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となりにはアンデッド  作者: 仁ぐうす
エルフの森
26/57

【26】シー・ユー・アゲイン・フォレスト

エルフの村で一晩過ごしたアルメリア達は、旅の支度を整えていた。



「王子様、もう行ってしまわれるのですね」


「ああ、これは元々(いにしえ)の竜を探すのが目的の旅だからね」



シンリナーは悲しそうな顔をしていた。



「私もご一緒したいところですが、私には精霊としてこの森を守る使命があるので…」



そう言って、シンリナーは緑色の結晶をアルメリアに手渡した。



「これは、私の魔力が詰まった結晶ですわ。ピンチになりましたらそれを使ってくださいまし」


「うん、ありがたく頂戴(ちょうだい)するよ」


「リナリアちゃんも、あんまり無理しないでね」


「ご心配ありがとうございます」



シンリナーとの会話を終えた二人は、村の高台に飾られたチェンスの像に向かった。



「あいつにも、別れの挨拶しとかないとな」


「そうですね…」



いざチェンスの像を目の前にすると、自然と悲しみが込み上げてくる。

アルメリアは(ほお)を思いっきり叩き、感情を整えた。



「チェンス…お前とは、一緒に旅したかったよ。でも、この村の守り神になっちまったんだよな。だったら、責任もってこの村を守ってやってくれよな!いいか!英雄になったんだから、少しは真面目にするんだぞ!でも、たまにはふざけて和ませてくれよな…」



それはアルメリアの願いだった。もう一度、彼の陽気な姿を見たかったのだ。



「アルメリア様…」


「…よし!挨拶は済んだ!行こう、リナリア」



アルメリアは、リナリアの手を引き、村の出口へと走り出す。

村の門には、大勢の村人が集まっていた。どうやら見送りをしてくれるようだ。



「王子様、この度は村を救っていただき誠にありがとうございました」


「ああ、こちらこそ、お世話になったよ」


「たしか、古の竜をお探しのようでしたよね?」


「!もしかして何か知ってるのか?」


「いえ、残念ながら…。ですが、ここから南に進みますと、“火竜のオアシス”という砂漠地帯がございまして、そこに行けば何か手掛かりを(つか)めるかもしれません」


「そうか、貴重な情報をありがとう」



そう言って歩き出そうとすると、鍛冶屋(かじや)の亭主が走ってきた。



「はあ…はぁ…何とか間に合いましたな…」


「鍛冶師さん!どうしたんですか?」


「あなた様の剣、戦いで刃こぼれしていたでしょう?ですので、勝手ながら新しい剣を作らせていただきました。これをぜひあなた様に使っていただきたい」



その剣は、討伐した毒怪蝶(どくけちょう)の牙を加工したもので、()の部分には聖域の周辺に生えている神聖な植物を()した装飾(そうしょく)がなされていた。



「最後までこんな…ありがとうございます!大切に使わせていただきます!」



鍛冶師は手でグッドマークを出し、大声で叫んだ。



  「どうか、旅のご武運を!!」



皆の声援を背中に受け、村から旅立つ。



「また、二人きりになっちゃったね」


「そうですね」



再び感じる草原の静けさに、どこか(むな)しさを覚える二人。

すると、空から声が聞こえてきた。



「お二人共!またこの村に戻って来るのですよ!今度は村人総出(そうで)で歓迎いたしますわ!」


「シンリナー様!?」



なんと、シンリナーが宙を舞いながら叫んでいた。



「ああ!また来るよ!必ず!」


「いいましたわね!?絶対ですのよ!私、ずっとお待ちしておりますわ!」


「うん、また会いに行くよ。チェンスにもね」



二人は様々な思いを胸に秘め、次の目的地である“火竜のオアシス”へと歩みを進めた。




エルフの森編  ー完ー

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