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となりにはアンデッド  作者: 仁ぐうす
エルフの森
13/57

【13】グッド・ムード・アンデッド

斬撃をとばせ!

魔物の軍勢(ぐんぜい)との激しい合戦が始まった。

アルメリア(ひき)いる前線の物理攻撃部隊(ぶつりこうげきぶたい)は主に槍を使い、地上の魔物を討ち、中間にいるエルフによる遊撃部隊(ゆうげきぶたい)は弓を使い、宙に舞う魔物や前線の()()らしを狙う。

シンリナー率いる後方支援(こうほうしえん)魔法部隊(まほうぶたい)は、攻撃部隊へ強化魔法や回復魔法、時には援護射撃(えんごしゃげき)を行っている。即興(そっきょう)で構築した陣営(じんえい)の割にはほぼ完璧といってもいいだろう。

それでも、人数が多すぎるため、倒れた者を見逃すと、時間経過により、どうしても死者が出てしまう。



「くそっ…きりがない!…でも魔物を倒しているうちに力がついてきたような…」



多くの魔物を倒しているうちに、アルメリアの基礎能力値がそこそこ上がっていた。



「アルメリア様、今の身体能力なら強力な技が繰り出せるのでは?」


「新技か…そうだな…小さい頃やってみたかった“()斬撃(ざんげき)”…今ならできるかも…!」



アルメリアは剣をぎゅっと握りしめ、魔力を(やいば)に集中させた。すると、剣が(まばゆ)く光り始めた。



「いっけええええー!」 バシュッ



剣を勢いよく振り下ろすと、小ぶりではあるが、光の刃が飛んで行った。



「やった!できたぞ!!ぐふっ…」 ブスッ



喜びのあまり油断していたところを(はち)の魔物に刺されてしまった。その後、即座(そくざ)にシンリナーの回復魔法が飛んできた。



「もう、油断しないでください!あなたがやられたら統率(とうそつ)が乱れますのよ!」


「す、すみません…」



倒れては(よみがえ)り、魔物を倒し続けていると、急に魔物たちが退()き始めた。


「軍勢が退いていく…やったのか…?」


「何とかしのげたようですね」



エルフの集落から魔物が全て去り、エルフ達は歓喜(かんき)の声を上げていた。



「やったぞー!!」「村を守ったんだ!」「これでひとまず安心ですわ!」



アルメリアは死者を出してしまった罪悪感(ざいあくかん)を持ちながらも一息ついていると、一人のエルフの男が駆け寄ってきた。



「やってくれたな!俺はずっと信じてたぜ、王子さん!」



それは、弓矢で蜂の魔物から守ってくれたエルフだった。きりっとした顔の青年で、近くで見ると、割と筋肉もある。



「あ!あの時はありがとうございました!」


「そんな(かた)くなることないって!俺たちはもう仲間なんだからな!それに、俺たちも(あやま)らなくちゃいけないしな」


「それはもういいよ、仲良くできればなによりだから」


「ほんっとお前は甘ちゃんだなぁ!このこのっ!」


「わっ!やめろよ~!」



その夜、エルフの村はたちまちお祝いムードに入った。

旅に出てから大変な事ばかり続いていたせいか、それを発散するが(ごと)くアルメリアは仲良くなったエルフと共にはしゃぎまくった。

リナリアはというと、自分の肉を周りからは見えない位置からちぎり取り、エルフ達にふるまっていた。どうやらエルフ達には好評らしい。

そんな(ゆる)み切ったムードの中、シンリナーだけは考えに(ふけ)っていた。



「魔物の軍勢が退いていった方向には聖域が…ということは、今こうしている間にも…!」



陽気な雰囲気の中、一部不穏(ふおん)さを残しつつ夜が()けていった。



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