ミラーシミュレーション
そこはマフィアが牛耳るサードワールド・カントリー
いわゆる先進国に永遠になれそうにない火星にある国
国境付近の国では住民によるヨソ者や新入りへの洗礼が
大々的に披露され
こんな国でしか居場所が無い人間が集まり
暴力で、のし上がった強い男が権力を手に入れ
弱ければ淘汰されるのが当たり前な町
肉体労働のタコ部屋、安酒場、売春宿にカジノ
縄張り争いでの嫌がらせ永久ループが繰り広げられていたが
その嫌がらせ合戦すら、いつしか、
どちらが勝つかを賭けるギャンブルとなっていき
泥沼の紛争が延々と続けられていた。
・・・・
爆発音というか炸裂音が鳴り響いて目を覚ました。
気絶してから、どれくらいの時が経ったのかは不明だ。
街頭の時計なんてもんは、ここらへんいは無い。
「……何が、どうなったんだ?」
記憶が確かなら道路を歩いていたよーな……?
歩いていたはずの道路があった所を見ると
破壊され崩れ落ちた建物で壁が出来て道路が封鎖されていた。
この先に縄張りの境界線があったはず。ということはだ……
「味方と分断されちまったのか……」
ということは、リリーのいる場所にも戻れねーのかな?
完全封鎖されたなら、そうなるなぁ。今生の別れか。さらばだ、リリー。
その場にいるのも何となく気持ちが悪く、
オレは早々にその場を立ち去ることにしたのだが。
「マジかぁああああああ?」
緩衝安全地帯への道も塞がれていた。
「なんてこったぁああ―――――――っ!!」
誰も聞く人の無い叫び声が、空間に広がる。
誰もいない空間からは何も回答は無く、静けさだけが漂う。
何時だか何日だか知らないが時間が経ち、身体と精神は限界に近付いていた。
……ひょっとして、敵に発見されて殺されるのを待つだけなのか?
「戦闘に巻き込まれるんじゃなくて孤立して死ぬとは
末代まで笑い話として語り継がれるかもしれん。……それは嫌だ
IDカード端末さえ使えれば」
IDカード端末は、何があったのか知らないが壊れていた。
「ジャディン~」
むう、オレを呼ぶ声がする。……幻聴か……ますます危険だ。
「ジャディンってば~」
くそう、黙れ幻聴……
「きけよ ジャディン~」
「うう、黙れ 幻聴っ!」
「誰が幻聴だ~」
「その ボケに突っ込む漫才師のような話し方は……ロントか」
数少ない友の一人。ロント。
「ロントも閉じ込められたのか?
で? どこにいる? 遠隔マイクでも使ってるのか?」
「ここだよ~」
「ここって……わっ!?」
隣に瓦礫を突き抜けて、地下通路からロントが出てきた。
「しっかし、なんでここに来たんだ?」
「ジャディンがいたから~」
「なんで ここに いるって わかった?」
「リリーに聞いたから」
「ジャディン、行動パターンが 単純で わかりやすいって言ってたよ」
「で、どうやってココへ?」
「Dエリアを経由して」
「いや そーじゃなくてだな」
「僕は技術部だからね」
「関係ないだろそれは」
等と言いつつ、Dエリアへ繋がる地下通路に入る。
穴の中には、できるかぎり傷付けないように『掘った』跡があった。
「なんつーかな~……」
「?」
オレの知り合いって……
穴の中には、よくわからない物が突き出ていたり火花が散っていたり
(本当に大丈夫なのか……?) 薄暗い中を、ひたすら歩く。
「ロント、ついて来てるか~?」
「来てるよ~」
後ろの方から声が聞こえる。どうやら穴を補修しながら進んでいるらしい。
まあ、手段は滅茶苦茶だが助かった。喉も渇いてるし、腹も減ったし……まずは食堂かな?
