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旦那様が多すぎて困っています!?〜逆ハー異世界ラブコメ〜  作者: ことりとりとん


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33/51

33.噂になってるらしい

 

 借りた本を持ってくれるという2人を制して、自分で本を抱える。


 これは私の本なのだ。

 誰にも渡さないぜ!


 久しぶりのお出かけの上に自分の好きな図書館ってことでテンションが上がってる私を、なだめるようにして馬車に連れて行った。


 確かにあのまま置いておくと1週間くらいあそこに浸ってられる。


 半分無理やり馬車に乗せられて、家に帰る。


「王宮とか魔術師団の結界でも影響なかったなぁ」


「ほんの少し歪みがあったけど、他に迷惑をかけるほどではなかったと思う。ただあれだとほとんどの魔術師は感じた」


 ん?何の話?

 カイルとツィリムの話についていけない。


「結界を通る時にイズミの魔素が影響して少し歪むんだ。もしかしたら侵入者として受け取られてしまうかもしれないくらい歪むから心配してた。

 今回はそう見られなかったみたいだけど」


「たまには大きな魔力を纏ったような装置を運び込むこともあるし、それと同じだと思われてるんだと思うぞ。特に申請とかしてないんだが、まぁ申請漏れと思われたんだろ。ラッキーってことで」


「じゃあ、他の人から伝わって欲しいって言う、カイルとツィリムが思ってる方向には行きそうってこと?」


「そうだな。今日のだけだったら別に何もないと思うが、まぁそのうち誰かが何か言い出すだろう。

 噂になったらそれに便乗すればいいかもしれんし、俺らが教えてやるんじゃなくて王宮の政府側の人間が自分たちで気づいたようにしないと後々面倒くさいかかもしれない。

 イズミは本当は何もしないで平和に生きてたいのに、あいつらが呼び出してくるんだっていう建前の方が色々言いやすいだろう?」


 なるほどー。

 本当に色々考えてくれてるな。

 私はどれだけふわっとした頭で生きてるか……

 反省して、ちゃんと考えないと。

 自分の未来がかかってるんだから。



 家に帰ってからは、私は借りてきた本にどっぷり浸かった。

 今まで読んでいた本はカイルやツィリムが持っているもので、ちょっと専門的すぎてわからないことが多かったり、基礎知識がないために理解できないことだってあった。

 でも今回は、私がわかりそうな簡単めなものを借りてきたし、前に読んでいて分からなかったことがこれを読んで分かるってこともあって、とっても楽しい。

 久しぶりに1日が飛ぶように過ぎた。

 私何もしせずに終わっちゃったけど……ごめんなさい、許して!




「ただいま。ふー、疲れた。」


 ツィリムが帰ってきた。


「おかえり。今日はちょっと早かった?」


「いつもはこの時間実験とかして遊んでる。

 でも、今日は質問攻めがうるさくてうるさくて」


「質問攻め?」


「昨日、図書館にイズミを連れて行ったのんが師団の他のやつらにばれていて、連れてこい連れてこいとうるさくて仕方がなかった。

 昨日司書に話しかけただろう?」


「うん。本の場所が分からなかったから。結局なかったけど」


「そうやって夫を介さずに話す女はとても珍しいし、もしかしたら自分に話しかけてくれるんじゃないかって期待してるんだ、あいつら。特に俺が今いる隊は独身が多いし」


 人と話すのは苦手なツィリムにとっては知らない人にも話しかけられて、本当に面倒な1日だったんだろう。


「ごめんね、おつかれ」


 そういって少し抱きしめるとすぐに機嫌が戻ったみたいで。


「あのね、私、今日はずっと借りてきた本を読んでたんだけど、結構色々わかることが増えて楽しくなってきた。ちゃんと勉強したいなーって思ったり」


「それならわからないことがあったら暇を見つけて教える」


「うん、ありがと。多分わからないところは聞くと思う。基礎の本借りてきたけど、それでもわからないことが多いからちょっと無理かなーって」


「今までも教え言ってくれたら教えたのに」


「何を聞いていいか分からない位だったんだって」


 そうやって笑って喋っているとそのうちにカイルも帰ってきた。


「酷い目にあった」


 カイルはツィリムと違って苦笑気味に言っているだけでツィリムみたいにバテバテにはなってないけど、それでも面倒だったんだろう。


「なんだかごめんね、私のせいで」


「いや、俺らがこうしようと思ったんだからそれはいいんだが、むしろ反応が大きすぎて面倒くさい」


「大変だねぇ」


 ちょっと他人事みたいな感覚になってる私だけど、これが長引いたら2人にも迷惑だし、私も大変なのかな。


「イズミルとたまたま喋った司書がかわいいかわいいって言いふらしってやがって」


 心底嫌そうなカイル。


「そんなに可愛いとか言われるほどじゃないと思うけど……まあ、物珍しさもあるのかな」


 気楽にそうなことを言っていると、私の顔色を伺うようにしながらツィリムが口を開いた。


「もし、イズミがそうやって言われるのが嫌じゃなかったら、できたら今度は魔術師団に来てほしい。

 事務所に前に一番最初会った時にも行ったところ、覚えてる?」


「うん、行くのは全然良いって言うか、むしろ連れて行って欲しいんだけど、何があるの?」


「今、魔素が結構いる機構をやっていて、どうしてもイズミに来てほしい。

 家に持って帰ってきてやってもらおうかと思ってたんだけど、ちょっと持って帰れる大きさに出来なくて」


「いいよ、いいよ! じゃあ行こう。楽しそうだし! 

 図書館にも連れてってもらったし、ちょっとずつ私の行動できる範囲を広げたいから、行きたい」


「そう言ってくれると嬉しい」


 ツィリムはあんまり見ないくらいに笑っていて、やっぱり魔術とか機構とかが好きなんだなって思う。


「いつ行く?別に私はいつでもいいよ。なんなら明日でも」


「明日にするか?もうそろそろ早く言っておかないと周りはうるさいし、王宮側がグダグダ言ってくるかもしれないし」


 カイルが手帳を見ながらそう言う。


「そっか、私はいつでもいいよ。お出かけは普通に楽しみ」


「じゃあ、悪いが明日一緒に行ってくれ。朝一でも大丈夫か?」


「朝イチかぁ……じゃあ今からクッキー焼こっかな。持っていってくれたら食べてくれるかなぁ?」


「むしろ喜んで食いにくると思うし、結構量作らないとみんなには行き渡らんたいと思うが」


「ええ、そんなに量は作れないな……うーんどうしよう……いやでも別に明日1日だけって訳じゃないんだよね?他に行く機会もあると思うし、足りなかったらそれはそん時ね」


「まぁそうしないと全部作ってたらキリがないだろうな」


「うん! じゃあ、今から焼いてくる!」



 明日が楽しみだな!


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