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となりにはアンデッド  作者: 仁ぐうす
エルフの森
19/57

【19】ライフ・クライシス・アンデッド

絶体絶命のピンチを乗り越えろ!

毒怪蝶(どくけちょう)鱗粉(りんぷん)が舞い降りてくる。

アルメリアとチェンスは致命傷(ちめいしょう)を覚悟し、身構(みがま)える。そして、ついにその時はきた。


  パラパラパラ

 「ぐ!?」「おうえぇ!!!」



粉が皮膚(ひふ)に触れた瞬間、この世のありとあらゆる苦痛が二人を(おそ)った。

二人はもがき苦しみながらその場に倒れる。それを見たシンリナーはすぐさま回復魔法を(とな)えようとした。



《エナジーフラッ——》キュピヤアアアアアァァーーーーー!!



アルメリアの悪い予感が的中した。呪文を唱え終わる直前に、毒怪蝶が急下降し、襲ってきた。



「シンリナーさん危ないっ」


「きゃっ!」



とっさにリナリアがシンリナーをその場からどかしダメージを肩代わりした。



ガジンッ 「…っ!」



毒怪蝶の強靭(きょうじん)(あご)で、リナリアの露出(ろしゅつ)しているわき腹が(えぐ)られた。



「露出部分に攻撃とは…知性のある魔物のようですね…」


「ありがとう!助かりましたわ!しかし、今度失敗したら二人はもう……いや!やるしかありませんわ!」




シンリナーは再び魔法の詠唱に入る。それと同時に毒怪蝶も再び向かってくる。



(次の詠唱が途切れてしまったら、時間経過で二人共死んでしまう…何としても私が食い止めなければ…!)



リナリアは苦しんでいるアルメリアを見る。

(すで)に体中が紫色に染まっており、聞くに()えない(うめ)(ごえ)をあげている。

目は(うつ)ろになり、全身には(みずか)らひっかいたのであろう爪痕(つめあと)がびっしり付いていた。

それでも、必死なって死に(あらが)っている姿が見てとれた。



「私が…私がやらなければ…!」



徐々(じょじょ)に感情が芽生えつつあるリナリアは、今まで感じたことのない凄まじい重圧(じゅうあつ)()(つぶ)されそうになっていた。

体は強張(こわば)り、手足が震える。今の彼女は、(へび)(にら)まれたカエルそのものだった。



   キュピイイイイイイイインンンンーーーーーッ!!!!



毒怪蝶はもう目の前まで(せま)っていた。

リナリアの異変に気付いたのか、シンリナーが詠唱しながら彼女の肩を叩いた。

「はっ…!」と我に返り、振り向く。

   シンリナーは詠唱を続けながらも、優しく|微笑(ほほえ)んでいた。



「シンリナー様……!…よしっ」



ネガティブから抜け出したリナリアは気合を入れなおし、いつものように仁王立(におうだ)ちをした。

そしてリナリアと毒怪蝶は激しく衝突(しょうとつ)する。

 


     キュピイイイイイイ!! ガジッ ガヅッ


       「ううっ…!うあああああーーーっ!」



激しい攻撃に必死に耐える。魔物を(おさ)えていた腕は両方とも食いちぎられ、()みつかれた横腹は皮膚が破れ、内臓が()れ出していた。それでも、残った部位を使って必死に踏ん張る。

ただひたすらに踏ん張る。

ついに毒怪蝶の(あご)がリナリアの頭をめがけてとんできた。



「ううぅっ!アルメリア様ああぁぁーーーッ!!!!」

       

       《エナジーフラッシュ!!》

     

    ズバッ    ドスッ      キュピャアアアア!!!



瞬間、周囲に柔らかい緑の光が広がった。

同時に、毒怪蝶に斬撃(ざんげき)と矢が刺さる。たまらず毒怪蝶は距離をとった。


「あ…ああ……!」


リナリアの横には……  アルメリアとチェンスが立っていた。



「随分無茶させちゃったみたいだね……体、ボロボロじゃないか…ほんと、ごめんな」


「い、いいんです…いいんですよ…!アルメリア様が無事で…本当に…!」



リナリアはボロボロの体のまま泣き出した。そんな彼女を、アルメリアは優しく抱きしめてあげた。



「おいおいそんな肉片(にくへん)抱きしめていちゃいちゃしてんじゃねーよ!ここまだ戦場だぜ!?ってか俺にも少しは触れてくれよな~…」


「おそらくあなたの心配なんて誰もしてなかったでしょうね」


「何をお!」



毒の鱗粉を何とかしのいだ一同は、体制を立て直し、再び構える。



「鱗粉はほぼ枯渇(こかつ)しただろうけど、まだどんな隠し玉があるかわからないな」


「そうですわね、できるだけ固まって防衛しやすい体制をとりましょう」


「あの虫野郎も弱ってきてるはずだぜ!ここらで(たた)みかけてやろうじゃんか!」


「ここからが本番ってことですね…!」



窮地(きゅうち)(だっ)した一同は、休む間もなく次の攻撃に備える。



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