ロントに一応礼を言おうとした時に、地下通路が揺れた。凄まじい揺れだった。
「だっ!?」
壁に叩きつけられ、壁から突き出ていた金属に頬が切られる。
手の甲に、腕に何かが刺さり背中によくわからない物がぶつかった。痛い。
「っっっっっ!?」
思わず咳込む。
「がはっ、な、なんだっ!?」
声は出る……
頬に何か熱いものが滴り、左手が使い物にならなくなり、
背中が妙に痛いが、とりあえずは大丈夫なようだ。
揺れはない。いやまてよ、地震には余波が……
「ロントっ! 大丈夫かぁっ!?」
答えはない。オレは、何となく嫌な予感がした。
異常に痛い背中に極力衝撃を与えないように、穴を戻る。
そして、オレが見たものは。右肩を金属に貫かれたロントの姿。
「ロントっ! 大丈夫かっ!?」
赤く染まっている胸に、耳を当ててみる。
「生きてたか……」
気絶しているだけのようだ。が、放っとくと危ない。
オレのようなド素人でも、それくらいはわかる。血が大量に流れてるし。
なんとか右手で、金属からロントを引き抜き、支える。
「づっ!」 背中が痛い。どうやら、打ち身どころではないようだ。
「くそ……なんなんだ……?」
ぼやいていても助かるわけではない。出口に向かって進んでいった。
「はぁ……着いた」出口は、思ったより近かった。
「あ、ジャディン、ロント、大丈夫!?」
出口には、何故かリリーが待ち受けていた。
「大丈夫に見えるか、これが……?」
「……見えない」
「そーか、なら訊くな」
「普通は訊くでしょ?」
ちなみに、こーやって話してるのもしんどかったりする。
「……一体、何があったんだ……?」
「敵、らしいけど……」
「そうか……とうとうDエリアも陥落するのか……」
大体、今まで切り抜けてきたこと自体、オレには驚きだ……
「…………」
「……ど~した? 睨んでも何も持ってないぞ」
「違うっ! その怪我、一体どうしたのっ!?」
ようやっと気付いたのか、こいつは?
それとも、今まで事態が飲み込めなかっただけか……
「ああ……この肩の傷だけだ。治療してもらえれば、多分大丈夫……」
「あんたよっ! ジャディン!」
「?」 え? オレ?
「左手だけだろ、でかい怪我は」
「……後ろ……」
うっ……やっぱり背中に何か……って、
「お前、オレの背中見てねーだろーが」
「血が……」
さっきから大量に流れ落ちてるのは、
ロントの血じゃなくて、もしかして……オレの血?
「むう。実はひどい怪我か?」
「なんでそんなに落ち着いてるのっ!? とにかく医務室へ……」
「違う違うっ!」
「?」
「今、全員が安全地帯なDエリア中継地に避難してるの!
看護科の人もそこ……」
「……どーなってんだよ、一体……」
「急いでリフト艦に!」
「ぎゃあああああああああああああああああああっ!?
左手を掴むなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
オレは拷問のような痛みの中、リリーに安全地帯に連れてこられた。
痛みが数倍に跳ね上がっているのは、時間のせいではなくこいつのせいだ。
「これはひどいですねぇ……」
看護科の奴に見られているのは、ロント。
「大丈夫なのか?」
「大丈夫に決まってるでしょう」
「……そりゃ よかった」
「よかったぁ……」 ロントの命は救われた、と。
「それより、あなたは……?」
「ん? オレは後でいい」
「見たところ……あなたの方が重傷ですけど」
「オレの方が、そいつよりも強い」
「……わかりました」
オレの妙な理論に、何故か頷いてくれる看護科の人
「わかりましたじゃないでしょー!
