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119話 真の〇〇〇〇爆誕する

倒したはずのバカドクロの声が聞こえ魔導銃を抜きながら振り向くと、青い炎が目に灯った白い頭蓋骨が浮いていた。

 

「本体が再生した……って訳じゃなさそうね。それも分身かしら?」

『カッカッカ、その通りだ。……だが、残った僅かな魔力を使って話しているに過ぎん。貴様に危害を加えるどころか、あと数分もしないうちに消滅するだろう』


 確かに弱々しい魔力しか感じない。

 バカドクロの言ってる事は本当のようだ。

 

「それじゃあ、一体なんのために現れたの?」

『どうしても言いたい事があるからだ。貴様一人しかいないがまあいい』


 すぅっと息を吸うような動作を見せる。

 そして。


『……貴様一体なにを考えているんだ!? 最終決戦だぞ!? めちゃくちゃ盛り上がるところだぞ!? それをあんな不意打ちで終わらせおってからに!! というか名前くらい名乗らせろ! 色々仕掛けだって用意してたんだぞ! 侵入者撃退用ゴーレムを棺に設置してたり、幻を見せる煙が噴き出したり! 上からタライが落ちてきたり! それを一つも披露する間もなく終わってしまったではないか! 我の苦労を返せ! ワクワクを返せ! そして全裸見せろウボァ!?』

「知るか」


 とりあえず撃ち抜いておく。

 全くくだらない。


『撃つのはやめろ〜……もう再生する力もないんだぞ〜……』


 半壊した状態で戻って来る。

 案外しぶとい。


「まあその言い分も一理あるわね。けれど、あなたは大事な事を一つ忘れているわ」

『大事な事だと……!? それは一体……?』

「……この世は“勝てばよかろう”なのよ」

『人でなしか貴様は!?』 


 酷い言われようだ。

 敵に容赦しないなんて当たり前だっていうのに。


『く……せっかくピラミッドの主人として生まれたのに……一人も侵入者を始末できずに終わるとは……口惜しや〜……』

「なにを言ってるのよ? 最初から私達を始末する気なんて無かったくせに」

『……!?』


 バカドクロが確信をつかれたかのような反応をする。

 私の予想は正しかったらしい。


『……何故わかった?』

「そんなの誰でも分かるわよ」


 試練の内容だけでも察せるが、そもそもバカドクロの魔力はく見えた。

 私の探知魔法は相手に敵意があるかどうかで見える色が変わる。

 青はなし、黄色は警戒、赤は敵意ありと言った感じに。


「結局何が目的だったのよあなた?」

『……』


 少しの沈黙の後、バカドクロが口を開く。


『ふん、最終的には始末つもりだった。だがすぐに終わってしまってはつまらんだろう。我はこのピラミッドの主人だが、侵入した者を撃退するという目的のためダンジョンに生み出された存在にすぎん。我の意思ではそれには逆らえんのだ。だったら少しでも侵入者を仕掛けで翻弄して楽しみたいと思っても仕方ないだろうが。まあ、その結果倒されては本末転倒だがな』

「……なるほどね」


 ダンジョンに生み出された魔物の宿命とも言えるが、バカドクロもかなり思うところがあったらしい。


『何より……女性の侵入者を屈服させ、命令すればいつでもスカートたくし上げどころか全裸も見せてくれるハーレムを作るという我の夢を叶えたかったのだウボァ!?』

「少しでも同情した私がバカだったわ」


 魔導銃で今度は全壊させた。

 もう戻って来ることはないだろう。

 

「さて、二人を追いかけ……」

『ちょっと待て〜……』

「えー……」


 今にも消えそうだが今度は小さな青い炎だけで戻ってきた。

 呆れて思わずため息をつく。

 

「早く消えなさいよ」

『まだ言ってない事が一つあるのだ〜』

「なんなのよ?」」

『宝物庫の財宝だが……真ん中の宝箱にヤバいものが入っているから気を付けろ……」

「あ、そう……え?」

「ギャァァァァァァ!?」


 その時、下の宝物庫からアルテナの悲鳴が聞こえる。

 

「バカドクロ! 一体ヤバいものって何が……っていない!?」


 一瞬階段の方を振り向いた隙にもうバカドクロはいなくなっていた。


「なんでこのタイミングで消滅するのよ!」


 だが、こうなってしまったらしょうがない。

 素早く階段を降りて二人の元へ急ぐ。


「アルテナ! 一体何があったの!?」

「エレン様! アルテナ様が!」

  

 階段を降りると、ミラが涙目になりながら抱きついて来る。

 辺りを見渡すと、部屋を埋め尽くす金銀財宝。

 そして、その中央に存在する豪華な宝箱の前でアルテナがうずくまっているのを見つけた。


「ミラ! 何があったの!?」

「アルテナ様が……真ん中にあった宝箱を開けたら、急に苦しみだしたの!」


 バカドクロが言っていたヤバいものに触れてしまったらしい。

 とにかくアルテナの状況を確認しないと。


「アルテナ! 大丈夫!?」

「も、問題ないわ……もう平気よ」


 そう言ってアルテナが振り返りながら立ち上がると、右目にドス黒い魔力を帯びた何かが付いていた。


「アルテナ……その目についてる物ってモノクル?」

「そうみたいね、宝箱を開けたらこいつが急に張り付いてきたのよ。それよりも……なんか体の力が……」


 力が抜けたかのようにフラフラと倒れ込むアルテナをミラが支える。


「どうしたのアルテナ様?」

「なんか力が入らないのよ……魔法も使えないし……もうなんなのよこれー!?」

「え……?」


 それってつまり戦えないという事だろうか?

 戦う事ができないアルテナ……つまり……。


「アルテナ……」


 笑顔でアルテナの肩に手を乗せる。


「な、なによ?」

「おめでとう。今日からあなたは、のポンコツよ」

「ふざけてる場合かーー!!!」


 アルテナのツッコミがピラミッドを木霊するのだった。


まだ話数は少ないですが、最近書き始めた『健康な生活を送ろうとしたら魔王軍四天王になっちゃった!?』もよろしくお願いします

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