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45 戦闘民族? との遭遇

ヴェインの南西にある静かな商店街、カルロさんの店はそこにあった。

 二階建てで一階部分が店、一階奥と二階が居住スペースになっているらしい。

 

「ここがおっさんの店? 結構ちゃんとした所じゃない」

「はは……お二人は少し待っててもらえませんか? 妻に事情を説明して来ますので」

「何でよ? 一緒に入っちゃダメなの?」

「妻が変な誤解をしないとも限らないので……」


 カルロさんの奥さんはどんな人なのだろう?

 少し気になってきた。


「カルロさん、荷馬車はどうすればいいの?」

「店の裏に馬車を置く小屋がありますのでそこに運んでもらえますか?」

「分かったわ」


 カルロさんが店に入った後、私とアルテナは店の裏に回って荷馬車を置く小屋を見つけた。

 もう日が暮れ真っ暗だったので、私はランプをつけ、アルテナゴーレムを操り荷馬車を中に入れる。

 

「よし、これでいいわね」


 役目を終えたアルテナゴーレムを私は消す。


「終わった? じゃあさっさと戻……」

「おいおい、誰だお前達?」


 声をかけられ私とアルテナが振り向くと、一人の女性が入り口に立っていた。

 高身長で燃えるような赤い髪をしている。


「あなたは?」

「質問に質問で返すなと親に教わらなかったのかい?」


 正論で返されてしまった。

 聞かれた通り自己紹介をするべきだろう。


「私は……」

「ふ、あたしはアルテナ、こっちは従者のエレン。凄腕の冒険者よ!」


 私の言葉を遮ってアルテナが答える。

 

「アタシはアーシャだ。冒険者? なるほどね。つまりアンタらは、ウチに盗みに来たって事か」

「「え?」」


 私とアルテナの声が被る。

 いや、何でそういう結論に? 確かに知らない人からすれば不審者に見えるかもしれないが、いきなりその結論に行き着くのはおかしい。

 というかこの人はもしかして……?


「あの、あなたはカルロさんの……」

「問答無用!!」


 アーシャさんは地面を蹴って素早く殴りかかってくる。

 すかさず『マジックシールド』を張ろうと身構えるが、その拳はアルテナの手によって受け止められる。


「いきなり何すんのよあんた!?」

「ほう、アタイの拳を止めるなんてやるじゃないか。だがこれはどうかな!?」


 アーシャさんは回し蹴りをすかさず放ってくる。アルテナはそれを避けるが、アーシャさんはさらに拳と蹴りを混ぜ合わせた攻撃をアルテナに叩き込む。


「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!」


 有名漫画の主人公の様な声を出しながらひたすらアルテナを攻撃する。

 アーシャさんの攻撃は目で追うことも出来ないほど素早く、そして力強い。

 道中で会った山賊のボスだったらあっさりサンドバックになっていただろう。

 だが、アルテナはその全ての攻撃を躱していた。


「クソ! 何で当たらねぇ!?」

「ほら、そこガラ空きよ!」


 アルテナが蹴りをアーシャさんの腹に入れる。


「ガハッ!?」


 蹴りを受けたアーシャさんは地面を蹴りアルテナと距離を取る。


「ヘっやるじゃねぇか……」

「あんたもやるじゃない。ま、あたしには敵わないけどね」


 アルテナがドヤ顔でマウントをとる。


「言ってくれるじゃねぇか……ならあたしのとっておき見せてやるよ、ハァァァァァァァ!!」


 アーシャさんの拳が光り出し、もの凄い圧が伝わってくる。

 あれは気? いや、魔力だろうか?

 どっちにしろ、次の攻撃は確実にやばい……!

「ふ、ならあたしも! 炎よ、我が手に宿りて敵を討て!」


 アルテナの拳に激しい炎が燃え盛る。

 邪眼で動きを封じればいいのに、アルテナは真正面から迎え撃つつもりらしい。

 私は荷馬車の陰に急いで隠れる。


「うぉらぁ! 喰らいやがれぇ!!」

「来なさい! 『ブレイズナックル!』」


 ドォォォォン!!


 二人の拳が激突し、小屋の中で爆発が巻き起こる。

 爆発が収まった後荷馬車の陰から出ると、そこには地面に大の字になって倒れているアーシャさんと、体についた埃を振り払っているアルテナがいた。

 どうやら圧勝した様だ。


「あーっはっはっはっは! あたしの勝ちね!」

「アルテナ、大丈夫?」

「ふ、あたしにかかればこの程度問題ないわ」

「いや、心配してるのはアーシャさんの方だけど」

「あたしの事も少しは心配しな……」

「はーっはっはっは! やるじゃないか!」


 突如アーシャさんが笑いながら立ち上がる。


「あんた、まさかまだやるっていうの?」

「当たり前だろ! 久しぶりだぜぇ! こんなにワクワクして来たのはなぁ!」


 何というか、どこかの戦闘民族の様だ。


「無理すんじゃないわよ。あんた、体ボロボロじゃない」

「ハッ! こんな傷……フン!」

「ええ……」


 アーシャさんが気合を入れると体が光に包まれる。

 するとどんどん傷が回復していく。

 いや、戦い好きで回復可能とか面倒くさすぎる!

 

「こっからが本番だ! さあ、第二ラウンド始めようか!」

「ふ、気の済むまで相手してやるわ!」

「いやいやいや、二人ともちょっと待ちなさい!」


 拳を鳴らしながら二人が戦闘を再開しようとするので、私は慌てて間に入って止める。

 

「おい、邪魔すんじゃねぇよ!」

「邪魔するわよ。このままだと収拾がつかないじゃない」


 私は気になってた事をアーシャさんに訊いてみる。


「アーシャさん、あなたはカルロさんの奥さんよね?」


 カルロさんの名前を出すと、アーシャさんは表情を変える。


「アンタ、ウチの旦那を知ってるのか?」

「知ってるも何も……」

「エレンさん、アルテナさん、大丈夫ですか!?」


 カルロさんが血相を変えて入り口から現れる。


「カルロ! 帰って来てたのかい!? というかコイツらと知り合いなのか?」

「この人達は私の命の恩人だ!」

「へ?」


 アーシャさんに、カルロさんが事情を説明する。

 話を聞き終わったアーシャさんは私達の方を見ると……


「大変申し訳ありませんでしたーー!!」


 ……と華麗なジャンピング土下座をしながら謝ってきた。

 意外に律儀な人である。


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