【43】カウンター・アタック・ラック
アルメリアは、あまりの激痛に自我が崩壊しかけ、心の中に逃げ込んでいた。
「これが…今までリナリアが受けていた苦しみなのか・・・。暗くて…怖くて…痛くて……………心細い」
リナリアはアスター王国で捕獲され、アルメリアと旅に出るまでずっと拷問を受けていた。
その痛みをやっと知ることができた、そう思うアルメリアだったが…
「…違う。リナリアはアンデッド族で、死ぬことさえ許されなかったんだ。それに比べたらこんな痛み…生ぬるい」
暗闇の中、アルメリアの目からは光が消えた。
「次は…脚、いってみよっか♪」
処刑人ナズオウの拷問は続く。めちゃくちゃにやっているようで、ぎりぎり死なないように計算されているらしい。
「へっ…!やれる…もんなら、やってみろよ!」
「ん~?そっちはまだまだ元気そうだねぇ!」
ラックはナズオウを挑発した。
ナズオウの攻撃は気まぐれなため、少しでもタイミングを掴めるようにしたかったのである。
「でぇ~も…こっちのほうが反応面白いからなあっ!」
ザギン!
「っ!ぐやあああっぁぁぁぁああああ“あ”あ“あ”あ“あ”…!!」
「うぅ~ん…いい叫び声だぁ!」
どうやら先にアルメリアの脚が切り落とされたようだ。
(くそっ!本当に気まぐれな野郎だ!でも、次は確実に俺の番だ…!)
「さあ、お待ちかねのそっちのサラマンダー君?いっちゃうよぉ~!」ブンッ
瞬間、ラックの体はまるで死を悟ったかのように、感覚が冴え渡った。
暗闇の中でさえ、空気の流れにより斧の軌道が手に取るようにわかる。
そして斧はラックの膝に触れた。
「………ここだぁっ!!!!!」ガンッ! ザリィッ!!
ラックは可能な限り膝を突き上げた。どうやら皮膚が削がれたようで、ひりひりと痛みがある。
だがそんなことはどうでもよかった。
(今!斧が床にぶつかった音が確かにした…!これで魔法が使えれば…)
《ウィンド!!》
ラックは最後の力を振り絞り、魔法の発動を試みた。なぜか強化魔法ではなく、攻撃魔法を選んだ。
ラックの直感がこの魔法を選んだのだ。
すると、部屋中に風が巻き起こり、魔法の発動が確認できた。
その魔力に呼応するかの如く、アルメリアの懐が緑に光り、2人を回復させた。
(この感じ…!アルメリアに助けてもらった時と同じだ!)
《グロウ!!》バキバキッ!
「な、なにいいいいいいい!?」
ラックは体の回復を確信すると、強化魔法をかけ、拘束具を破壊した。
「よう、次はてめぇの番だぜ…処刑人ナズオウさんよお」
ラック反撃開始




