【57】スタンド・アップ・ツグサ
立ち上がれ、ツグサ!
「私…見放されたのね……また一人になっちゃったんだ……うぅっ…」
ツグサはうなだれたまま、ついに泣き出してしまった。
その様子に気付いたラックは急いで駆け寄ってきた。
「どうしたツグサ!炎にやられたのかっ!?」
「…!ラックさんっ!!私は…もう一人は嫌なんです!行かないでくださいっ!!」
「なっ、何だぁ!?」
ツグサは狂ったようにラックにしがみついてきた。
ラックは一瞬困惑したが、ツグサの肩にポンと手を置いた。
「…そうか、お前にも辛いことがあったんだな。それを隠してここまで来たってのかよ…」
その様子を見かねたラックはツグサの柔らかい頬をつまみ、思いっきり引っ張った。
びよ~ん「ふぇっ!?」
「さっきのお返しだ!今度は俺がお前の目を覚ましてやる!」
「ラ、ラッフふぁん…」
「話ならあとでたっぷり聞いてやる!俺が好きなだけ付き添ってやる!だからよぉ…今は戦ってくれ」
「…うぅ…」
「お前いってたじゃねぇか、穏健派の奴らも気持ちでは一緒に戦ってるってよ。それに、俺たちだっているんだ。お前はもう一人なんかじゃねえ!」
「そうだ…みんなが…いる……、でも…私なんかじゃ力不足ですよ…」
「んなことあるか!お前はバッチし頼れる聖職者だ!あの2人だってそう思ってるはずだぜ。大丈夫、俺らはお前のやり方にケチなんかつけねえよ。だからお前はどっしり構えとけや!」
そう言ってラックはニッコリ笑った。
それを見たツグサはゆっくりと立ち上がり、涙を拭った。
「その言葉…信じてもいいんですよね?…いえ、信じさせてもらいます!」
「おうよ!」
ツグサは自信溢れる表情になった。そして手放した杖を拾い、強く握りしめた。
「これしかできない…か。確かにリナリアさんの言う通りだな…」
「ん?何だって?」
「いえ、何でもありません!平和を望む者の為にも、こんなことしている場合じゃないですよね!ありがとうございます!私、もう挫けません。全力でサポートしますねっ!」
「頼んだぜ、ツグサ!」
そう言い残し、ラックはアルメリア達への加勢に向かった。
一方、アルメリアは熱風に逆らっていた。
「くぅぅっ…風が強すぎて前に進めない!せっかくのチャンスだというのに…!がふっ!…毒も回ってきた……駄目、なのか…!?」
諦めかけていたその時、後ろから強力な風が吹いてきた。
「《ジウィンド》!」
「これは…中級風魔法!?」
「遅くなったなアルメリア、加勢に来たぜ!なんか知らねー内に覚えてたんだがさっそく使ったぜ!」
「ラック…!行ける…行けるかもしれない!」
「《リフレア》!」
さらに遠くから状態異常回復魔法も飛んできた。
「アルメリアさんっ!あとはお願いしますっ!」
「体が軽い!もうこのチャンスを逃す訳にはいかないっ!行くぞアマリス!!」
アルメリアはアマリスの斧にありったけの魔力を込め、大きく振りかぶった!
「なっ、何いっ!?まだそんな隠し玉があろうとはっ!!」
《ジウィンド》により加速したその攻撃は、慢心していたバーナーには予測できていなかった。
「この一撃に全てをかける!今放つのは〝地風裂斬″だっ!!」
大量の魔力を帯び赤く発光した斧は、熱風を切り裂き、バーナーの脳天めがけ振り下ろされた。
その衝撃は地割れさえ起こし、一瞬にして周囲の火を掻き消した。
攻撃が直撃したバーナーは跡形もなく消えてしまった。
「や…やった…のか…?精霊が…消えた……?…いや、そんなことあるはずがない!」
アルメリアは警戒した。
直感が『戦闘はまだ終わっていない』と告げていた。
すると、何処からともなく声が聞こえてきた。
「ハッハッハァ!!この俺に一撃喰らわすとは…やるじゃないか!これは久々に本気を出すに値する勝負だ!」
「本気…だって?じゃあ今までのは…」
「手加減してたってのかよぉ!?」
4人が動揺していると、突然けたたましい爆音と共に、魔方陣の真ん中で爆炎が巻き起こった。
「あっちぃっ!!一体何が起こってんだ!?」
「…嫌な予感がします」
少しすると爆炎はおさまり、その中からなんと〝巨大な火竜″があらわれた!
「まさかこれが……精霊バーナーの…真の姿…?」
4人は火竜となったバーナーの姿に圧倒され、その場から動けなくなった。
「さぁ!ここからが本番だぞぉっ!!」
こうして精霊バーナーとの戦いは第2ラウンドに突入した。
次回、4人は火竜にどう立ち向かうのか!?




