人気のない道
山のふもとまでやってくるのにそれほど時間はかからなかった。
町から見える山だったので、それに向かって道を歩けばすむのは良かったようだ。
舗装されていない土の道を歩くこと数十分。
山の入口の所にまでやってきている。
ここまでそこそこの人が歩いていると思ったが、どうやら今見ごろの花畑が山頂付近にあるらしい。
しかも、有名な観光場所にもなっているらしく、入り口付近には幾つもの店が並んでいる。
海の家を彷彿とさせるそこでは、肉などが串焼きにされて売られている。
非常に食欲をそそる香りだが、朝食をきちんと食べてきた俺達に死角はない。
ということで、早速山道を登り始めた俺達だが、
「ガイドブックによると、今見頃のその花も薬草になるのか」
「でもジングウジ、それ、そんなに高くは売れないし、取りに行くにも何時間もかかるわ。それにほかの薬草で代用もできるしね」
ミネルヴァがそう解説してくれた。
それを考えると、
「そこまで登って採るよりも、その鉱石などを探したほうが良さそうだな。ルナが好きな果実も探したいし」
「あ、でも私の、それは別に……」
ルナが慌てたように言うけれど俺は、
「ほしいものは欲しいって言わないとだめだと思う。それに見つけられるかわからないから両方探そう」
「……はい」
そう嬉しそうに笑うルナを見て、探そうと俺は決めた。
ミネルヴァは楽しそうにしていてそれ以上何も言わないので、これで良いのだろう。
そして山道を歩いていくと三本の分かれ道がある。
「えっと、この真ん中の道が一番長くてあまり人通りが多くないのか。……だとすると、“マモモの実”がそのほうが残っていやすいか? それに小さな洞窟に通じているようだから、そこだと“ノラネ鉱石”も探しやすいか」
といった判断から真ん中の道を行くことに。
ただ人があまり歩かないのには理由があると思いながら俺はその道を行く。
「歩きにくいな」
「そうですね」
俺とルナがそう話しながら歩いていくとそこでルナが、
「あ! “マモモの実”の木が……でも、切り立った崖の上ってすごいですね。私、空を飛ぶ魔法が使えるからそれでとってきますね」
と言い出した。
けれどそこでミネルヴァが、
「ルナの魔法の出力はおかしいから、下手をすると木に激突して谷底に……」
「す、少しの距離なら大丈夫です!」
ルナが顔を真っ赤にして、そうミネルヴァに言っているが……ルナのこの感じというか、少しならば大丈夫と言っているあたりが気になる。
それにミネルヴァは女神さまでもあるわけで、つまり、多分、間違っていないのだろう。
さらに付け加えるなら俺には特殊能力がある。
それも空間支配という、能力だ。
そしてこの“マモモの実”は天然ものである。つまり、
「こうすればいいんじゃないか? えっと、範囲はあの木の上の方にある、“マモモの実”で……どうだ。出力範囲は俺の目の前」
口に出して、イメージを明確にする。
すると目の前にころころと、俺の握りこぶし程度の果実が山盛りになって現れたのだった。
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