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118話 バカドクロとの決戦(笑)

『お前ら引き返せ! 今ならまだ間に合うぞ!』

「邪魔すんじゃないわよエロ骸骨!」

『ギャァ!?』


 バカドクロ本体の元への隠し通路を見つけた私達。

 バカドクロがアルテナの髪を引っ張り妨害しようとするが、あっさり捕まって壁に叩きつけられていた。

 

「いい加減諦めなさいよ。私達みんなあなたを倒したくてウズウズしてるんだから」

『なんだと!? 我が一体何をしたと言うんだ!?』

「あたしのロマンをぶっ壊した!」

「ミミックのみんなを傷つけた!」

「私の黒歴史を作った。そもそもあなた敵でしょう」

『グォオ!?』


 普通に論破され地面に落ちるバカドクロを無視して通路を進んでいくと、開けた場所に黄金のドクロが彫られた両開きのドアに辿り着く。

 またドクロとは……ワンパターンだ。


「この先かしらね……」

「エロ骸骨どうなのよ? ……ってエレン あいつがいないわよ?」


 アルテナの言う通り騒がしかった骸骨の姿はなく、操っていた魔力の繋がりも無くなっていた。

 恐らくもう無駄だと判断したのだろう。

 この先にいることは間違いなさそうだ。


「アルテナ、ミラ。多分この扉の先にバカドクロの本体がいるはずよ。準備はいい?」

「うん、ミラは大丈夫。早くミミックのみんなを助けたい!」

「いつでも出来てるわよ! さっさとあいつに痛い目見せようじゃない!」

「分かったわ、じゃあ二人とも、耳を貸して頂戴」

「「え?」」


 バカドクロが聞いてるかもしれないので、私が考えた“作戦”を二人に耳打ちで伝える。


(いい、私が合図したら…………分かったわね)

(うん、分かったエレン様)

(ちょっと、本気でやるの?)

(当たり前よ)


 アルテナはちょっと乗り気じゃなさそうだが、なんとか納得させる。

 作戦会議を終え、それぞれ武器を手に取りアルテナがドクロの扉をゆっくりと開けていく。

 だが、その扉の先は一切の光がない闇で包まれていた。 

「ちょっと、ここ松明ついてないの?」

「真っ暗で何も見えないよ?」

「二人とも、離れないで今、光魔法で……」

 

 光魔法で辺りを照らそうとした時、突如手前から奥へと光が灯っていく

 真ん中に赤い絨毯、その左右に光を放つ黒い燭台、そして壁には棺が並んでいる。

 奥には玉座があり、豪華な王冠と黄金の鎧を見に纏い、右手には大剣を床に突き刺している黒い骸骨が沈黙している。

 

「クックック。なによ、結構雰囲気あるじゃない」

「ドクロさんはどこ?」

「……目の前にいるわよ」

『カッカッカ……』


 何度も聞いた笑い声がしたと思うと、玉座で沈黙していた黒い骸骨の目に青い炎が灯り、座ったまま床から剣を軽々引き抜いて肩に乗せる。


『遂に来たな……散々の引き留めを無視したうえに、試練を不正な方法で突破した愚か者どもめ』

「いや、それはあなたが……」

『黙れ』

「……ぐ!?」


 急にバカドクロから物凄いプレッシャーが放たれ、燭台の炎が大きく揺らぎ、私もたじろいでしまう。

 

『カッカッカ……だが……ここまで来てしまった以上お遊びは終わりだ。ピラミッドの主人として、侵入者を倒す責任を果たそうでは無いか」

「どうやら……口だけでは無いみたいね」


 そう言ってバカドクロは大剣をこちらに向けてくる。

 それに対し、アルテナもデスサイズをバカドクロに向け戦いの意思を見せる。


「ふ、上等よ! ここら辺でお遊びは終わりってことを見せてあげるわ!」

「ミミックのみんなのために頑張るもん!」


 こちらが引かないのを見て、バカドクロは高笑いを上げる。


「カッカッカ! いいだろう! かかって来るがいい! 我が名はスケ…あだぁ!?」

 

 バカドクロが長々と口上を喋っている途中に頭と右足に弾丸をぶち込む。


「今よ! ミラ、アルテナ!」

「分かったエレン様!」

「ああもう分かったわよ!」


 私の合図とともに、ミラと不服そうなアルテナが一気にバカドクロへ突っ込む。

 私の作戦……それは、不意打ち短期決戦!


『おのれ! 折角カッコつけているところによくも!! だがその程度で隙が作れると思うな! 全員返り討ちにグワァ!?』


 バカドクロが立ち上がった瞬間、右足のバランスを崩し剣を手放しながら思いっきりコケる。

 これは私が撃った呪いの弾、『軟化のソフトショット』の効果だ。

 鎧で見えないが、今バカドクロの足はぐにゃっと曲がって立てない状況になってるだろう。

 頭に撃ったのはただの囮で、こっちが本命だったのだ。


『い、一体何をした!? もう許さん! 貴様ら全員ここ……で……」


 バカドクロが倒れながらも上を見ると、既にデスサイズを構えたアルテナと、オーガハンマーを振り下ろそうとしているミラがバカドクロを見下ろしていた。

 持っていた大剣はどっかに転がって行ってしまったのでもう武器はない。


『あ……えっと……』

「エロ骸骨、あたし達を……なんだって?」

『……わ、我にいつでもスカートをたくし上げる権利を持つ使用人として雇ってやってもいいぞ?』

「くたばんなさい!!」

「えーい!」

『ギャァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!』



 アルテナに鎧ごと全身を切り刻まれ、ミラにモグラ叩きの要領で砕かれ、さらに炎魔法で魔法でぶっ飛ばされていく。

 最終的に、バカドクロはチリひとつなく消し飛んでいった。


「よし、作戦成功ね。ちょっとやりすぎだけど……バカドクロの魔石も残ってないじゃない」

「いやーやりすぎたわね。 でもやっておいて何だけど本当にこんな終わり方でよかったの?」

「いいのよ。だってあのバカドクロの事よ? 普通に戦おうとしたらこの部屋に作った仕掛けとか色々使われて面倒な事になってたに決まってるわ」

「ま、確かにそうだけど。でもなんか不完全燃焼ね……結局お宝もなかったし……」

「お宝無いの? うう……残念」


 そういえばミラとアルテナは財宝欲しさに来てたんだった。

 うーんでも……。


「本当にないのかしら? バカドクロはあるって言ってたけど……」

「え? だってここ新築でしょう? お宝なんてないってあんたも……」

「私が言ったのは古代のロマンの話よ。お宝を否定なんてしてないわ。まああるとも言い切れないけど……」

「あ! エレン様! アルテナ様! 玉座が光ってるよ!」


 急にバカドクロが座っていた玉座とその周囲が光出す。

 そして、ゴゴゴゴゴ………と床が水平に動いていくと、大きな下り階段が出現した。

 しかも、その奥から黄金の光が漏れてきている。


「ちょっと……これってまさか……宝物庫への道!?」

「玉座の下にあったんだ!」

「バカドクロは嘘をついてなかったようね」

「よーしいくわよ!」


 アルテナとミラが素早く階段を降りていく。

 それに続こうとしたその時。


「カッカッカ……おのれ……よくもやりおったな貴様ら……!」

「!?」


 振り返ると、倒したはずの亡霊がそこに浮かんでいた。

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