ジャディンもっ! なんで治療受けないの!?」
「だからだな、オレはこいつよりも強い……」
「強いも何も関係なぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!」
「関係あるぞ、うん」
「ありますよねぇ」
「二人して頷き合うなぁっ!」
「リリー、お前キャラ変わったなぁ」
「誰のせいっ!?」
……なんか、かなりヤバい状態のような気がしてきた。
「なあ、知ってるか!?」
と、近くから話し声が。周りの喧騒に混じり、それはオレの耳に届いた。
「一部の仲間が、まだここに避難してねーんだってよ!」
「マジ!? でも、そろそろ切り離されるぜ!」
「もしかしたら……リフト艦に集まることを知らないんじゃ……?」
……ま、よくあることだ。
全員に、正確にすべての情報を伝えることなどできない。
もしくは、誰かの陰謀でそこだけ隔離されてるとかな。
まあ、エリア分割壁が閉じたままってことはないだろう、多分。
「ジャディン」
「? どーした、リリー」
「私、必ず帰ってくるから」 ……ほへ?
「ちょおっと待てリリー。どこ行く気だ?」
「まだ人がいるんでしょ? 私、捜してくる」
「正気かっ!? もうすぐ完全隔離されるんだぞっ!?
お前が行ったって誰も助からない、お前が犠牲になるだけだっ!」
背中の痛みも無視して叫ぶ。
「私は大丈夫」
リリーの顔は、真面目一点張りだった。
声も、いつもよりずっとしっかりしていた。
「大丈夫なわけねえだろっ!」
「ちゃんと、帰ってくるからっ!」 そう言うなり、駆け出すリリー。
「戻れっ! リリーっ!」
「戻ってくるからっ!」
……行っちまった……馬鹿だ……心の底からそう思った。
「なんで行くんだよ……?」
あいつのことは知ってるつもりだったんだがなぁ…… 全然わからん。
「あなたは行かないんですか?」
インフィニティと書かれた名札をつけている看護科の奴が
何故か微笑を浮かべて訊いてくる。
「誰が行くか……」
「一人じゃ寂しいかもしれませんよ?」
「あいつは意外と一人でも生きてけるタイプだ」
「あなたが、ですよ」 嫌なこと言うなぁ……
「いないよりは、いた方がいいけどな……」
「だったら、ついて行った方がいいんじゃないですか?」
「…………」
「大事なものは、失ってから初めて
大事なもんだったと気付くんですよ」
「どっかで聞いた台詞だな……」
大事なもの。などと、認めたくはないが……
「……ちっ……馬鹿のせいで、死ぬ確率が増えた」
リリーの声が、微妙に震えているのに気付かなければ……
動かなかっただろうな。幼馴染なんぞ、なるもんじゃない……
一緒に過ごした長い時間の おかげなのか
言葉にして言わなくても、心の中の想いが理解できてしまう
「ロントを頼んだ」
「頼まれました」
「……なあ、いいか」
「なんですか?」
「なんか、あんたのこと嫌いになりそうだ」
「そうですか」
「じゃあな。もう会うこともないだろうが」
左手の痛みと、背中の痛みを抱えたままで飛び出した。
「ぐっ……」
やはり背中が痛む。どれくらいの怪我かは……怖くて確認したくない。
「……どっちだ……?」
激痛と戦いながら、リリーの姿を探す。あっさりと見失った。
ドゴォォンッ!!
「うわっ!」
またも激しい揺れ。今回の敵は半端じゃないらしい。……勘だけを頼りに道路を歩く。
「え?」 何か…声が聞こえたような?
「幻聴か?……ここか?、うわ」
そこは、狭い部屋。というか、ある意味倉庫だった。
「何なんだ、こりゃ」
大量の荷物が部屋中に散らばっている。
一人の男が部屋の隅に横たわっていて、その隣には……
「……何やってんだ、お前は」
「……ジャディン……?」
荷物に潰されたリリーがいた。
非常に間抜けな光景である。本人にとっては真面目なんだろうが。
「待て、言うな。何があったか当ててやる。
どうせ、そこの男が荷物に潰されてたから
助けようとしたら自分が荷物に潰されたんだな?」
「うっ……」
「当たってんのか、おい ……重そうだな、その荷物」
「重いから動けないの……」
「まあ、そうだろうな……」
オレでも動かせないだろう。あんまり力がある方でもないし。
「とりあえず やってみよう」荷物に手をかけ、力を入れてみる
「うおりゃああああああああああああああああああああああっ!?」
痛いっ! 手が痛いっ! 背中が痛いぃぃぃぃっ!!!
