おりじなりてぃ
どうやらどこかの市場に出回っているリンゴを呼び出したわけではないらしい。
ただリンゴと言っていたが、
「俺たちの世界のリンゴに見える」
「それはそうよ。ジングウジの世界にゲームやラノベや漫画を参考にしてこの世界を作っているわけだし」
「となると俺が知っているものも結構この世界にあると? それは助かるかな」
そう俺は答える。
いきなり訳の分からないものだらけになっていては困るからだ。
そこで女神様がどことなくドヤ顔で、
「オリジナリティを出すために、私の考えたものも色々入れたわ!」
「……なんだろう、突然不安が」
俺はそう呟いた。
このオリジナリティという言葉。
一見良さそうな言葉だが、現実は得てして残酷なものである。
普通にレシピ通りに作れば普通に美味しいものができたはずなのに、ここで“個性”を出すという名のオリジナリティのおかげで、世にも恐ろしい“メシマズ”が誕生するのだ。
何度も経験させられた俺が言うのだから間違いない!
まれにレシピ自体があまり美味しくないこともあるが、この“個性”の方が断然に危険なのだ。
そう俺が警戒しているとそこで女神様は、何かに気づいたようだった。
それも、『あ、やっちゃった』といったような失敗の表情である。
だがえてしてこういう失敗は、危機に陥る可能性が高い気がする。
そこで女神様がにこりと笑って、
「え~と、怒らないで聞いてね」
「……なんでしょう」
「この世界で、ジングウジに持たせるお金の設定を、忘れていたの。……てへ?」
などと女神様が俺にお言ったのだった。
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