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自動販売機物語〜プロローグ〜  作者: 帝王ミルザム
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自動販売機物語〜プロローグ〜

俺の名前は山田 金谷。ただの高校一年生だ。


そこまで、勉強ができるわけでもなく、

友達が沢山いるわけでもない。大勢でいるより、

1人が好きなタイプの人間だ。


今日もなんとなく起きて学校へ向かう。


「お、マジかまた7時ジャストじゃん。ラッキー!」


俺は夜十時に寝て七時に起きるという習慣を徹底

しているうちに、体内時計が完璧に出来上がって

しまったのだ。

起き上がり、朝食を済ませ、制服に着替えた。

「よしっ完璧」そう心の中で思った後家を出た。


今日もなんとなく起き、なんとなく家を出て行く、

正直こんな日常に退屈している。

少し早めに行って、今日の授業の予習でもしておこうかと考えた俺は少し早く歩いた。


歩いて行く途中には

高校に入ってから通い始めた塾がある。

その塾から十メートルほど離れたところにある自動販売機で飲み物を買い、早足で高校へと向かった。


高校につき、先ほど買った飲み物を飲むと、

席に着いた。しかし、来るのが少し早すぎたため

か、誰も教室にはいなかった。

そんなことは、気にせず、俺はノートと数学の教科書をカバンから取り出し、予習を始める。

スムーズに今日行われる授業の予習をこなしていく

様はまるでどこかロボットのように見える。


数学の教科書とノートを閉じ、カバンへ入れ、

前を向くと、教室には半分くらいの生徒が来ていた。


「集中し過ぎて、来てるのわかんなかったぜ、、」


心の中で謎のガッツポーズを決めた俺は、

そそくさと、友達の元へ向かう。

俺の友達林 康介だ。彼は名門○○田大学を受ける

という結構頭も良いが、女の子と喋ることができないコミ障野郎だ。


「よっ、康介!」


威勢のいい挨拶と共に背中を叩いたが、びくともしない。なんとも言わない。その様子を心配し、


「おいおいどうしたんだよ、、おい、大丈夫か

顔真っ青だぞ、」


声をかけ、顔を覗きこむと、そこには真っ青な康介の顔があった。少し目は涙ぐんでいる。


「いや、マジどうしたんだよ。


そう言った時、彼は俺に何かが書かれた紙を手渡した。


「退塾届、、、、、、、」


その見て、読んだ瞬間俺は言葉を失った。

同じ塾に同じタイミングで入ったのだから、言葉

を失うのも無理はなかった。

康介は言った、


「俺さ、、両親が、どうしてこんなに成績が

落ちてるんだって言いまくって、教師は最善を尽くしているつもりなのですがって、、で、そんなことが

会ったからずっと先生の俺を見る目が強くなって、

これまでは、自習室で喋っててもあんま怒られなかったのに、めっちゃ怒られるようになって、ついには

周りの生徒から喋ってるって聞いたことをメモした

やつを俺に見してきて、お前はもう退塾だって、両親はもうカンカンで、昨日は家の外で3時間も正座させられて、、、、、、、こんな理不尽な話あってたまるかよ!」


その話を聞いた俺は、自分には関係のない話だが

無性に腹が立った、しかし、退塾届を渡された以上

塾を辞めるに変わりはなく、この現実を変えることも

できない。


その後、康介を慰め、朝休みが終わり授業が始まった

康介は一日中どんより悲しげな顔で、授業を受けていた。


授業が全て終わり帰る時間になった。俺はこの後まっすぐ塾へそのまま向かう、これまで一緒に行っていた康介はもう一緒ではない。1人で向かうのはとても寂しく、悲しかった。そんな気持ちで塾へと入っていった。


「お、今日もよくきたな金谷。どうした、元気

なさそうだな」


塾に入ると、康介に退塾届を渡した講師がいた。

俺がいつもに比べとても小さな声で挨拶をしたからか、心配してきた。俺はそんな事は気にせず席についた、講師は首を傾げながら事務室へと入っていった。


塾が終わり、外へでた、そして自動販売機で飲み物を

追加で買っていた時だった。 


「サッサッ、」


謎のシャープペンシルを走らせるような音が耳に入ったのだ。俺はびっくりして自動販売機の上を見た。

そこには康介の姿があった。


「おいそこでなにしてんだよ」


「勉強に決まってんだろ」


「勉強?」


俺は意味を理解できず、その妙な光景を見ながら聞いた。


「なんでそんなとこで?」


「なんでって、勉強するとこねーからに決まってん

じゃねーかよ。塾には行けねぇし、家では親がうるせぇし、図書館はこの時間帯閉まっとるし、勉強には

ここしかねぇって発想にいたったまでよ」


俺はまた、言葉を失った。朝とはまた違う言葉を失うという感覚に、俺は身体がまだついていかないのだ。


「お、おおー、、天才だな」


とっさに出た言葉がこれだった。

康介はニヤッと自慢げに笑うと勉強を再開した。


俺はとても不思議な気持ちで、家へと向かった。

さっきのこと(あいつなに考えてんのかマジわかんねぇ)などを考えながら向かった。


そして家に着き、「ただいま」というと母さんの

「ただいま」がいつものごとく返ってきた。

石鹸で入念に手を洗い、顔を洗い、夜食を食べ、

風呂に入り、明日の学校用意をし、寝床についた。

そして目をつむって考えた。


「あいつってあんなだったっけな、まぁ発想力には

たけたけど」


そう呟いたあと眠りについた。











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