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となりにはアンデッド  作者: 仁ぐうす
エルフの森
10/57

【10】ゴートゥー・サンクチュアリ・アンデッド

チュンチュン


「…ん、朝か。」



目が覚めると、辺りにはいい匂いが漂っていた。なんと、目の前でシンリナーが料理をしていたのだ。



「あら、おはようございます、王子様」


「なんと!精霊はお料理もできるんですね」


「当り前ですわ。さ、できましたわよ。お召し上がりください」



料理の入った紫色の器を受け取る。出来栄(できば)えよりも具材のほうを心配したが、すごく美味しそうに見えた。



(スープか…色は悪くないな…。肉も(つや)のあるいい色をしている…考えすぎか?)



アルメリアはゾンビ肉の件もあり、料理の具材に敏感(びんかん)になっていた。



「じゃあ、いただきます!」 ぱくっ


「ん!うまいっ!シンリナー様万歳(ばんざい)!」


「あら、褒めても何も出ませんわよ」



ニコニコしているシンリナーの横でリナリアが何か言いたげな目をしてこちらを眺めていた。



「?どうしたリナリア?」


「お気に召されたようでなによりです。やはり美味しいのですね、私のお肉」


「!」



リナリアの言葉を聞いた瞬間、アルメリアは凍り付いた。同時に、再度料理の具材を確認する。



(今回の肉はどうみても普通だ…何が違う?リナリアの体はどこも()けてる様子はないぞ?…はっ!まさか!!)



ふと思いつき、スプーンで肉と汁をすくってみた。すると、肉と汁はほんのり紫がかっていた。



「そういうことか!これは器の色を利用したトリックだったのか!くそー、してやられた!」


「ふふっ、私このお肉が気に入りましてよ」


「精霊のくせに…」



アルメリア達は朝食を済ませ、再び森の奥へと進み始めた。奥地へ行くほどに、青白く光るキノコや霧のようなものを吐き続ける花など、幻想的な風景が広がってきた。



「やっぱり聖域の近くになると神聖な植物が育つものなんだな」


「はい、これらはすべて聖域からの神聖な魔力を栄養に育った“魔力草”です」


「じゃあ、その聖域が魔物に潰されたりでもしたら…」


「ええ、一斉に枯れてしまうことでしょう…」



(こと)重大性(じゅうだいせい)に気付いたアルメリアは、焦る気持ちを抑え、慎重(しんちょう)に森を進んでいった。

しばらく歩いていると、前方から青い光が差し込んできた。



「着きましたわ、ここが聖域でございます」


「なんて神々しいんだ…」



そこは、木でできた大きな空洞のようなもので、地面には青白く光る大きな魔方陣が描かれていた。そこからはとてつもない魔力を感じ、アルメリアは思わず身を震わせた。リナリアはというと、神聖な魔力を嫌っているのか、アルメリアの背中に隠れていた。



「しかし…どこにも魔物らしきものは見えないな」


「おかしいですね…確かに聖域にいると…」


      ドゴオオォォン



瞬間(しゅんかん)、遠くで(すさ)まじい爆発音が鳴り響いた。



「な、何事ですの!?」


「あっちの方角には……まさか!!二人共、急いで戻るぞ!」


「ああ、エルフの民よ、どうかお無事で…!」



二人と一匹は大急ぎでエルフの集落へ向かうのであった。




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