【15】プレパレイション・アンデッド
決戦前の”準備”
「よう!鍛冶屋のおっちゃん、やってるかい!」
アルメリア達は決戦前に装備を整えるべく村の鍛冶屋を訪ねていた。
「おう!これは精霊様ご一行、どういったご用件ですかな?」
鍛冶屋の亭主は思ったよりぷよぷよとした体形をしていて、とても鍛冶師には見えない要望だった。
「あ、あの、新しい装備が欲しくて来たんですけど…」
「あー…そうでございますか。せっかく来ていただいたのに申し訳ないのですが、ここの商品はすべて合戦の時にダメになってしまいまして…」
「ここにも被害が出てしまっていたのですね…お気の毒に」
「おっちゃん!布っ切れでも何でもいいんだ!なにかないのかよ!?」
チェンスが問い詰めると、鍛冶師はそそくさと店の奥に引っ込んでしまった。
「なんだよ!鍛冶屋の魂なんてそんなもんなのかよ!」
「あなたが熱すぎるのですよ!ったく、そばにいると暑苦しくてかないませんわ」
「やはり、このままの状態で突撃するしかないのでしょうか…」
リナリアがそう呟くと、なんと鍛冶師が奥から戻ってきた。手にはなにやら素材を抱えているようだった。
「おじさん、それは?」
「装備の素材でございます。残り少ない備蓄ですが、これを使って装備を作らせていただきますよ!」
「なるほど、無ければ作れば良いのですわね!」
「何だよおっちゃん!中々熱いじゃねえかよ!惚れたぜ!」
「残り少ない貴重な素材を…良いのですか?」
「もちろんですとも!この森の救世主様の助力になれますこと、誠に光栄でございます」
「救世主だなんて…やめてくださいよ。皆の助けがあったからこそここまでこれたんですから」
「またまたご謙遜を!それでは私に着いて来てください。装備を作りながら効果を説明していきます」
鍛冶師について行くと、そこは作業場だった。どうやら装備を作るための設備はかろうじて無事だったようだ。作業場に着くなり、鍛冶師が急に神妙な顔つきになった。
「一つ、言い忘れたことがありました。実は…この素材の量では、せいぜい二人分の装備しか作れないのですよ…」
「まじかよおっちゃん!?」
「では、どなたの装備を作ってもらえばよろしいのでしょう」
皆が悩んでいる中、アルメリアはふとひらめいた。
「あの、ひょっとして僕のこの鎧も素材になりますか?」
「もちろんなりますが…その…よろしいのでしょうか?祖国の鎧なのでしょう?」
アルメリアには迷いはなかった。
「いいんです!このアスター王国の紋章は他の種族をこわがらせてしまうので、いずれ脱ぎ捨てようと思っていましたから」
「ほほっ!チェンスの言う通り、甘々な王子様ですな!それでは景気よく使わせていただきますね!」
少ない素材を使用した、鍛冶師による装備作りが始まった。