「激痛は 忘れた頃に やってくる ジャディン辞世の句」
「…………」
「そーいう目で睨むな。マジで痛いんだ」
荷物を叩き、どかす術を考える。……思い浮かばない。
「ジャディン、もういいから……早く、安全地帯に戻って……」
「アホ。そんな辛そうな顔見せられて、簡単に引き下がれるかっ」
……視界が霞んできた。くそ、せめてこの荷物を除けてから……
「あれは?」 と、部屋の隅に転がっている物体を手に取る。
「これは……使用法がわからん」 とりあえずスイッチを押してみる
「どぅわぁっ!?」
しゅどがぁっ! ドゴンッ!
謎の物体は高速で飛び、壁にめり込んで停止した。
……つまり。
「ミサイルか……で……」
足下には、同じモノが転がっている。
「しかしまあ、こいつで荷物を吹き飛ばしちまおう」
「……えっ」何故か不安そうなリリー。
「大丈夫だって、荷物だけ狙えるから」
「…………ぅ・・うん……」 声が信用してない……
「さあて、頼むぜ ミサイルっ!」
右腕にミサイルを構え、なんか血が止まってる左手でスイッチを、押す。
「……………………」
……不発。思わず足から力が抜ける。……立ってられなかった。
「ぐえっ」
倒れていた男の上にへたり込む。……情けない……
人一人守れないで、その上無駄なことばかり……
意識が遠い。出血多量か? ただ怪我が深いだけか?
『……………………』
ただ、場を沈黙が包む。オレも、荷物に潰されているリリーも、
オレに潰されている男も、何も言わない。
ガシュ、ガコン。 どこからか、妙な音が聞こえてきた。
「……ジャディン」
「……どうした?」
「ありがとう」
「感謝されるようなことはやってない」
「来てくれて……嬉しかったよ」
……妙な音が鳴り響いている。攻撃か? 防御か?
……なんだ? まぁ、なんだろうと……オレには、関係ないことかも……
「……怖かったよ……だけど、ジャディンが来てくれて……」
「怖かったってのは わかってたって。何年お前と一緒にいると思ってんだ」
ここまで弱気な……というか、力無い声のリリーは久しぶりだ。
「とにかくリリー。荷物に潰されて言っても格好悪いだけだぞ」
……妙な音がやんだ。さて、これから……どうなる……?
「リリー。生きている内に 一つ訊いてみたいんだが」
「…………」
「もし、生まれ変わったとしたら…… お前は、何がしたい?」
「……そうだね」
苦しそうな声は、いつの間にか、安らかな声に変わっていた。
そんなことに、気付く余裕すらなかったのか?
「普通に過ごすよ。この星に一番多い平凡な人々の中に混ざって穏やかに」
普通? 一番多い平凡な人々? いたか?
個性的で自己主張の強い人だらけの このエリアに
「……ジャディンは?」
「あ? オレか?」
……う~ん。オレがここに来たのは、リリーがここに来たからだ。
リリーがここに来たのは、まだ残っている人間を救出するため。
なんで人間が残っていたか ……それは………………………………
「そうだな……革命を起こして火星を支配する統治者になるってのはどうだ?」
「……最期だからって、ふざけないでよ……」
「オレは本気だぞ。そうしたら、お前は火星を平和に統治する仲間だな」
「その『仲間』って? どういう意味……?
あんたが言うと普通の意味に聞こえない。」
火星統一、か…… 今は色んな原因で分裂しているのを
統一できれば…………面白かったかも……
ザッ!
