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誰かいるな

 誰にも知られていない、“ノラネ鉱石”が、ここから森に入った所であるようだ。

 見通しの悪い森の中だから見つからずに放置されていたのかもしれない。


「でもこの藪の中に入っていくのか。道なき道を行くのは何が出てくるか分からないし……どうするか」


 そう呟いて俺はルナとミネルヴァの様子を見ると、二人ともスカートである。

 そういえばこういった山登りなのになぜこの格好なのだろうか?

 ゲームなどで見慣れているとはいえ、服の面積が小さく肌が露出をすると怪我をしやすいはずだが。


 そう考えた俺は、


「一度戻って長袖の服か何かをとってきた方が良いのでは?」

「ん? それは私やルナに言っているの?」


 ミネルヴァが不思議そうに聞いてくるので俺は頷いた。

 よくよく考えたら布も薄いような気がするし、木の枝なのに服が引っ掛かり、それこそびりびりと破れて……。

 一瞬何かを想像しかけた俺だが、そこでミネルヴァが、


「風の魔法で体を覆うから大丈夫よ。ルナはもちろん使えるわね」

「はい、淑女のたしなみですから」


 とルナが笑顔で答えるのを聞きながら俺は、そういえばここは剣と魔法なファンタジー世界だったと思い出す。

 そうだよなといまさらながら妙な疑問を持って、期待……ではなく、大丈夫かなと思ってしまったのは、杞憂で終わったようだ。

 などと考えているとそこでミネルヴァが、


「それでジングウジはその魔法をうまく使えるか分からないけれど、使ってあげましょうか?」


 と俺に言ってくる。

 確かに俺はまだこの世界初心者だ。でも、


「試しにやって見せてもらって、自分にできるか試したい。少し実でも魔法は使えるようになりたいから」

「いい心がけだわ。それなら早速魔法を見せるわね。……“風の抱擁”」


 ミネルヴァが魔法を使ったらしい。

 よく見るとミネルヴァの周囲がゆらゆらと揺れている。

 風の膜のようなものができているようだ。


 それを見てとりあえず俺も、


「……“風の抱擁”?」


 目の前にある“魔法”と同じものをと考えながら、魔力を使うよう考えてみる。

 カチッと一瞬、“何か”膨大な……絵のようなものが脳裏に浮かんだ気がしたが、すぐに俺の周りにもミネルヴァと同じものが現れる。

 どうやらうまくいったらしい。


 そう思っているとそこでルナが、


「は、初めてなのに見ただけで成功……すごい」

「え、えっと?」

「異世界人はやはり凄いです」


 そうルナが言ったのだった。









 こうして俺たちは森の中に入っていく。

 薄暗い森の中だけれど、スマホの地図に高低差などの情報もつけて立体的に表せるようにし、現在俺たちは歩いていた。

 それほど時間はかからない場所で、よくどんな場所にあるのかを見ると、どうやら森の中にある少し開けた場所にそれはあるようだった。


 そこに向かっていった俺達だけれど、ようやく明るい日差しが見えてきた……そう感じたその時だった。


「? 誰かいるな」


 武装した……妙な格好の人物たちが数人。

 そしてそこには、縛られて捕まっている見覚えのある猫耳少女がいたのだった。

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