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それにしても、と愛は涼に語り掛ける。
「そのスタイルを引き立てるパイロットスーツ。もしかして律が……?」
「女らしさを引き立てるデザインにした、っていってました」
ボロを出さないためにですます調へと戻した涼がそう返すと、愛はこう答える。
「まあ、確かにスタイル抜群な見た目を引き立てるデザインだとは思うけど……」
「愛はシンプルなデザインですからね」
あっけらかんと返す涼に、愛は頷く。
「私も小さい訳じゃないからね。カップでいったらDくらいだし」
「別に女性の魅力は胸だけじゃないと思いますが……」
涼は根っからそう思っているように愛へそういった。
「実際、あなたは男子からモテモテだったって聞いたからね」
「誰から聞いたんですか?」
愛の情報源が気になった涼がそのまま聞き返すと、彼女はこう返した。
「鎌かけてただけなんだけど……こういうのにはあっさり引っかかるのね」
「別に私が男にモテるからどうだっていうんですか?」
いくら同性婚が認められているとはいえ、自分が男子から迫られるのは好きじゃないと涼は言外にいった。
「女性として羨ましいわね、正直」
「正直、そういうことを羨ましがられても困ります」
涼は苦笑交じりにそういうのだった。




