【11】アウェイ・ステイト・アンデッド
あうぇ~
アルメリア達は走り続けた。途中何匹か虫型の魔物に遭遇したが、シンリナーの補助魔法により俊足で逃走した。
「見えた!エルフの村!」
「ああ…なんということでしょう!」
そこには、多くの虫型の魔物に襲われ、逃げ惑うエルフたちの姿があった。建物も魔物の突進によりボロボロになっている。
「あんな大群で襲ってこられては、範囲魔法を持たない者共では対処しきれませんわ!」
「バリアだ!一旦ここにエルフ達を誘導して守るんだ!」
「そ、そうですわね!」
「おーーい!みんな!こっちだ!精霊様がいるから来てくれー!」
そう呼びかけると、エルフ達は一斉にこちらに駆け寄ってきた。バリアの効果範囲内に集まったところでシンリナーはバリアを張った。
「おお!親愛なる精霊様!我々を助けてくださったのですね…!ありがたやぁ…」
「精霊様!一体何が起きたというのですか!?」「お願いです!救済の一手を・・・!」
集まったエルフ達はパニックのあまりシンリナーに助けを求め詰め寄っていた。
「ちょっ、落ち着いてください!ここにいる間は安全です!まずは状況を説明させてください!」
シンリナーの声を聞いたエルフ達はたちまち一斉に静まり返り、目の前に手を合わせ、話を聞く体制?に入った。
「いいですか?現在森の魔物が急に活発化したようです。その背景には、聖域を乗っ取ろうとする親玉の存在があるに違いありません。ですが、この惨状を見るに、私だけでは太刀打ちできないと判断しました。そこで、戦えるものは、どうか共に戦場へ赴いていただきたいのです。どうか、わたくしどもにお力添えを…!」
シンリナーの必死の演説に心打たれたのか、エルフ達から歓声が上がる。
「精霊様直々のお頼みだ!いつもこの森を守ってもらってるんだ!今度は俺たちが精霊様をお守りする番だ!」「うおーー!やってやるぜ!」「怖いけど、後方支援なら私も頑張るわ!」
(さっすがこの森の精霊様、信仰力凄いな…)
まるで凱旋のような光景に、精霊の偉大さを感じずにはいられなかった。そして、いざ戦闘へ、と思いきや、再びシンリナーが話し始めた。
「もうひとつ、あなた方に伝えておくことがあります。」
シンリナーが話始めると同時に、再びエルフ達は静まり返った。
「ここにおられますお二方は、種族は違えど、私たちの力になってくださる存在です。どうか差別の無きよう、共に手を取り合っていただきたい」
そういって、シンリナーはアルメリアとリナリアをエルフ達の前に誘導した。
「や、やめてくださいよ恥ずかしい」
「戦いにおいて信用関係というのは大事なものなのですよ」
「…といいましても…」
シンリナーの演説の時のような歓声が上がるかと思いきや、周りがざわざわし始めた。
ざわめきの中から、ひそひそと会話が聞こえてくる。
「あの白いメスってこの前のアンデッドだよな…」「きっとあいつは裏切るに違いねえ…!」 「あの男の鎧にある紋章ってアスター王国のだよな…ついに俺たちまで根絶やしにしに来たんじゃねえのか!?」
このざわめきに耐えかねて、シンリナーがなだめようとするも、一向に収まる気配はない。
ついには大声で反対を叫ぶ者も現れ始めた。
「アルメリア様…やはりここにいても意味は…」
リナリアが心配そうに見つめてくる。しかし、この圧倒的アウェイな状況であるにもかかわらず、アルメリアは極めて冷静であった。
「これは、試練なんだ…王の器に足る存在かを、たった今試されているんだ、そう感じる」
そう言うと、アルメリアは反対するエルフ達の前に堂々と立ち、叫んだ。
「我が名はアルメリア・アスター!アスター王国の王子なり!」




