できました~
山の名前は、“モタト山”。
ハイキングとしても有名で森や湖、山頂付近では小さな山野草の花がある時期には楽しめるとかなんとか。
それほど険しい山ではなく、冒険者だけではなく普通の町の人も遊びに行くような山であるらしい。
初心者冒険用とのことだが、それでも必要なものはそこそこその山からとってこれるそうだ。
「このガイドブックによると、“ノラネ鉱石”がおすすめらしい。あとはちょうど今の時期にとれる果実があるそうだが、なんでも“マモモの実”という酸味の強い果実で、ジャムやコンポートにいいのか」
「“マモモの実”の野生のものが取れるのですか? ぜひ欲しいです!」
ルナが欲しいほしいと何度も言う。
もしや好物なのだろうか?
ではぜひ探してみようと俺は思う。
それからガイドブックを見るも今の時期だとそれくらいのものしか見当たらない。
あるとするなら山から湧き出る新鮮でおいしい水くらいだ。
水筒か何かを明日、山に登る前に購入していくか、この屋敷にあるかを聞いておいてもいいかもしれない。
もっとも、水くらいであればほんの少し空間をつなげて手に入れてしまっても、いいかもしれないが。
そう俺は考えつつ、もう一度そのガイドブックを見て、
「食べ物系と鉱石か。これは加工をすると高く売れたり、いい武器になったりするのか?」
「“ノラネ鉱石”をご存じないのですか!?」
「え、えっと、俺たちの住んでいた所にはなかったので」
「……攻撃に使ったり包丁などにも使えるのですが、弱いとはいえ、“魔法付加属性”があるためにほんの少し魔法を剣に乗せられて、しかもそこそこ算出するので安価な方の武器に使われる金属です。冒険者なら大抵持っているようなものです」
「あ、えっと、俺、この町でギルドカードをさっきとってきたばかりの初心者なんだ」
ユキが俺を見てから次にミネルヴァを見ると、ミネルヴァは微笑み、
「もちろん知っているわ。女神ですもの」
「……そうですか」
ユキがそう呟いて、次に食事を作っているルナを見て、するとルナが、
「えっと、それは私も知りませんでした。普段使っていたのが、“モル金属”とか“レリ金属”とかだったので……」
「超高級魔法金属じゃないですか! どこの名家のお嬢様ですか!?」
「……聞かないでください」
そう言われてしょんぼりとうつむいてしまったルナ。
慌てたように、訳ありだと気付いたらしいユキがフォローしているが、そういえばルナは公爵令嬢だったので、そういったものを使っていたがために普通のよく知らないのかもしれない。
そしてミネルヴァは女神なので全部知っているが、必要以上の説明や口出しはしない主義なのかもしれない。
そもそもスローライフが目的なので、ある程度俺の自由にやらせるつもりなのかもしれない。
そのあたりの情報も今後集めていかないとなと、と俺は思う。
ネットがあれば調べるのは簡単そうだが、残念ながらこの世界にネットはなさそうだ。
となると主な情報源は本だが、
「そういえばミネルヴァ。この町には図書館はあるのか?」
「あるわよ、一つだけ」
「じゃあそこで調べてもいいのか。どんなものが作れるのか、といったものがわかるかもしれないし」
「でも実際に作るとなると、難しいものはそれこそ弟子入りして~となるかも?」
「……」
「だからそこまで大変ではなくて、この世界にないような変わったものが、個人的には欲しいかしら」
「……難しい」
そう俺はつぶやきミネルヴァに答えるとユキが、
「なんでしょう、この設定。いえ、女神と異世界人なんてこんなところにいるはずがありません。ええ……」
ユキが頭を抱えていたがそこでルナが、
「できました~」
そういって料理を運んできたのだった。
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