【46】ヘルピング・ハンド・アルメリア
ラックはフラフラになりながらも、処刑人ベローズに立ち向かった。
「うああああああああーっ!」
「なんて情熱的な子…♡そんなに私のことが好きなのねぇ…!!」
ビシッ!バシィッ!「ぎゃあああっ!!」
何度立ち向かっても、鞭の鋭い痛みに耐え切れず、反射的に退いてしまう。
そうしている内に、体の傷がどんどん増えていく。
これも拷問のつもりなのだろうか。
今の攻撃でラックの意識が途切れそうになった、その時、ベローズの後ろから聞き覚えのある声がした。
「アルメリアさん!?もしや、そこにおられるのですか!?」
これは、ツグサの声だ。どうやら生きてはいるらしい。
「わりぃな!俺はラックだ!生きてるんだな!?もう少し待っててくれ!」
「他の女に惑わされないでぇ♡私だけを見ていてっ!」
また鞭の攻撃が飛んできた。鋭い打撃に守りを固めるラック。しかし、鞭は予想に反し、体に巻き付いてきた。
「なっ…どういうつもりだ!?」
「さぁ…あなたも私のモノになりなさぁい…♡」
鞭により身動きが取れないラックを、ベローズは自分の元へと引き寄せ始めた。
「ぐぐ…や、めろ…!」ズリズリ…
必死に抵抗するが、もう体に力が入らない。
ベローズが近付くにつれ、甘い香りが漂ってくる。
これは、幻惑薬の香り。
匂いを嗅いでいるうちに、ラックはいい気持ちになっていく。
「あぁ…俺を、めちゃくちゃにしてくれぇ…ベローズ…♡」
「えぇ♡お望み通りにしてあげるわぁ♡さぁ、もっと近くにいらっしゃい…♡」
心では抗っていても口が勝手に動いてしまう。
ラックは完全に堕ちてしまった。
(くそ…こんなアバズレなんかにぃ…!頼むっ、誰か…誰か止めてくれ…!)
心の中で必死に叫んだ。叫ぶほどに恐怖も増していった。
(誰か…!誰でもいい!………助けてくれっ!!!)
とろける意識の中、ふと浮かんだ人物の姿…
「アル…メリア…」
ガンッ!!!
何かすごい音が聞こえたと思ったら、鞭が切れていた。
「な、何よあなたっ!」
(…?)
幻惑薬のせいで何が起こったのかよくわからないラック。
すると、いきなり後頭部に鈍い痛みが走った。
ゴンッ!「いてぇぇっ!!」
かなり痛かったが、薬の酔いが醒めた。
すっきりとした視界に写っていたのは…
「これはさっきのお返しだ、ラック!」
「けっ…おせぇんだよ、“アルメリア”!」
アルメリアはアマリスの斧を持って助けにきていた。
これで2対1。ベローズの方が劣勢になるのだが、彼女は不気味にも、まだ余裕の表情を見せていた。
「あらぁ…♡またいいオトコが一人増えてしまったわぁ♡どちらにしようか迷っちゃう!」
「ラック、3人を救出して一旦逃げるぞ」
「俺もそうしたいけど、じゃあ目の前のベローズをどうにかしなきゃいけないだろ!?」
「いや、こんな奴に構ってる時間はない」
「じゃあどうするってんだよ?」
言っていることが理解できていない様子のラックに、アルメリアは単刀直入に告げた。
「奴を、スルーする」
次回、スルー出来るのか




