希望
疲れてた。無性にポエム的なものを書きたくなってしまった。
手のひらから飛び立っていった紙切れを私は見つめていた。
「さようなら」
過ぎ去っていた私の憧れにそう呟いく。
「明日からどうしようか」
真っ白になった予定帳とにらめっこしながら新しい予定を埋めていこう。
今までのように、何かに追われる必要はないんだって思ったら気が少し楽になった。そしてなんだか世界の色が少し薄くなったみたいに見える。
夏が終わって、もう秋だ。冷たい風が少し待ち遠しく思えるのはなんでだろうか。冬なんて大嫌いだったはずだったのに……。
ブーンブーンとポケットのスマホのバイブレータが動いた。
「ご飯は何が食べたいですか」
お母さんからのメッセージだ。食べたいものは幾らでも頭の浮かんだ。ハンバーグにステーキ、フライドチキン。これからは何でも食べていいのだ。だけど、メッセージには、なんでもいい一言だけ。
ブーンブーン再びお母さんからだ。
「わかった、早く帰っておいで」
そっけないメッセージでもなんだかホッとした。
あたりを見ると既に暗くなり始めていた。
「もうこんな時間か」
時計を見たら針は7時を指そうとしていた。思ったより長い時間ここに居たみたいだ。
私はこの公園にはなにかがあるとやってくるのは昔からのことだ。多分私のお気に入りの場所なんだろう。
ふと足元を見ると、さっき飛ばしたはずの紙切れが一枚だけ落ちている。
なんとなく拾ってみる。
「私の目標」
いつかの私の文字。
「私の今の目標って何なんだろう」
誰も聞いていない私の声。もし、今見える星の一つでも私の声を聞いてくれたら。そんなことを考えながら私は公園の外へと足を向けていた。