【17】バトル・インセクト・アンデッド
前座
一行は聖域へと急ぎ足で向かっていた。
「なー、もう少し仲間連れてきてもよかったんじゃねーか?」
「ダメですわよ、極力村を手薄にするわけにはいきませんでしょう?」
「そうだな、僕たちだけでカタをつけるのが最善策だ。だけど…正直心配ではある」
「心配いりません、アルメリア様がくださったこの装備があればきっと勝てます」
リナリアは元の無機質な表情に戻っていたが、目はキラキラと輝かせていた。
「どんだけその装備気に入ったんだよ…使い古しみてーなもんだろ?」
「チェンス~~…あなたやっぱり何もわかってませんわねぇ~!この子にはそれがいいんでしょうが!」
「楽しく話してるところ悪いんだけど、魔物の気配がする…」
「どうせ雑魚しかでてこねーだろ」
「そうだろうけど…何か様子がおかしい…」
聖域へと続く道はもう半分ほど進んでいる。それなのにこれまで一匹も魔物と遭遇していなかった。何か嫌な気配を感じるアルメリアは、反射的に身構えた。
「お、おい…マジでヤバイ空気なのかよ!?」
「ヤバイなんてもんじゃない…これは…」
アルメリアがそう言いかけた瞬間、左右の茂みから一斉に魔物の大群が飛び出してきた。
「これは奇襲だ!」
「あれは”平カブト”ですわね!平たい角は切れ味抜群なのですわ、気を付けてくださいまし!」
「気を付けるっつってもよお!おい!飛び掛かってきたぜ!どうするよ!」
平カブトの大群は左右に横一列で綺麗に整列し、もの凄い速さで迫ってきた。
「ギロチンのつもりなのか!?これは一旦避けるんだ!」
アルメリア達は左右へスライディングして回避した。ところがチェンスだけは避けていなかった。
「こんな雑魚、俺がぶっ倒してやるぜ!」
チェンスは連続で矢を放つ。しかし平カブトの硬い外殻に弾かれてしまった。
「う、嘘だろ…」
ギロチンはチェンスの胴のもうすぐそこまで迫っていた。
「終わった…」 キイイイン!
「…あれ?俺生きてる!?」
「これが…装備の力…!」
なんとリナリアがヘルムと腰当てを外してギロチン部分に当てて防いでいた。
「う~ん…なんか装備の使い方間違ってる気がするけど、サンキュー!助かったぜ!」
「アルメリア様以外を守るのは不本意ですが」
「油断しないで!次がきますわよ!」
魔物の大群がさらに陣形を変えて襲ってくる。
「今度は縦一列で来たぜ!」
「よし、狙いやすい!一斉射撃だ!」
シンリナーとチェンスは一斉に風魔法と弓を放つ。しかし、魔物は陣形を瞬時に変え、攻撃を避けた。
「くそっ!あいつらまとまって避けやがった!」
「いや、今だ!」
アルメリアは技を瞬時に放てるように、あらかじめ剣に魔力を通して構えていた。
「いっけええぇぇ!」 ズバシュッ
前回よりも大きな光の刃が魔物の塊に向かって飛んでいく。だが、分散してそれを避けようとしていた。
「だめかっ!?」
「させませんわよ!弱めのバリア!」
シンリナーは魔力密度の低いバリアで敵を囲み、位置を固定させた。結果、光の刃は見事的中し、バリアごと魔物を切り刻んだ。バリア内にいた魔物はほぼ全て壊滅した。
「あとはほんとに雑魚ばっかってわけだ!くたばりやがれ!」
残った魔物はチェンスの見事な射撃により全て撃ち落とされた。
「これは前座ってことかしら…中々粋なはからいですわね」
「前座でこの有様だ、親玉との戦闘はもっと激しいものになるだろうな…皆、気を引き締めて行こう!」
「おう!」 「はい」 「了解ですわ」
一同は緊張しながら、ついに聖域へと足を踏み入れる。




