女子アナもねのロックな小説
(1)女子アナの朝は早い・・・
「わっ!寝過ごした」
朝の情報番組のキャスターである彼女、平もねはスッピンで自宅マンションの階段を駆け下りた。
公共交通機関が動き出す前に出勤するので、テレビ局が手配したタクシーが待っているのであった。
「目覚ましが手ちがいで」
モネタンという愛称で呼ばれている若手アナウンサーは運転手さんに言った。
「捕まらない程度に飛ばしましょうか?」
と、いつものタクシードライバーが聞いた。
モネタンは、
「安全運転で」
しばらく走ると、いつもは無言のドライバーが、
「私、今日で最後なんです」
「タクシーお辞めになるんですか?転職ですか」
「免許証を返納しようと思うんです」
「そんなお歳には見えませんが」
「けっこう歳なんですよ」
「明日から別の人か・・・」
「しばらくは他の者が交代で。近々、自動運転搭乗員不在式車両が導入されるそうです」
「?」
「いわゆる無人タクシーです」
「無人・・・あまり乗りたくないかも」
(次回、乗るんです)
(2)