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 パイロットスーツに着替えた生徒たちを見やり、律はこういった。


「みんな指示通りパイロットスーツに着替えているわね」


 感心したような口ぶりの律は、それからこういう。


「このプロセン学園に居る以上、緊急事態にはいつでも備えられるように」


 といってから律は生徒を安心させるためにこういう。


「まあ、あなた達が休んでいる間は私たち教陣が持ち回りでここを守るから休める時はしっかり休んでね」


 実際、中学生の生徒たちは精神的にも若い。遊びたい盛りでもあると思うし、いつでも気を引き締めるなんて難しい。


 なので生徒たちは律の言葉を受けて安心したのである。


 そして、四時間目。今回は家庭科の授業である。


 家事は女性の物というのはもはや過去の話だが、それでも教養としてある程度はこなせた方がいい。


 そして料理だが、レシピが機械で出せるといっても結局最後は人が作る物なのだ。


 なのでこの時代になっても家庭科が存在するのはむしろ当然のことでもある。


 料理は火を使うから安全面でも配慮が必要なので尚更だ。


「今日は肉じゃがだぞ」


 そんな律の言葉に、涼は昨日の律が作った料理は肉じゃがだったことを思い返す。


 つまりあれは生徒の肉じゃが作りを見るための試作も兼ねてだったのか、と涼は思った。


 そんな涼をよそに、枝里はこういう。


「肉じゃがか……あんま得意じゃないんだよね」


「枝里も料理するんだ」


 茶化す愛に、枝里はこういった。


「親に作ってもらってばかりも悪いからね」


 具材は既に調理台の上で並べてある。


 チャイムが鳴り、後はそれをレシピ通り調理するだけなのだが。


「でも、今日はちょっと醬油多めがいいかもです」


 と涼はジャガイモの皮を丁寧に向きながらいった。


「どういうこと?」


 枝里は思わず涼に聞いた。


「今日は湿度が高い……つまりその分ジャガイモが湿気てるんです」


「本当なの?」


 枝里はなおも涼に問いかけるが、それに愛はいった。


「湿度が高いとジャガイモが湿気るかどうかは分からないけど、涼の感覚は本物よ」

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