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となりにはアンデッド  作者: 仁ぐうす
エルフの森
25/57

【25】ハブ・ア・スウィート・ドリーム・チェンス

「ここが葬儀会場(そうぎかいじょう)ですわ」



そこは、村の高台(たかだい)にある広い花畑だった。奥にはすでに大勢のエルフが陳列(ちんれつ)しており、神聖な空気が感じられた。

アルメリア達の存在に気付いたのか、村の代表者を名乗るエルフが向かってきた。



「よくぞ来てくださりました。ささ、こちらへどうぞ」



代表者に連れられ、木でできた台座(だいざ)の上に登壇(とうだん)した。そこには、チェンスの遺体が入った(ひつぎ)と、チェンスの姿をかたどった銅像が(かざ)られていた。



「それではこれより、大英雄チェンスの葬儀を行います。」



エルフ達のすすり泣く声が聞こえてくる。おそらく、この村でもチェンスは印象的な存在だったのだろう。

棺の中のチェンスは、傷が修復されており、まるで生きているかのように綺麗(きれい)だった。

そこへ、代表者が何やら液体の入った(つぼ)を手渡してきた。



「王子様、どうかこれで、チェンスという存在への未練を、断ち切ってください」


「これは一体…?」


「それは、魔物から採取された強力な溶解液(ようかいえき)ですわ。その溶解液にかかれば、どんなものでも完全に溶かしてしまえますわ」


「ってことは…」



アルメリアは、チェンスの綺麗な遺体を見ながら動揺し始める。



「この儀式は、この村の風習ですの。亡骸(なきがら)を骨すら残さず完全に消し去ることで、未練を断ち切り、残された者共が再び前を向いて進めるように……という意味が込められているのですわ」


「さようでございます。ですが、もし(つら)いようでしたら、他の者に回していただいてもかまいません」


「いや、僕がやります。いや、やらせてください…!」



決心したアルメリアは、溶解液の入った壺を少しずつ(かたむ)ける。



「お前…これから溶かされるんだぞ…?それなのに、安らかな顔しやがって…本当に…能天気な奴だな……」



ここまで必死に(こら)えてきた涙が一気に(あふ)れ出す。嗚咽(おえつ)も止まらない。

それは、シンリナーとリナリアも同じだった。



「さようなら…チェンス……!」



そう言って、一気に溶解液を流し込んだ。

チェンスの遺体は、見る見るうちに泡になっていき、(まばゆ)い光を放ち始めた。



「これ、は…?」



「チェンスの体内に残っていた魔力ですわ。チェンスの最後の見せ場ってとこですわね…」



「…綺麗…」



やがて光は消え、チェンスの遺体は跡形(あとかた)もなく消えていた。

一同は泣き崩れた。もう立ち直れないほどの悲しみが(おそ)ってくる。

それでも、立ち上がらなければならない。

これが試練であるがゆえに。



「これにて大英雄チェンスの葬儀を終了いたします。最後に、チェンスの偉大(いだい)なる功績(こうせき)(たた)え、拍手!」


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!



泣き声が入り混じる大きな拍手が村全体に鳴り響き、葬儀は終わりを迎えた。


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