【50】レスト・タイム・アンデッド
オアシスの城から脱出し、走り続けて数分で“穏健派の集落”が見えてきた。
追ってきていた兵士たちは、4人を完全に見失ったようで、着いて来ている様子は無い。
「まさかこんなに早く着くとは…ここ結構遠いんだぜ?」
「中々いい魔法の使い方したんじゃないか?」
「あ、集落の前に誰かが立っていますよ?」
“ファスト”の効果により、すぐに集落の前までたどり着いた。
そこには、2人の門番らしき男が立っていた。
「そこで止まれぇ!お前らは何者だぁ…って、過激派の集落のラックとツグサじゃないか!?」
「それに、そっちは人間とアンデッドだぞ!?しかもボロボロだ!一体何があった?」
片方の門番はラックと言い争いを始めた。
もう片方の門番はアルメリアに状況の説明を要求してきた。
「僕は旅人のアルメリアと申します。こちらはリナリアという僕のパートナーです。」
「そうか、そのアンデッドは調教済みで害はないんだな。ならいいんだ。で、何があったんだ?」
アルメリアはこれまでにあった出来事を淡々と説明した。
「なんと!そんなことがあったのか…。さぞ辛かったろう。ひとまずこの村で休んでいくといい」
「いいんですか?」
「ああ。君たちはどうやら敵では無さそうだしな。俺たちは過激派とは違って心が広いんだ」
「何だとぉ!?もういっぺん言ってみろや!この平和ボケ野郎が!!」
「ラックさん落ち着いて…!せっかくのご厚意なんですから素直になりましょうよ」
ラックは愚痴りながらもしぶしぶ了解した。
集落の中には、過激派の集落とは違い、ちゃんとした建物が立っていた。
集落を歩く穏健派の住人たちは、肌色が過激派よりも薄く、ピンク色に近い。
「ささ、お疲れでしょう。こちらの部屋でお休みになってください」
「ありがとうございます。本当に助かります」
「ふん!まぁまぁいい部屋じゃねえか!」
「ラックさん…」
4人は宿の部屋に案内された。
やっと落ち着ける場所に着いた4人は、溶けるように崩れ落ちた。
「はぁぁ~…何とか無事に来れて良かったですぅ~…」
「アマリスだけ置いてきちゃったけどね…」
「え、そうだったのですか?」
「ああ、人質にされちまった。…そういやぁお前、ベローズと約束したっつってたよな?それってどんな約束だよ?」
ラックの質問を受けると、アルメリアは真剣な顔になり、話し始めた。
「次城に戻ったら、僕はベローズのものになる。その代わりにアマリスを元に戻してもらう、そういう約束だ」
「な…なんだと!?ベローズのものになるなんてお前正気か!?約束じゃなくて…それじゃあ交換条件じゃねえかよ!」
「無論、なるつもりはないさ。だから、アマリスを助け出し、なおかつ自分も無事に生還できる方法をこれから考える…けど、今日はもう疲れた」
「…まぁ、詳しい話は休んでからにしませんか?私も魔力が枯渇して解毒魔法が使えない状態なんです」
「私もまだ手足が回復していません」
「そうだな、せっかく落ち着いたんだし、今はゆっくり休むとするか!」
4人はふかふかのベッドに寝転び、そのまま眠りについた。
村で一息つこう




