【22】バトル・エンド・アンデッド
チェンスの槍を受け取ったリナリアは、魔物の大群に守られている毒怪蝶の元へ、一直線に走っていく。
「リナリアちゃん!バリアをはりますわ!でも、少ししかもちませんわ!急いで!」
シンリナーは残りの魔力をほぼ全て使い、リナリアに追従するバリアをはった。
「いきます!」
魔物の大群に突撃し、道を切り開く。その中には、ボロボロのアルメリアとチェンスの姿もあった。
「お二人共…今すぐに助けますから!」
決意を固めたリナリアは、チェンスがかけてくれた“ファスト”により、俊足で駆け抜けていく。そしてついに毒怪蝶の前に躍り出た。それと同時にシンリナーのバリアが解ける。
「おおおおーーーーっ!!」
リナリアはチェンスの槍を毒怪蝶の脳天めがけて投げた。“グロウ”の相乗効果により、槍は凄まじい速さで突っ切り、毒怪蝶の脳天を貫いた。
ザンッ!
「や…やった!」
と思いきや、毒怪蝶はまだ生きていた。ギリギリ致命傷には至らなかったようだ。
そして、毒怪蝶の口から毒液が放たれる。その毒液は、リナリアの下半身に直撃し、ドロドロに溶けていく。さらに、背後からは魔物たちがリナリアの肉体を削りまくる。
しかし、上半身だけになったリナリアは、なんと毒怪蝶の方向に向かっていた。
毒液で下半身を切り離された反動で前に押し出され、加えて背後からの魔物の攻撃により、さらに毒怪蝶へと近づくことができたのだ。
これが最後のチャンス。
リナリアは槍にしがみつき、思いっきり揺らした!無我夢中で必死に揺らした!
魔物たちも、それを止めようと群がってくる!
リナリアはもはやほとんどが骨となっていた。それでも止まらない。
「あああああああああああああぁぁ ピギイイイイイイイイィィ
あああああぁあぁぁぁアアア”ア”!!」 イイイギャアアアァァァ!!
グチュッ
毒怪蝶の頭はぐちゃぐちゃになり、ついに潰れた。
大将が倒されたのを悟った魔物たちは、一斉に飛び去っていった。
激闘の末、ついに毒怪蝶を倒したのだ。
「や、やったんだ…今度こそ…!!」
「よ、よくやってくださいましたわ!!今そっちに向かいますわね!」
勝利の余韻に浸っている暇もなく、シンリナーは瀕死の2人に駆け寄っていく。
肉体は見るに堪えないほどボロボロだったが、かろうじて息はしているようだった。
「信じられない!なんて生命力ですの!」
シンリナーは驚きながらも回復魔法を唱えた。
《エナジーフラッシュ!》
…しかし何もおこらない。魔力を消耗しすぎたせいか、魔力が足りず、上級魔法を放つことができなくなっていた。
シンリナーに残された魔力は、下級回復魔法である“キュアー”1回分しかなかった。
「なんてことですの…これでは一人しか治療することができませんわ…!」
考えた挙句、人間であるアルメリアを先に治癒し、チェンスには何とか耐えてもらい、村まで急いで運ぶという選択に至った。
《キュアー!》 キュイイン
緑の光がアルメリアを包み、ある程度傷を塞いだ。アルメリアは目を開き、起き上がった。
「はっ…やったのか!?」
「アルメリア様!よくぞご無事で…!」
「王子様、何とか動けませんの?」
「ああ、体中激痛がすごいけど、ゆっくりならいける」
「ならば、チェンスとリナリアちゃんを連れて、いますぐエルフの村へ戻りましょう!」
アルメリアは、体中に残る傷と毒の痛みに悲鳴をあげながら、何とか立ち上がった。
アルメリアがチェンスを、シンリナーがリナリアをそれぞれ背負い、聖域を後にした。
親玉討伐完了!しかし一同は深手を負ってしまった。




