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幽霊だったのかしら

 そう答えた俺だが、そのおかげで一階を案内したりするのは無しになったらしい。

 代わりに上の階の客室に案内するそうだ。


「この部屋の主人用の部屋もあるのですがいかがされますか?」


 とセバスチャン(幽霊)に言われた俺だが、


「そうなると女神様であるミネルヴァがその部屋な方がいいのか?」

「あら、ジングウジがその部屋でいいんじゃない?」

「いや、でもこの世界の女神様を差し置いては……」


 俺はそう思ったのでそう答えるとミネルヴァが、


「遠慮なんてしなくていいのに。私とジングウジの“仲”でしょう?」

「く、意味深なセリフを……」

「ふふふ、楽しい……」


 ミネルヴァが妙に楽しそうで、ルナがどことなく不安そうだ。

 そう思っているとそこでセバスチャンは、


「ちなみに主人の寝室は夫婦を想定しまして、また、妻は二人以上寝れるように大きめのサイズをご用意しました」

「俺、客室でお願いします」


 即座に善良な一般市民かつ普通の高校生な俺はそちらを選択した。

 ふう、よかったよかった。

 この歳でエロいほうのR18展開になる所だった、と俺が思っているとそこでミネルヴァがルナに、


「ルナ、提案があるの」

「何でしょうか?」

「ジングウジを二人でその寝室に連れ込まない?」

「……」


 ルナは慌てる風でもなく、無言で俺の方を見た。

 俺の童貞が危険で危ないような気がした。

 だから俺は幽霊のセバスチャンに、


「は、早く俺を鍵がかかる客室に連れて行ってくれ」

「……これがアレですか。近頃はやりの草食系……」

「草食動物のキリンは、肉食動物のライオンをも殺せるのですが」

「きりんにらいおんですか? あの三本首のと、羽の生えた……」

「いえ、なんでもありません」


 俺はそう言って誤魔化した。

 どうやらこの世界のキリンとライオンは、そういった風になっているらしい。

 恐ろしいものを聞いてしまった。


 そう思いながら客室に案内して貰うと、その部屋に入るとそこで、幽霊の一人が籠から何やら出して皿においている。

 どうやらホテルなどにある、ウェルカムフルーツのようなものらしい。

 白い真ん丸の果実。


 これが世にも珍しい、“お化けの実”だそうだ。

 なんでも新しい人が来ると毎回提供しているらしいが、不気味すぎて手に取らなかったり、知っていても恐ろしがって誰も食べてくれなかったそうだ。

 というわけで俺たちが初めてその実を食べてくれる人間だそうだ。


 ちなみに“お化けの実”は、人間には味がしない水のような固形物だという。

 水のゼリーのようなもののようだ。

 きな粉と黒蜜をかけて食べたい……俺はそう思って皮ごとかぶりつくと、


「あれ? 美味しい……」

「え? ジングウジ、幽霊だったのかしら」

「……」


 ミネルヴァの言葉に顔から血の気が引きそうな俺だが、すぐに異世界人だからだろうと言われてしまう。

 この世界の物から逸脱しているからこの美味しさが感じられるそうだ。

 ちなみにミネルヴァもおいしさを感じるらしいが、


「うう、何の味もしない」


 ルナだけが、その味を楽しめないでいるようだったのだった。


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