ペンを受け取ったのだった
悲鳴をあげる男女が近くにいたようだ。
そういえば先程上空から様子を見た時、男女が道を歩いている人間が見えたが、まだ近くにいたらしい。
さて、どうしよう。
こういう場合、特別な能力を目撃されてしまった場合は、目撃者を消すという選択肢も存在する。
のだが、この能力を知られたところでどうにかなるのだろうか?
というよりは、失礼しましたと言ってこの繋いだ空間を消し去って、何か厳格でも見ていたのかもしれないという落ちに持っていくのも正解なのではないかと俺は気づいた。
なので俺は何事もなかったかのように部屋に戻り、この空間と空間が繋がっているのを消そうとした所で……ルナが悲鳴を上げた。
「な、なんでこんな所にいるのですか!」
その声に二人の男女がその声の主であるルナを見た。そして、
「ど、どうしてお前がそんな所に」
「そ、そうよ……さては、魔王軍が私達の国に攻めてきたのもルナ、貴方のせいね! この、“悪役令嬢”が!」
などとののしっている。
そしてルナが涙目になっているのと、この目の前の人物たちが今にもルナにとびかかりそうだったので、
「え~、失礼しました~」
俺はそう呟いて、接続を一旦、消し去ろうと思ったがそこで男の方がこちらに向かって手を伸ばす。
これ、完全に空間が断絶した場合どうなるのだろうかと俺は思ってから、とっ歳にその手の部分周辺は空間を接続したままにしておく。
なんて恐ろしい事をするんだと俺が思っていると、そこで手川多和田と動き出す。
これだけ見ると突然空間から手が生えたように見えて何かの階段のようだ。
そこで俺は顔を蒼白にしているルナに、
「ルナ、知り合いか? ……ルナ?」
「……」
けれどルナは凍り付いたまま動かないし何もはなさいない。
一体どういうことかと思って、そこで俺は思い出した。
ここには事情通の女神、ミネルヴァがいる。
心配そうにルナの様子を見ているミネルヴァに俺は、
「ミネルヴァ、今そこにいた男女は誰なんだ? ルナの知り合いのようだったが」
「ああ、あの子たち? ルナに婚約破棄を突きつけた駄目王子と寝取り女よ。ちなみに今は魔王軍の猛攻撃で……わが身可愛さに真っ先に逃げ出したみたいね。国民を置いて」
といった説明を聞いた俺だが……そうなるとこの手をどうしようかと俺が思っているとそこで、
「この、気持ちの悪い能力を使いやがって、ルナ、お前の仕業か! はやく何とかしろ、このノロマ女が!」
などと叫んでいる。
こいつ、このまま放っておいてもいいのではと俺は思いかけたがそこで、
「へぇ、この手が、“女の敵”の男の手なのじゃのう」
フィルロッテが何やらそう呟いて不気味な笑い声をあげる。
そしてすっと何か……俺の世界の“油性マジック”のようなものが何本も取り出されて、
「これは異世界の仕返しの方法の一つなのじゃが、このペンで皮膚に文字を書くとなかなか消えにくくて大変なのだそうじゃ。もっともこの世界の“コール液”を使えばすぐに消えるから何の問題もない。さて、どうする?」
それに俺以外の女性陣が微笑み、そのペンを受け取ったのだった。
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