私の選んだ異世界人
“コカットの実”というものがユキは欲しいらしい。
そして、その果実? はルナの実家にあるらしい。
突然そんな話が始まってしまったのだが、俺はどうしようかお思っているとルナが、
「でも実家ですので。それに、今は魔王軍の部下が……」
「その話は分かりました!でもどうしてあなたの実家に!?」
「私の兄が植物を育てる系の魔法が得意でして。それで貴重な植物を温室に育てていたらしく、その“コカットの実”というものを以前食べたことがあります。結構さっぱりとしたお味でしたね」
「その味はどうでもいいです。 “コカットの実”は、我々の“耳なし病”という不治の病に効果があるとされている果実で……私はそれを手に入れるべく旅をしてここまで来ていたのに! しかもここの山の近くにはその“コカットの実”が自生しているといううわさを聞いてここに来て探していたのに……」
「そ、そうだったのですか」
ルナは困ったようにそう答える。
現状では、故郷に戻れないが、しかもそこでは魔王の配下との戦いが始まっている。
そんな状況の場所に行くには難しいだろう。
そこでルナが、
「ですが魔王軍が来たのならその温室もどうなっていることか」
「それは……」
「ですが武器などを用意して自分の身を守れるようにして……ジングウジにそちらに連れて行ってもらうのはどうでしょうか」
と、ルナが俺に話を振る。
確かにルナの言うように武器などを装備して、空間を繋げて魔王軍を倒す手伝いをしてもいいが……と俺が思っているとそこでフィルロッテが手を上げた。
どうしたのだろうと思っていると、
「ジングウジに連れて行ってもらうというのは、どういう意味じゃ? 聞いている範囲ではすぐにでも遠方に移動できる手段があるように聞こえるが」
そう聞かれたので俺は、
「空間と空間をつなげて、別の場所に移動もできます。……“空間支配チート”なので」
「……」
無言でフィルロッテが、変なものを見るように俺の方を見た。
だがそういった事が出来るのはまぎれもない事実なのだ。
そう俺が思っているとフィルロッテは深々とため息をついて、
「異世界人の考えはようわからん。じゃが、とりあえずは先立つものや武器をそろえる……そうせねば手助けするにしても取りに行くにしても、現在は危険な場所じゃ。それらがあるに越したことはないじゃろう。……それでお手伝いをする代わりに妾の武器も見繕ってくれぬか? お主の特殊能力の類がすごすぎて、今を逃すと素晴らしい武器などを手に入れ損ねるような気がするのじゃ」
などと俺はフィルロッテに言われてしまう。
そしてそれから先立つもののための費用をねん出するための道具として良さそうなナイフなどを探したり、後は武器関連を探すことに。ただ、
「俺、武器なんて使った事がないのですが」
それにミネルヴァが肩をすくめて、
「特殊能力の関係でジングウジにはそんなものが必要ないものね。本来であれば多重魔法とも呼ばれるレベルの高度な“魔導書”と同じようなものを一瞬で臨んだ時に再現もできるから」
「? そうなのですか? なんだか凄そうですね」
「そうよ、私の選んだ異世界人はとっても優秀で凄いのよ?」
と、ミネルヴァが得意げに俺に言ったのだった。
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