表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
となりにはアンデッド  作者: 仁ぐうす
火竜のオアシス
51/57

【51】リリース・ペイン・アンデッド

夜、アルメリアがふと目を覚ますと、リナリアが窓から外を眺めていた。

リナリアの体はもう完全に回復しているようだった。



「リナリア、もう体は大丈夫なのか?」


「アルメリア様、私のことよりも自身の心配をなさってください」



リナリアはまた無機質な表情に戻っていた。

アルメリアは、リナリアに気になっていたことを聞いた。



「ねえ、リナリア、君さ、本当は…痛覚、あるんだろう?」


「前にも言いましたが、アンデッド族に痛覚はございません」



予想通りの回答だった。

しかし、そこで終わらせずにアルメリアは問い詰めた。



「でも…森ムカデの時も、それに…拷問の時だって、痛がってたじゃないか?」


「・・・本来なら無いはずです。ですが、私は人間とのハーフなので、その人間的部分が痛みを感じているのかもしれま…――」


「そういうことを聞いているんじゃない!僕は…君という一人の女の子の、本心を聞きたいんだ…!」



アルメリアの言葉を聞いたリナリアは、一瞬驚いた顔をしたが、すぐにまた無機質な表情に戻ってしまった。



「私はアルメリア様の護衛役です。ただでさえ使い物にならないのに、余計な感覚や感情があっては任務に支障が出ます」


「僕さ、さっき生まれて初めて拷問を受けたんだ。痛くて…辛くて…何より心細かった。これがリナリアの受けていた苦しみだったのかって思った」


「…」


「でも、違ったんだ。僕の時は隣に仲間がいたし、その仲間に助けてもらえた。リナリアはずっと孤独で辛い拷問を受け続けていたんだろう?しかも、死ぬこともできずに。それが、どんなに辛い事か…わかったんだ」


「……」



リナリアはアルメリアの話をただただ黙って聞いていた。



「だからさ、少しは君と平等になれたかなって…はは、そんなわけないか…」



話を聞いているうちに、リナリアはだんだん悲しそうな表情になっていき、感情を必死に抑え込んでいるのがわかった。



「なぁ、リナリア…過去に何があったのかは分からないけど、もっと僕を頼ってもいいんだよ?つらいことがあったなら話してくれていいんだよ?まあ…同情ぐらいしかしてあげられないだろうけど……それでも、少しはすっきりするはずだ」


「…でもっ…私、は……うぅっ…!」



そう話した瞬間、リナリアが急にアルメリアの胸に飛び込んできた。

そして、感情が一気に溢れ出たのか、今まで聞いたことのない大きな声で泣き出した。



「…本当は!傷つけられると痛いのっ!いつも怖くて心細いのっ…!もっと甘えたくて…愛されたくて…抱きしめられたくて…たまらないのっ!!でも…私は…臭くて(みにく)いアンデッドで…こんな魔物(まが)いの体で…」


「…うん、うん!よく、話してくれたね。それでいいんだ。何も、感情を抑える必要なんてないんだよ」



そう言って、アルメリアはリナリアを優しく抱きしめた。

リナリアの冷たい体に、少しでも人間の(ぬく)もりを感じさせようと、腕で優しく包み込んだ。



「アルメリア様…あったかいです…。こんな醜い私でも、受け入れてくれるんですね…本当にお人好(ひとよ)しな王子様です…」


「ははは、昔からよく言われるよ。でも、君への想いは特別だ。君は決して醜くなんてない」


「あの…もう少し…このままでいてもいいでしょうか?」


「ああ。気が済むまで付き合うよ」



リナリアはこれまでの苦しみを吐き出すかのように、しばらくアルメリアの胸で泣き続けた。


心の苦しみからの解放

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