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涼と律がスカイアーツの動力源である『リンクシード』について話をしていると、店員が服を持ってやってくる。
その服は涼の可愛らしさを存分に引き立てる物であり、店員のセンスがうかがえる物だった。
「試着いたしますか?」
「はい。でも、一人でやります」
そういって涼は試着室までは店員に案内され、試着室では一人で着替える。
「男物と女物じゃボタンの位置が違う、とはいいますが……」
周りに聞こえない声量でつぶやく涼は、女性下着に身を包んだ自分の姿が見える。
パンツの下には補正下着を付けられているため、もっこりとしては見えない。
胸にもパットを付けているため、これが自分でなければ下着姿の女性だといわれても信じていただろうと涼が思うほどだった。
涼は店員に入ってこられても困るので自分の下着姿を見るのをほどほどにし、
試着のために店員が選んだ服に袖を通す。
スカートなので当然スースーするのだが、彼はそもそもここまで来る時もスカートだったのでその感覚には慣れて来ていた。
慣れてしまってはいけないことかもしれないが、こればかりは仕方ないと涼は自分にいい聞かせつつ試着室を開ける。
それもそのはずで試着室の前には彼の後を追いかけてきた律が居たからである。
といっても律はあくまで服が似合うかどうか見るために来ただけなのだが。
それを察していた涼は律にこう問いかける。
「どう……ですか?」
「あの店員、中々の見立てね。そういうのがあなたに似合うのかしら」
涼の来ている服はガーリーな物であり、彼の『可愛らしさ』を引き立てている。
それが似合ってしまうことに涼は愕然とするものの、気持ちを切り替える。
「それじゃあ、買います」
「まだそれだけじゃダメよ。女の子はおしゃれしなきゃ」
そういって律は更に服を選んでいき、気づけば昼になった。
律は今日買った服で一杯になった袋一つを持ってこういう。
「下着を買う前に、まずはお昼にしよう」
「……そうですね」
下着を買うということはつまり女物の下着を買うということなのだが、
涼はお腹が空いていたこともあって律に同意したのだった。




