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転校生の紹介も終わり、律は生徒たちを見据える。
「さて、そろそろ授業を始めるぞ」
そんな律の合図で、まず始まったのは国語だった。
プロセン学園でも、義務教育過程にある生徒たちは普通の授業も受けるのである。
そうして普通に授業が過ぎていくと、三時間目に生徒たちは着替えを始める。
涼は傷を見せたくないという体で保健室へと向かうのだが、そこに愛がやってくる。
「隠していても分かるわよ、涼。あなたは私の幼馴染よね?」
「もしそうだとしたらどうだっていうんですか?」
まだしらを切ろうとする涼に、愛は彼を見据えながらいった。
「どういう事情か分からないけど、私はあなたの助けになりたいのよ」
「僕のことを気に掛けてくれているの?」
首を傾げる涼に、愛は頷いてこういった。
「私はあなたの助けになりたいのよ」
そんな愛に涼は頷き返す。
「昔からのよしみだし、お互い様ってところかな」
それなら、と彼は微笑んで続ける。
「よろしくね、愛」
「それじゃあ、着替えの手伝いをするわ」
愛はそういって、涼の着替えの手伝いに取り掛かるのだった。




