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「いいも悪いも『使い手』次第、ともいうしね」


 そんな愛に、涼はこう問いただす。


「何ですか、それ?」


「昔のロボットアニメにあったフレーズらしいわ」


 そう返した愛に、涼は頷く。


「ああ、懐かしのアニメ特集でやってましたね。何でもロボットアニメの走りといってました」


「それが無ければその後のロボットアニメはなかった、ともいえる作品。それはもう一つあるけど」


 愛の言葉に、涼は返す。


「人が乗って操縦するロボットで、世界征服を狙う博士と戦う物語でしたね」


「そう。そのアニメには、日本中が釘付けになったといっても過言ではないほどよ」


 涼はそんな愛に、頷く。


「ロボットアニメはその二作が無ければまず語れない、といわれる作品ですからね」


「歴史の教科書にも載ってるくらいだしね」


 2050年にもなれば、アニメは教科書で習うのが当たり前の時代である。


 クールジャパンという言葉が合言葉になったように、日本のそういったカートゥーンは世界に誇る物である。


 一時期は規制まで考えられていたのが嘘のようだ、という人も居るほどである。


「愛はアイドル物が好きだっていってたけど、ロボットアニメとかは見ますか?」


 素朴な涼の疑問に、愛はこう答えた。


「そうね。可愛い系のアニメに飽きた時、ロボットを操縦するシミュレーションも兼ねて見るわ」


「好きな物でも飽きるんですか?」


 更に問いただす涼に、愛はこう答えた。


「人間だれしも同じことばっかやってたら飽きるわ。だからこそ奇をてらった作品が称賛されるんだし」


「奇をてらった作品……王道魔法少女物だと思ったらダーク系だったりですか?」


 なおも疑問をぶつける涼に、愛はこう答えた。


「それも教科書に載ってた作品ね。正直、教科書に載せるにはショックがでかすぎると思うんだけど」


「そういう初見殺しは『知られた』時点で面白さは半減しますしね」


 そんな涼に、愛は首を傾げた。


「案外、それを知った上で逆に興味惹かれる人も居たりする物なのよ。お化け屋敷なんかが典型ね」


「そんな物なんですか?」


 再び質問をぶつけてきた涼に、愛はこう答える。


「他人から聞くのと実際に見るのは違う、ということでもあるみたい。百聞は一見に如かずともいうしね」


「まあ、面白さは味わえないのかもしれませんけどね」


「精神が弱い人なんかだと知った上である程度心の準備しないといけない、なんてこともあるみたいだけど」


 妙に具体的な愛に、涼はこう問いただす。


「それって実例でもあるんですか?」


「私の父がそういう人なのよ」

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