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163話 みんなで脱出

 ダンジョンを制覇し、無事ダンジョンコアを手に入れた私とアルテナ。

 ミラとマルタの二人と合流するため来た道を戻っていた。


「まさかバカドクロが蘇ったなんて……」


 道中アルテナから話を聞いた時は驚いた。

 なんてしぶとい奴だ。

 ミラとマルタなら大丈夫だと思うが、少し心配だ。


「エレン、魔物の気配は?」


 ゴーレムに担がれたアルテナが聞いてくる。


「それが……探知魔法で探ってるんだけど、一匹も引っかからないのよ」


 来るときは廊下を埋め尽くすくらいの数がいたのに。

 窓の外を見ても、空にあれだけうようよいたレイスも姿を消していた。

 

「もしかしたら……ダンジョンを制覇したことで、魔物の魂が解放されたのかもね」


 十分あり得る話だと思っていると、廊下の先からカキィン……と何かの金属音が聞こえてくる。

 探知魔法で確認する。

 ミラとマルタの反応だ。

 しかし、もう一匹何かがいる。

 

「アルテナ、ちょっと先に行って確認してくるわ。ここで待ってて」

「ちょっと!? せめてゴーレムから降ろしなさーい!」


 アルテナの言葉をスルーし、廊下の先にある階段を下りる。

 すると、そこにはバカドクロと対峙したマルタと、それを見守るミラがいた。


「ミラ、マルタ!」

「あ! エレン様ー!」


 ミラが満面の笑みで抱きついてくる。


「エレンさんですか!?」

『あー!! 貴様は人でなしの女!!』

「誰が人でなしよ」


 敵とはいえひどい言い草だ。


「エレン様、アルテナ様は? ダンジョンコアは?」

「安心して、アルテナは無事だし、コアも手に入れたわ」

「本当!? やったー!!」


 ミラがバンザイして喜ぶ。


「やったんですね! セクハラ骸骨が弱体化したのでそうだと思ってました!」

『うぐぐ……』


 アルテナから聞いた話では、ソウルオーラという死者の魂を纏っていたらしいが、今のバカドクロにはそれがない。

 召喚していたという部下もいない。


「なるほど、ダンジョンから魔物の魂が解放されて、操る魂がなくなったってわけね」

「そういうことです! さあセクハラ骸骨さん、今の気持ちはどうですか? 裸の王様って感じですか? あ、もう部下もいないですし王様じゃなくて、裸の骨。つまりただの骨ですね、プップップ」

『お、おのれ貴様らー!!!』


 この状況とマルタの煽りでやけくそになったのか、バカドクロがマルタに大剣を振りかざし襲い掛かる。


『せめて最後にパンツ見せろー!!』

「ふ、あたしのパンツを見ようなんて不可能ですよ! とっとと消えてください!」


 バカドクロがやたらめったらに大剣を振りまくる。

 マルタはそれを冷静に躱していく。


「そんな攻撃怖くもなんともないですよ!」


 攻撃を躱しきったマルタは、首を狙い刀を振る。


『バカめ! かかったな!』


 バカドクロは刀が届く前に自ら頭を体から分離し、マルタの攻撃を躱す。


「え!?」

『今だ! パンツ見せろーー!!!』


 その直後、バカドクロの頭が襲い掛かり、マルタの(はかま)を引きちぎる。


「うわぁ!?」


 袴を引きちぎられバランスを崩したマルタは、床に尻餅をつく。


『さあ! お前のパンツの色は何色……だ……』

「あ……」


 その瞬間、時が止まったかのように場が凍り付いた。

 下着の色は……無色。

 いや……そもそもマルタは”履いてなかった”!

 確かに……これじゃあパンツを見るのは不可能だ。


『ぱ、パンツが……ない……』

「う……うあぁーーー!!!! 何してくれてんですかこのドスケベ変態セクハラ骸骨がーーー!!!」

『ぎゃぁぁぁ!!』


 マルタによってバカドクロの頭が、小さい破片になるまでばらばらに斬り刻まれる。

 

『ぱ……パンツを……見たかっ……た……』


 そう言いながら、バカドクロは青白い炎を出して消滅する。


「こぉらー!! まだ斬り足りねぇですよー! 戻ってきやがれですー!!」

「……エレン様。なんでマルタお姉ちゃん、パンツ履いてないの……?」

「えっと……それは……その……」

「エレンさん!? その変態を見る目は止めてください!! 戦闘用に動きやすさを重視しただけですから!! いつもは履いてますからー!!」


 ……その後、マルタはスペアの袴を履いて事なきを得た。

 それにしてもバカドクロ……最後までパンツって……、ブレない奴だったわね……。

 黙祷。



 マルタが落ち着いた後、この事件は闇に葬る事となった。

 そして、上で待機させていたアルテナとアルテナゴーレムを呼ぶ。


「アルテナ様ー!!」


 ゴーレムから降りたアルテナにミラは笑顔で”思いっきり”抱き着く。


「うぎゃぁぁぁぁ!?」


 骨がボキボキいってる音がするけどまあ気のせいだろう。

 一応ヒールをかけておく。

 

