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1506号室

あれは夕方ぐらいだったと思う。

僕はよく知らない都営アパートの階段を登っていた。

12階までは普通の階段で、13階から15階までは中央の螺旋階段を登っていく造りのアパートだった。

今考えるとそんな造りの都営アパートは存在しなかったと思う。

今にも崩れ落ちそうなボロボロの螺旋階段は、僕が踏みしめるたびにギイギイいった。

僕はだんだん不安になってきた。

なぜこんなことをしているのだろう。

思いだしてみる。

このあたりに、何か秘密があってそれを探しに来た様な気がする。

だがはっきりとは思いだせない。

そうこうするうちに15階についた。

15階は1501号室から1508号室まであって、ドアの横についている表札はどれも汚れて見えなかった。

僕は15階の廊下を端から端まで歩き、また引き返す、ということを繰り返した。

どれくらい繰り返しただろう。

すこしあたりが薄暗くなってきた時、僕は十何周目かを終え、1508号室からまた1501号室に引き返そうとした。

だができなかった。

振り返ってはいけないと直感で感じた。

1506号室のドアの隙間から誰かが覗いている。

直接は見ていないが明らかに背後から見られている感覚があった。

それからどれくらいが経っただろうか。

見られている感じはずっと続いていた。

やがてあたりは真っ暗になり、僕は目を閉じた。

目を開けるとベッドの上にいた。

あれ以来、あの夢を何度も見る。

何度も見るものだからどちらが夢でどちらが現実か分からなくなってきた。

最近は目を開けてもずっと見られている感じが続いている。

あのアパートはどこにあるのだろう。

僕はあそこで何を探しているのだろう。

夕方くらいのことだったと思う。


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