覗き込む
こうして何となく見た目が良さそうで、軽そうな短剣を俺は手に入れた。
ルナは好みの杖を手に入れたらしい。
そしてミネルヴァは、弓を選んだらしい。理由は、
「エルフが使ってそうよね」
「そうですか……ところでこの世界にエルフはいるのですか?」
「いるわよ。ただ……」
「ただ?」
そこで珍しくミネルヴァが言葉を濁す。
何かあったのだろうか?
そう俺は思っているとミネルヴァが、
「エルフって知能が高いけれどどちらかというとこう……“引きこもり”みたいになっちゃって」
「そうなのですか?」
「ええ、それで魔法研究などもしていたりと個々の世界では高度な文明を持っていたりするのだけれど……」
「けれど?」
そこでミネルヴァが再び言葉を切る。
そして俺から顔を背けて、
「……私の影響で“オタク”化しちゃって」
「……そうですか」
「しかも、ジングウジの世界の漫画やゲーム、アニメの魔法などを再現し始めるようになって」
「……そうですか」
「日用品もちょっと……多分違うんじゃないかなって方向で再現したりとか」
「……そうですか」
「最近は特撮系もいいよね、と言い出したりとか」
「……そうですか」
「……多分、その、ね。ジングウジのイメージするエルフとは多分、違うかもそれない。もっとこう、“身近”な感じではあるかしら」
俺はそれ以上、聞くのをやめようと思った。
美人のエルフさんに会える機会は確かに欲しいが、どんな風になっているのか怖くなったのでそれ以上は考えないことにした。
でもコスプレをしているなら少しは見てみたい気がしたが。
そんな話をしつつ、俺は武器を手に入れて、その日はぐっすりと朝まで眠ったのだった。
鳥の声がして目をゆっくりと目を開けると、目の前で何人も? の幽霊が俺を見ていた。
そういえば、幽霊は仲間が欲しくて寝ている人物をのぞき込むのだ……といった噂があったような、と俺が寝ぼけた頭で思い出していると、幽霊達が逃げて行った。
「いったい何をしたかったんだ」
俺は呟きながら支度をして、一階の調理場へ。
そこでミネルヴァとルナがすでに起きていたので挨拶をし、先ほどの話をすると、
「私たちの所にも来ましたよ。どうされたのでしょうか、と聞いたらこの家に来た新しい住人の顔を見に来たらしいです。なのでこれからよろしくお願いします、と言っておきました」
と、目玉焼きを作りながらルナが答える。
そしてミネルヴァはというと、
「神々しい気配がする、と言って私は見に来たわね。さすが幽霊達、私の魅力がわかるのね」
とのことだった。
新しく来た住人がどんな人か、興味本位で覗きに来ただけらしい。
なんでそんなホラーな話になったのかと思ったが、怖い怖いと人間思っていると、ススキの穂でも幽霊に見えてくるのかもしれない。
そんなことを考えながら俺は、目の前に出された目玉焼きやサラダ、パンを食べる。
なかなか美味しい。
そして食べ終わってからお弁当を作り、藁のようなもので編んだ籠にそれらを入れて、俺達は山に向かったのだった。
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