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不自然な展開

 魔族の一人は、ミネルヴァが誰だか分かっているらしい。

 それにミネルヴァがいつもとは違う、仮面の張り付いたような笑みで、


「あら、私の事をご存じですの?」

「ええ。我々の世界の女神ですからね。もっとも、われわれが世界を手に入れたなら新たな神を据え置く予定ですが」

「……あらあら」

「そう余裕でいられるのも今のうちですよ。今度こそは魔王様も復活し、我々の勝利を……」

「私の“勇者”がそんなに“弱い”と思っていると痛い目に合うわよ」


 饒舌に語り魔族に向かってミネルヴァがそう言い放った。

 それを聞いて魔族は機嫌を悪くしたらしい。

 次も負けるわよ、魔族側がと暗に言っているのだから、機嫌が悪くなるのは当然だろう。


 そう俺が思っていると魔族の視線が俺に向かった。

 八つ当たりする相手にでも選んだのだろうかと思っていると……その通りだった。


「その“勇者”とやらにすべてを任せて、そこにいるひ弱そうな人間の男と一緒とは……女神様も、ご盛んですな」

「……俺?」


 そう話を振られて俺は不思議な気持ちになった。

 よくよく考えると現在まで美少女数名とかかわりあう機会に恵まれたが、ラノベや漫画の展開では何か一つくらい“ラッキースケベ”のようなものがあっておかしくない気がする。

 “事情通オタク”であるからこそ気づいたこの不自然な展開。


 と俺が思っているとそこでミネルヴァが、


「? 誰と?」

「そこにいる人間の、オス、ですね」

「あ~、うん、なるほど~。ジングウジ、どう思う?」


 不思議そうに聞き返してきたミネルヴァがその答えに頷き、なぜか俺に話を振ってきた。

 どうして俺に聞くのだろうと思っているとそこで魔族の一人が、


「女神の寵愛を受けているとはな」


 などと言われるが俺としては今一そういった事に思い当たらない。

 俺が真剣に悩もうかどうしようかと思っているとそこで、にたっ、とミネルヴァが嗤った。

 嫌な予感がする、そう俺が思っているとそこでミネルヴァが、


「ええそうよ。私はジングウジと一緒に寝起きをしているわ」


 などと言い出した。

 今の発言には、同じ家で、といった言葉が入るはず、と俺が思っていると今度は更にルナを指さし、


「この子も、ジングウジと同じところで寝起きをしたわよね」

「え、えっとそれは、その……間違っていないです」


 ルナが突然指名されて、恥ずかしそうに答えた。

 ……そこは恥ずかしがらなくてもいい所なのではと俺は思いはしたが、ルナは人見知りがあるのでそうなってしまったのだろう。

 更にミネルヴァはユキを連れてきて、


「最近この子もうちの家に出入りしているのよね。食事を提供する代わりにお話をしてもらうってジングウジが言っていたのよね」

「え、えっと、そういえばそんな話でしたが……」


 ユキも困惑したようにそう答えている。

 そういった話をつなげていくと、なんとなくだが、こう、俺がこう、女の子をこう……好き放題口説いているような優男というか、もっと大人な意味でのハーレム状態になっているような気がしないでもなく。

 もっとも誤解されたところで人間と魔族、それに違いがあるので関係はな……。


「……許さんぞ」

「……」

「お前のような、女を一人占めするような男は……人間の中でも、更に、“敵”だ!」

「「「そうだ!」」」


 などと言い出し、俺に向けて集中的に攻撃を開始しようとしたのだった。

 


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