【10】ゴートゥー・サンクチュアリ・アンデッド
チュンチュン
「…ん、朝か。」
目が覚めると、辺りにはいい匂いが漂っていた。なんと、目の前でシンリナーが料理をしていたのだ。
「あら、おはようございます、王子様」
「なんと!精霊はお料理もできるんですね」
「当り前ですわ。さ、できましたわよ。お召し上がりください」
料理の入った紫色の器を受け取る。出来栄えよりも具材のほうを心配したが、すごく美味しそうに見えた。
(スープか…色は悪くないな…。肉も艶のあるいい色をしている…考えすぎか?)
アルメリアはゾンビ肉の件もあり、料理の具材に敏感になっていた。
「じゃあ、いただきます!」 ぱくっ
「ん!うまいっ!シンリナー様万歳!」
「あら、褒めても何も出ませんわよ」
ニコニコしているシンリナーの横でリナリアが何か言いたげな目をしてこちらを眺めていた。
「?どうしたリナリア?」
「お気に召されたようでなによりです。やはり美味しいのですね、私のお肉」
「!」
リナリアの言葉を聞いた瞬間、アルメリアは凍り付いた。同時に、再度料理の具材を確認する。
(今回の肉はどうみても普通だ…何が違う?リナリアの体はどこも欠けてる様子はないぞ?…はっ!まさか!!)
ふと思いつき、スプーンで肉と汁をすくってみた。すると、肉と汁はほんのり紫がかっていた。
「そういうことか!これは器の色を利用したトリックだったのか!くそー、してやられた!」
「ふふっ、私このお肉が気に入りましてよ」
「精霊のくせに…」
アルメリア達は朝食を済ませ、再び森の奥へと進み始めた。奥地へ行くほどに、青白く光るキノコや霧のようなものを吐き続ける花など、幻想的な風景が広がってきた。
「やっぱり聖域の近くになると神聖な植物が育つものなんだな」
「はい、これらはすべて聖域からの神聖な魔力を栄養に育った“魔力草”です」
「じゃあ、その聖域が魔物に潰されたりでもしたら…」
「ええ、一斉に枯れてしまうことでしょう…」
事の重大性に気付いたアルメリアは、焦る気持ちを抑え、慎重に森を進んでいった。
しばらく歩いていると、前方から青い光が差し込んできた。
「着きましたわ、ここが聖域でございます」
「なんて神々しいんだ…」
そこは、木でできた大きな空洞のようなもので、地面には青白く光る大きな魔方陣が描かれていた。そこからはとてつもない魔力を感じ、アルメリアは思わず身を震わせた。リナリアはというと、神聖な魔力を嫌っているのか、アルメリアの背中に隠れていた。
「しかし…どこにも魔物らしきものは見えないな」
「おかしいですね…確かに聖域にいると…」
ドゴオオォォン
瞬間、遠くで凄まじい爆発音が鳴り響いた。
「な、何事ですの!?」
「あっちの方角には……まさか!!二人共、急いで戻るぞ!」
「ああ、エルフの民よ、どうかお無事で…!」
二人と一匹は大急ぎでエルフの集落へ向かうのであった。




