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うちの実家の温室にありましたが

 ノートにコピーできれば、いちいち書き写さなくても済むし、読み漏らしもなくなる。

 といった発想から挑戦してみたのだが……。


「……黒白コピーが出来たな。この調子で何枚かやっておいて後で吟味してもいいか。資料は沢山あるからな」


 俺はそう頷いているとそこで、ユキとフィルロッテは唖然とした表情で俺を見ていた。

 そしてすぐにフィルロッテは、


「なるほど、資料をこうやってコピーするのか。確かに情報がそのままそっくり手に入るが……これに似たものがおぬしの異世界にはあるのか?」


 そう聞かれたので俺は頷いて、


「図書館では大抵コピー機が設置されています。後は今は映像を映してそれを見たりしていますね」

「コピー……この発想はなかったな。活版印刷はあるが、まだまだこういったものは値段が高いし手で書き写すのが主であったが、なるほど。ふむ、魔法でそういった機会が作れないか後ほど研究しよう。これでまた新しい暇つぶしが出来たわ」


 などとフィルロッテは楽しそうに笑う。

 そこでルナが戻ってきた。


「今日は美味しそうな魚料理と揚げ物を見つけたので、早速作りたいですね~。……あれ、こちらの可愛らしいお客さんはどちら様ですか?」

「む、お主、公爵令嬢のルナではないか。どうしてここに?」

「! ど、どうして私の名前を……まさか新たなる刺客が……」

「刺客のう……そんな物をよこしている余裕があちらにあるのかのう」


 そこでフィルロッテが困ったように、そういう。

 それを聞いてルナが、


「どういうことですか?」

「ん? お主知らんのか? 今お主の故郷が魔王の……というか魔王の配下の人物たちに猛攻撃を受けているぞ」

「……え?」

「しかも王家……お主の寝取られた王子様方は、すでに逃走して、公爵家などが頑張っているらしい」

「……え?」

「まあ、そうはいうものの“勇者”の連中が頑張ってもいるようじゃから、何とかなるのでは?」


 そうフィルロッテに言われたルナは黙ってしまう。

 本当は今すぐ実家に戻りたいのか?

 だが事情があって逃げてきた半面戻れないのかもあるのかもしれない。


 青い顔のまま黙ってしまったルナに俺はどう声をかけるか迷っているとミネルヴァが、


「後で手助けするにしろしないにしろ、強力な能力を持つ杖はあった方がいいだろうから、探してきたらどうかしら」

「……はい、そうですね」


 ルナがミネルヴァに言われて頷き、杖の本がある棚を探しに行く。

 それを見ながらユキが、


「武器ですか。羨ましいです」

「? ユキの分も作るぞ。そういえばユキはどういう目的があって俺達の方に来たんだ?」

「……いえ、まだ話すわけには……」

「それは取りに行かないといけないものだったりするのか?」

「そうですね、ものではあります」

「そうか……どんなものなんだ?」

「“コカットの実”です」


 ユキが観念したように呟くと、そこでルナが戻ってきた。

 それから不思議そうにユキを見て、


「“コカットの実”ですか? うちの実家の温室にありましたが、それがどうかしたのですか?」


 そう聞いたのだった。

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