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6 エレン、アルテナを言いくるめる

 私は今ゴブリンに襲撃された馬車に乗っている。あの後何故か一緒に街まで行こうと提案されたのだ。あまり気乗りはしなかったのだけどとてつもない後ろめたさがあって断れなかった。


「エレン様、先程はゴブリンより救っていただき本当にありがとうございました」

「い、いえ……礼を言われる事は何も……むしろすいません……」


 綺麗な水色の髪をした少女に笑顔でお礼を言われる。だけど彼女の頭はアルテナのせいで禿げていてすごく気まずかった。


(どうすればいいの……笑顔が逆に怖いわ……それに……)


 実は私が気まずかったのはそれだけじゃない。屋根が無いため直接太陽の光が差さっているのだが、そのせいで少女の頭が光っていてものすごく面白い絵になってしまっていた。たとえていうなら河童である。

「あの?どうして目を逸らされているのです?」

「いえ、別に何でも……」(耐えるのよ私……ここで笑ったらさらに気まずくなるわ……!)


 そんな私の様子を察したのかわからないが、馬車の外で歩いていた女性騎士が助け舟を出してくれる。


「あの……お嬢様、そろそろ頭の方を隠されたほうがよろしいかと。私たちは良くとも知らない方が見られたら驚かれるかもしれません。」

「あら、確かにそうですわね。これでよろしいかしら?」


 少女はハンカチを取り出すと頭に乗せ結んだ。出来るならもっと早く隠して欲しいと思ったのだけれど魔物に襲われたショックや出立の準備などでそれどころじゃなかったのかもしれない。 私は何も言わない事にした。


「そういえばまだ自己紹介をしておりませんでしたわね。私はマリン・クリスと申します。マリンとお呼びください。そしてこちらが私の騎士である……」

「コーラルといいます。エレン殿、どうかお見知り置きください。」

「エレンです。よろしくお願いします。あっちのバカはアルテナです」

「誰がバカよ!!ハァ……ハァ……」


 実を言うと今馬車はアルテナが引いている。ゴブリン襲撃のせいで馬が怪我をしてしまったため馬車を引くことが出来なくなっていた。なのでコーラルが馬を引き、アルテナが馬車を引くと言う役割分担になっていたのである。


「そもそも助けたのはあたしでしょ!なんで私が馬車を引かなきゃならないのよ!」


「私に引けるわけないじゃない」

「申し訳ありません私には……」

「あなたに馬は任せられません」

「全員即答!?」


 私たちに一蹴されるアルテナ。でもそれで引き下がるわけがない。


「いーや納得いかないわ! そもそもエレン! あんたは私の従者なんだからせめてこっち来て手伝いなさい!」

「……そういえばそんな設定あったわね」

「設定言うな!」


 (このままだと力づくで手伝わされかねないわね……。しょうがない)

 そう思った私は馬車を降りアルテナに駆け寄った。


「何よ、やっと手伝う気になったのね」

「そんなわけないでしょう」

「はぁ?」


 私はアルテナの両肩を掴み話し始める。


「いいアルテナ、ここで活躍しないでどうするのよ。あなたは異世界冒険を楽しみに来たんでしょう? わざわざチートまで用意して。それなのにサボってどうするのよ」

「いや、それと馬車を引くのとは違わない?」

「違わないわ。そもそもチートっていうのは楽をするためじゃないのよ。異世界での様々な困難を乗り越えるための力なの。異世界物の主人公がチートで楽するだけの物語なんて面白くないでしょう?」

「ま、まあ言われてみれば確かに……」

「アルテナ、これはあなたの冒険の第一歩よ。ここで逃げたら確実にあなたの旅は中途半端になるわ。困難に立ち向かいそれを乗り越えるの!」


 私の言葉が終わるとアルテナの目に火が灯りそして激しく燃え盛った。


「確かにその通りよ! ありがとうエレン! 危うく道を踏み外すところだったわ。さあ行くわよ!この先にあたしの冒険が待っているわ!」


 アルテナがやる気を出したところで私は馬車に戻る。


「エレン殿……アルテナ殿の雰囲気が変わりましたが一体何をしたのですか?」

「いえ、何も……」(チョロくて助かったわ)


 え? 結局お前が楽したいだけだろうって?

 そうだけど何か悪い?

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