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「さて今日までの訓練を以て、君たちは明日から朝パイロットスーツへ着替えることになるわけだが」
生徒たちは当然だ、という雰囲気で律の話を聞いていた。
「まあ、新入りも居ることだし改めて周知させてもらっただけだ」
そして、律は生徒たちを見据えこう続ける。
「君たちはまだ中学生だが、もしもの時に備える必要はある。だからこその処置だ」
生徒たちはその言葉を黙って聞いていた。
すると、律はこう続ける。
「というわけで、今日の午後はクラスで選抜を行おうとおもっている」
そんな律に、枝里はこう切り返した。
「それなら、私がやります」
だが、律は彼女の申し出に釘をさすようなことをいう。
「確かにプレスコットという専用機を持たされるに相応しい実力はある。けれど……」
「もしかして、涼を!?」
そんな枝里に、律はものともしなかった。
「いとこだから、ってそう思ったのか?私は愛を推そうと思った」
すると、愛は律にこういった。
「私はあくまでカスタム機。涼の方が適役じゃないですか?」
「それも考えていた、とはいってもいとこを贔屓するようで抵抗があった」
「律は気を遣っていたとはいっても、私は涼が選抜なんて認められません」
そう食い下がる枝里に、律はこう切り返した。
「それはどうして?」
「朝いっていたじゃないですか。彼は新型の実験に使われているだけだって」
毅然とした態度で理由を述べた枝里に、涼は流石に口を挟まざるを得なかった。
「律が決めたことです。確かに私は未熟ですが、それをどうこういうのはお門違いじゃありませんか?」
「あなたが未熟だってのが一番の難点だっていうだけの話です。別に私は愛なら文句ありません」
律へも話しているので敬語を使う枝里に、律はこう返した。
「でも、愛は選抜やりたいといっていない。涼は私のいうことに異存がないようだし」
「でも、だからって納得しろっていうんですか!?」
すると、そこに一人の少女が割って入る。
「そこまでにして欲しいかな。私も、黙ってはいられません」
そういう少女はボーイッシュな雰囲気を纏っていた。
「荒川 瑞樹……あなたも専用機持ちですよね?」
「別に私は選抜に興味ありませんしね。律が涼を選ぶならそれで構いません」
そんな対応をする瑞樹に、枝里はこう切り返す。
「じゃあ、私は涼と決闘するわ。私が勝ったら譲ってもらう……っていうのも何だし瑞樹さんに譲るのはどうですか?」
「私はいいんですが、瑞樹さんの意見も聞きましょう」
ことを荒立てないため決闘を受けた涼に、瑞樹はこういった。
「私は別に構いませんよ」
「私もそれで枝里の気が済むなら構わない」
律も枝里の提案に頷き、とりあえずその場は収まったのだった。




