表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/121

10 アルテナ、冒険者ギルドに突撃する

「あの、本当に大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫です。少し気分が悪いだけなので……」


 シスターが心配そうな顔をして私を見送る。

 実際頭を抑えながらフラフラと歩いていたので彼女がそう思うのも当然だろう、とにかく情報量が多過ぎた。


女神の事についてはひとまず置いておく。

とりあえず帰る時の安全が保障されたってことは安心した。

問題は……



—————————————————


スキル 器用貧乏・改


器用になりあらゆる技術を極められる。

その代わり自力が全く上がらない


—————————————————


 このスキルよね……というか何このスキル? 

 そもそも意味が違う。

 器用貧乏なのに極められたらおかしい。

 あと何故デメリットがついてるのかわからない。

 しかも自力が上がらないって大きすぎる。

 あと名前がダサい……



 これ以上は考えても埒が開かないと思ったので一旦宿屋に戻る事にした。

 あまりアルテナを一人にして置くのも色々心配だった。


「アルテナ、戻った……わよ……」


 部屋を見渡すがアルテナの姿がない。

 嫌な予感がして私は宿屋の店主に話を聞きに行った。


「あの、私と一緒に泊まった子知りませんか?」

「ああ、あの子かい? さっき筋肉痛が治ったとか言って冒険者ギルドへ行ったよ」

「あのバカ……!!」


 私は宿屋を飛び出し走り出した。

 何かやらかす前に止めないと……!!



 〜〜〜sideアルテナ〜〜〜


「ふっふっふ、ついに来たわ冒険者ギルド!!」


 あたしは今冒険者ギルドの前にいる。筋肉痛? そんなの気合いで治したわ!

 ここまで来たのにいつまでも寝てられないもの!

 エレンには黙って来ちゃったけどまあ後で登録させればいいだけの事、さあ突撃よ!


 

 バァン!!


 勢いよくギルドのドアが開かれる。


「クックック、初めまして愚民ども、あたしの名はアルテナ、冒険者のトップとなる者。あたしの伝説が始まるこの場に居合わせた事、光栄に思う事ね」


 ギルド内にいた冒険者とギルド職員が全員アルテナを見て硬直する。その時皆の心は一つだった。


(((((何だこいつは……)))))


 そんな皆の気持ちは露知らずアルテナはドヤ顔をしながらギルドの受付に向かう。


(ふ、あたしの完璧な口上とオーラに皆ビビっているわね)


 ヒソヒソ……


 冒険者たちが小声で何かを喋っている。アルテナはそれをいい意味で自分の話をしていると解釈したが……。


(何だあのイタい奴は?)

(おい、目合わせないほうがいいぞ)

(見た目はいいのに頭が残念すぎるな)


 当然ながらひどい言われようだった。


「あんた、あたしの冒険者登録をして頂戴」

「は、はい分かりました。ではこちらに記載をお願いします」


 アルテナに声をかけられた不幸な受付嬢は少々混乱しながらもしっかりと対応する。

 アルテナは渡された紙に名前、年齢、スキルなど必要な情報を書き込んでいった。


 「これでいい?」

 「はい確認いたします。お名前はアルテナ、年齢は……え、永遠の16歳、スキルは死神、

 獄炎、邪眼……?」

 

 受付嬢の目が点となる。年齢の書き方もだが問題はスキルだった。

 アルテナ専用スキルのため受付嬢も知らず、おまけに2つ持ちでも珍しいのに3つ。

 受付嬢の反応は当然だった。


「あの……こちらに記載された情報は登録において重要となりますので正確に書いて頂けると……」

「何を言ってるのあんた? ちゃんと書いたじゃないの」

「虚偽の記載は明らかになり次第罰せられますよ?」

「嘘なんて書いてないわよ!」


 アルテナに迫られ困惑する受付嬢。

 そんな様子を見て大柄でスキンヘッドの冒険者が怒り心頭といった感じで近づいてくる。


 「おいテメェ、いい加減にしろよ。さっきから見てりゃふざけた態度とりやがって。おまけにスキルが三つだと?嘘つくんじゃねぇ! テメェみてぇなやつがそんなに持ってるわけねぇだろう!」


 冒険者の叫びがギルドに響く。実際この世界においてスキルは人生を左右するほど重要であり強力なスキル、及び複数持ちは平民から貴族になれる程である。それを考えると冒険者の怒りは当然だった。


「へぇ?じゃあ試してみる? 最もアンタ程度じゃスキルを使う必要もないけど?」


 アルテナは笑みを浮かべて相手を煽る。

 しかしその笑みは相手を馬鹿にするためではなく……。


(キターー!!チンピラに絡まれるお決まりイベント!!)


 と言ったものだったが。


「何だとテメェ!!」


 冒険者の手がアルテナに迫る。その時……。


バァン!!


再びギルドのドアが勢いよく開く。そこにはアルテナの見知った顔がいた。


「ああエレンじゃないの。アンタもき……どしたの?」


 エレンがアルテナと冒険者を見た途端崩れ落ちる。


 (遅かった……)


 「ああ、あんたあたしの華々しいデビューを見逃したと思ったんでしょ? 大丈夫、むしろメインイベントはここからだから」


「んな訳無いでしょこのバカーー!!」

「何で!? ギャァァ!!」


 エレンの拳がアルテナの顔にめり込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