【36】ブレイブ・デコイ・アルメリア
アルメリアとアマリスは左右に分かれ、リザードマザーに切りかかった。
リザードマザーはアルメリアの背中に向かって爪を突き立てた。
爪は、防具を軽々貫通し、肉を抉る。
「ぐううっ…!!今だアマリスっ!」
「この尻尾が邪魔なの…よっ!」 ザギン!
ギャアアアアアスッ!!
アルメリアが攻撃を受けている間に、アマリスが尻尾を切り落とした。リザードマザーは痛みのあまり暴れだす。
近くに居ては危険なため、2人は一旦距離をとる。
「アマリス、あいつにトドメを刺す作戦を思いついた。聞いてくれ」
「え、ほんと?聞く聞く!」
「いいか、あいつが落ち着きを取り戻したら、僕が正面に走っていき、囮になる。僕にヘイトが向いている内に君は横から接近して、あいつの首をぶった切ってくれ」
「そんな…メリア、体ボロボロじゃない!次こそは死んじゃうかもしれないのよ!?どうしてそこまで体張るのよ!?」
「もう…仲間が苦しむ姿は見たくないんだ」
アルメリアは、エルフの村でのつらい思い出を忘れられずにいた。
陽気だったチェンスの死に様、シンリナーとリナリアの泣き顔、そして自ら背負った悲しみ。それらすべてが戒めとなって、自己犠牲に走るようになっていた。
「ねぇ、メリア…過去に何があったのか知らないけど、もっとあたしを頼ってもいいのよ?つらいことがあるなら話して。同情ぐらいしかしてあげられないけど…それでも少しはすっきりするはずよ?」
それは、アルメリアがリナリアへ真っ先に言ってあげるべき言葉だった。
「アマリス、君はいい女性だ。おかげで少し楽になったよ」
「ちょっ…!ほ、褒めても何も出ないわよ!?」
アマリスの、ただでさえ赤い顔がさらに赤くなった。
「そのガタイの割には可愛い一面もあるんだな~」
「も~、こんな時なのに…メリアのばかぁ…」
2人がいい雰囲気になっていると、リザードマザーが落ち着きを取り戻しつつあった。
「よし、じゃあそろそろ行くぞ!」
「うん。でもあまり無理しちゃだめよ…!」
「ああ、ありがとう」
そう言ってアルメリアはリザードマザーの正面に向かって勢いよく走り出した。
リザードマザーの視線は必然的にアルメリアに釘付けになる。
それを狙い、アマリスは横方向に走り出す。
「うおおおおおおお!」(来いっ!火炎放射!)
アルメリアが狙っているのは火炎による攻撃。炎ならば、さっき判明した耐性により耐えることができるからだ。
しかし、リザードマザーは火炎ではなく、爪を振りかざしてきた。
ザクッ! 「ぐああっ!」
爪は、アルメリアの左半身を防具ごと貫いた。
傷口からは大量の血が流れ出る。
アルメリアは気絶しそうになったが、ぐっとこらえ、リザードマザーの腕をがっしりと掴んだ。
「アマリスーーーっ!!やれええーーーー!!!」
「はああああああーーーーっ!!!」
ザギィィン! ドサッ…
アマリスの斧がリザードマザーの首を一閃した。リザードマザーの首は地面に落ち、体は沈黙した。
ついにリザードマザーを倒したのだ。
「やった…やったんだ!いや、それよりもメリアを助けなきゃ!」
アマリスは、嬉しい気持ちを後にし、爪が貫通したままのアルメリアを助けに行った。
アルメリア×アマリス




