可が出たので、私はミラの本体を持ち上げる。

 ……普通に持ち上がった。

 まだ荷物が入っているはずなのに……昨日持った時と同じくらいの重さしか感じられない……。

 その事実が判明し、アルテナはミラを抱き上げ、クルクルと回転しながらはしゃぎだす。


「よくやったわミラ! あたしが欲しかった最高の能力よ!」

「あ、アルテナ様〜〜!? 嬉しいけど目が回るよ〜〜!?」

「はぁ……とんでもない事になったわね」


 アルテナが欲しがっていた大量に物が入り、重さも感じないアイテム袋の能力を持っていたミラ。

 しかし、ミラの能力はこれだけじゃない事を、この後、私たちは知る事になる。

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