「……?」
「!?」
ふと見ると、部屋の前に人が立っていた。
番号つけたマスクをつけて、なんかやけに重装備だ。銃を構えてたりもする。
「発見しました! こっちにも子供がいます!」
…………オレ達の所属グループが負けたようだ……
「じゃあな、リリー。あの世で会わねーことを祈る」
「……さよなら……だね」
「って、人の上で何してんだああっ!」
下にいた男がいきなり立ち上がり、床を少し転がるオレ。
「いや、喋ってただけだが」
「人に乗るなっ! しかも気絶してる人間にっ!」
「気絶してるから乗ったんだろーが」
「あんたなぁっ!」
オレに詰め寄ろうとした男が、
白い『何か』に吹き飛ばされ、壁に『接着』された。
「……はい?」
マスクの銃から、トリモチのようなモノが放たれた
……らしい。……捕獲……用……?
「……とりあえず……降参」痛くて辛かったが両手を上に挙げる。
「――子供を三名保護しました! 現在位置は――」
どーも、いきなり殺されたり死刑宣告されたりってな感じじゃなさそうだ。
「おい、リリー」
その時のオレの顔は、苦痛に歪んでいただろうか。……それとも……
「もしかしたら、助かっちまうかもな」
そして、オレの意識は―――途切れた。
・・・・・・
「とまあ、そんな俺の過酷な環境下での経験を元にした
紛争地域での生存一般市民救出ミラー・シミュレーションで
今回開発した最新AI搭載の完全自動ロボットを動作確認する
テストシナリオなんだ」
「『 嘘 』」
語尾がそれぞれ違かったが、その場にいる全員が
ユニゾンで息をあわせて同時に言い切った。
「……そこまで大きな声で言い切るか、おい」
「だって、そんなのジャディンさんじゃないです」
「…………」
「お前、とうとう真顔で嘘吐くようになったんだな」
「…………」
「ジャディンさん、今回の暴走は一味違いましたね」
「……お前等………………やっぱ作り話ってバレるんだなぁ」
『やっぱりかいっ!』
全員が同時に叫ぶ。
「頬に傷跡もないし、左手も何事もなく動く。
何より、オレの幼馴染にリリーなんていないだろ?」
「……ジャディンさ~ん、バレますよ、そりゃ」
「そうか?」
綿倉が溜息を吐き、
「マフィア支配地域で会ったのって俺じゃないですか。」
「ちょっとミックスしてみた」
「ミックスって……
ところで、リリーなんて人、いるんですか?」
「さっき言ったろーが。いないって」
「でも、その割には……」
「幼馴染じゃなく、
火星移住船で知り合ったんなら同姓同名がいるけどな」
「……!?」
「いやいや、でもさっきのは作り話だ」
「……まぁ、ジャディンさんがそんな、ねぇ」
「どーいう意味だよ……」
そして、綿倉が通路を歩いていく。
「…………つうわけだ。聞いてたか? リリー」
『ロントが爆笑してたわよ……』
IDカード端末から、女性の声が聞こえてくる。
「まあ、ほとんど捏造だからなー」
『そう? その時の記憶がまだなくて……』
「捏造だ。そんな大したことはしてねーよ、オレもお前も」
『……ふーん……』
「それじゃあな。記憶障害、早く治せよ」
『そんな簡単に治るかっ!』
ぶつっ! ……と通信が切れた。
リリーは現在記憶障害である。
あの時の何かのせいらしい。これでもかなり回復している。
長い時間を一緒に過ごした共通の思い出や経験の記憶は全て失われたままで
当然、以前に感じていた何も話さなくても相手の想いが理解できるような
共有感覚は失われたままで、かけても つながらない電話を持っているような感じなのだが……
ロントは記憶は大丈夫だったが怪我が原因で、主に頭脳面だけで可能な仕事をしている。
「……いやはや……一生、言いだせないかもしれない言葉ってのを
オレが誰かに対して抱えたのは、今 思えば あの時だったな……」
そして、子供じみた面白半分な興味が、行動や やる気の源になっている事により
周囲の人々を巻き込んだ新たな混沌を巻き起こす事が多いジャディンの一日が始まり。
自分の情熱を維持する事こそが素晴らしい
と、思いこんでの挑発行為や暴走行為を いつものように起こしていく。