「はぁ……はぁ……。まあ、無事ダンジョンを制覇してきたわ。エレン、ダンジョンコアを出しなさい」


 アルテナに言われ、アイテム袋からダンジョンコアを取り出し二人に見せる。


「……とっても綺麗……! ミラ、持っていい?」

「ええ。でも食べちゃだめよ」

「わーい♪」


 ミラがダンジョンコアを持ってはしゃぎだす。

 なにせ、黄金に光り輝くオーブだ。

 お宝好きのミラが興奮するのも無理はない。


「あれがダンジョンコアですか……直接触れなくてもわかるくらい、とんでもない力を秘めてますね……。それはそうと、どうしてエレンさんがここにいるんですか? 町へ戻ったんじゃ? ダヴィドはどうなったんですか?」

「実は……」


 私がユニークスキルを使えるようになった事を伏せ、何があったかを説明する。

 

「そんなことがあったんですね……。影の世界に封印……ですか」

「マルタ……ごめんなさい」

「なに謝ってるんですか? あいつには仲間を殺された恨みがありますし、確かに一発ぶん殴ってやりたいとは思ってましたけど、捕縛を選んで後々逃げられたら元も子もないですしね。エレンさんのとった手段は正しいと思いますよ。だからそんな顔しないでください。むしろ……仇をとってくれて……本当にありがとうございます」


 マルタは深々と頭を下げる。

 顔を上げると、マルタは晴れたような笑顔と涙が浮かんでいた。

 

「マルタ……」

「それに、たとえダヴィドの妨害がなくても全滅してたかもしれませんし……あれを見る限り」


 マルタはそう言って、荷車に乗せて運んだネクロザルムの頭部を見る。


「クックック。驚いたかしら?」

「一応聞きますが、この禍々しい骨の頭はなんですか?」

「ダンジョンコアを守っていた守護(ガーディアン)魔物(モンスター)。不死のドラゴン、ネクロザルムの頭よ」

「いや、不死の竜を単騎討伐ってどういう事ですか!?」

「竜じゃなくてドラゴンよ!」

「そこはどうでもいいです! 竜種はAランク冒険者パーティーですら、討伐は困難だと言われてるんですよ!? それを一人でって、アルテナさんガチで何者なんですか!?」

「ふ、あたしに不可能なんてないわ」

「うぐぐ……やれやれ、こんな結果出されたら何も言えないじゃないですか。お疲れ様ですアルテナさん」

「あんたもね、マルタ」


 そういって二人は微笑みながら握手を交わす。

 

「さて、話はここまでにして、早くダンジョンを出ましょう」


 手をパンパンっと叩き、みんなに脱出を促す。

 とりあえずミラにネクロザルムの頭部、ダンジョンコア、クリスタルや魔石を入れたアイテム袋(実はかなり重かった)を収納してもらう。

 よし、これであとは戻るだけだ。


「ねぇエレン? 魔物もいないし、ダンジョンをちょっと探索していかない?」

「あ、お宝があるならミラも探索したーい!」


 冒険好きな二人が寄り道を提案する。

 

「いやいや、なに言ってるのよ? みんな疲れたでしょう? 探索してる余裕なんてないわ」

「そうですよ。それにダンジョン制覇後の探索はお勧めできません」

「は? なんでよ?」

「ダンジョンコアが失われたダンジョンは、少しずつ崩壊していくんです。万が一巻き込まれたら洒落にならないですよ」

「え?」


 なんか不吉なワードが飛び出た。


「マルタ、その崩壊っていつから始まるの?」

「ああ、安心してください。一日くらい猶予はあるはずですから心配はいらな……」


 その時、ある意味ベストなタイミングでゴゴゴゴゴ……! と古城が揺れ、壁が崩れ始める。


「……マルタ?」

「……お姉ちゃん?」

「……ちょっと、くそウサギ?」

「いやいやいや!? なんでですか!? いくらなんでも早すぎますって!? は……? もしかして、魔物の暴走(スタンピード)でコアが暴走したせいで……不安定になってたんですかね……?」

「冷静に判断してる場合じゃないわ! とにかく逃げるわよ!」


 天井が落ち、床が裂け崩れていく中を必死に走り出す。


「お、お城が崩れるよー!?」

「ああもう、なんで最後までこうなるのよ!?」


 その後、ドカァァン!! と崩壊する古城を背に、私たちはダンジョンから脱出したのだった。

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