【38】デスパレート・シチュエーション・アンデッド
夜、アルメリアは眠れずにいた。まだ傷が痛む体を動かし、外の空気を吸いに出る。
そこには、いつものように見張りをするリナリアが立っていた。
「アルメリア様、眠れないのですか」
相変わらず無機質な口調で話しかけてくる。
「ああ、何だかね。…僕さ、君に何かしてあげたこと、あったかなって思って…」
「私はアルメリア様を守るためだけに存在しています。逆に何かをしてもらうなど、あってはならないことです」
砂漠の夜の冷たく吹き抜ける風が、まるで今のリナリアの心を表しているかのようだった。
「リナリア、寒くないか?何か羽織るものを…」
「必要ありません。アンデッド族には感覚というものが存在しませんので」
そうは言っているが、体は小刻みに震えていた。見かねたアルメリアは、自分の羽織っている毛皮をリナリアの肩に優しくかけてあげた。
「やめてください。こんな私に情けなど…」
「でも、寒いんだろ?我慢なんてしなくてもいいんだよ」
「…では、ありがたく」
リナリアの無機質な表情が少し綻んだ。すると、リナリアが話を始めた。
「私は、あなたの盾なのです。それなのに…いつも肝心な時にあなたを守ることができない。むしろ足手まといになっているのではないでしょうか…?」
「そんなことはない。リナリアはいつだって真っ先に守ってくれるじゃないか。それに、傍にいてくれているだけで充分助かってるんだ」
「それだけではダメなんです…!アルメリア様を完璧に守り通してこそ私の存在価値があるのです!ですが…私には無理のようです…。お供失格ですね…」
「そんなことない!考えすぎなんだよ。少なくとも僕は…――」
アルメリアが言いかけた時、遠方から何かが大勢走ってくる音が聞こえた。
ザッザッザッザッザッザッザッザッザ!
「あ、あれはオアシスの兵士!?しかも魔物まで連れてる!」
「アルメリア様!下がってください!ここは私がっ…」
瞬間、遠方にいる兵士が玉を飛ばしてきた。
ボンッ! ボシュ――――…
玉は地面に落ちると同時に破裂し、粉を噴出した。
粉を吸ったアルメリアは、意識が薄れ、倒れてしまった。
「ううっ…?」 バタッ
「アルメリア様っ!?…これは、眠り粉!?まずい…巣穴の皆にも伝えなければ!」
粉の影響を受けないリナリアは、非力な腕でアルメリアを引っ張り、ラックの巣穴まで戻ろうとした。しかし、予想以上に敵の進行が早く、追いつかれてしまった。
「ふう~む、反逆者というのは貴様らのことか…。者共!こやつらをひっ捕らえよ!」
「「「「はっ!」」」」
兵士長らしき人物が命令すると、周りの兵士が一斉に飛び掛かってきた。
絶体絶命の中、リナリアは呟いた。
「た…助けて…アルメリア様…!」
絶体絶命、このあとどうなる




