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となりにはアンデッド  作者: 仁ぐうす
火竜のオアシス
46/57

【46】ヘルピング・ハンド・アルメリア

ラックはフラフラになりながらも、処刑人ベローズに立ち向かった。



「うああああああああーっ!」


「なんて情熱的な子…♡そんなに私のことが好きなのねぇ…!!」


ビシッ!バシィッ!「ぎゃあああっ!!」



何度立ち向かっても、(むち)(するど)い痛みに耐え切れず、反射的に退(しりぞ)いてしまう。

そうしている内に、体の傷がどんどん増えていく。

これも拷問のつもりなのだろうか。

今の攻撃でラックの意識が途切れそうになった、その時、ベローズの後ろから聞き覚えのある声がした。



「アルメリアさん!?もしや、そこにおられるのですか!?」



これは、ツグサの声だ。どうやら生きてはいるらしい。



「わりぃな!俺はラックだ!生きてるんだな!?もう少し待っててくれ!」


「他の女に惑わされないでぇ♡私だけを見ていてっ!」



また鞭の攻撃が飛んできた。鋭い打撃に守りを固めるラック。しかし、鞭は予想に反し、体に巻き付いてきた。



「なっ…どういうつもりだ!?」


「さぁ…あなたも私のモノになりなさぁい…♡」



鞭により身動きが取れないラックを、ベローズは自分の元へと引き寄せ始めた。



「ぐぐ…や、めろ…!」ズリズリ…



必死に抵抗するが、もう体に力が入らない。

ベローズが近付くにつれ、甘い香りが(ただよ)ってくる。

これは、幻惑薬(げんわくやく)の香り。

匂いを()いでいるうちに、ラックはいい気持ちになっていく。



「あぁ…俺を、めちゃくちゃにしてくれぇ…ベローズ…♡」


「えぇ♡お望み通りにしてあげるわぁ♡さぁ、もっと近くにいらっしゃい…♡」



心では(あらが)っていても口が勝手に動いてしまう。

ラックは完全に堕ちてしまった。



(くそ…こんなアバズレなんかにぃ…!頼むっ、誰か…誰か止めてくれ…!)



心の中で必死に叫んだ。叫ぶほどに恐怖も増していった。



(誰か…!誰でもいい!………助けてくれっ!!!)



とろける意識の中、ふと浮かんだ人物の姿…



         「アル…メリア…」

           

           ガンッ!!!



何かすごい音が聞こえたと思ったら、鞭が切れていた。



「な、何よあなたっ!」


(…?)



幻惑薬のせいで何が起こったのかよくわからないラック。

すると、いきなり後頭部に鈍い痛みが走った。



ゴンッ!「いてぇぇっ!!」



かなり痛かったが、薬の酔いが醒めた。

すっきりとした視界に写っていたのは…



「これはさっきのお返しだ、ラック!」


「けっ…おせぇんだよ、“アルメリア”!」



アルメリアはアマリスの斧を持って助けにきていた。

これで2対1。ベローズの方が劣勢になるのだが、彼女は不気味にも、まだ余裕の表情を見せていた。



「あらぁ…♡またいいオトコが一人増えてしまったわぁ♡どちらにしようか迷っちゃう!」


「ラック、3人を救出して一旦逃げるぞ」


「俺もそうしたいけど、じゃあ目の前のベローズをどうにかしなきゃいけないだろ!?」


「いや、こんな奴に構ってる時間はない」


「じゃあどうするってんだよ?」



言っていることが理解できていない様子のラックに、アルメリアは単刀直入に告げた。



         「奴を、スルーする」


次回、スルー出来るのか

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