問題の先送り
どうやらお酒を飲んでの喧嘩は、喧嘩両成敗で処理されるらしい。
だが、それこそが彼らの狙いだとするならば、お酒を飲むのはよろしくない。
未開の地にここにいる人たちを吹き飛ばすのは、女神パワーで記憶消去ができるとしても俺の良心が痛む。
だからどうしようかと俺が考えて、すぐに思いついた。
「これから宿を借りるか、家を借りるかする関係で、見て回らないといけないのです。ですので今はお酒はちょっと……」
「なんだ、この町を拠点にするのか?」
「はい、その予定です。ちょうどいい物件も、たまたま食事をした時に、隣に座った方から教えていただきまして」
そう返した。
今はほかに用事があるので無理なんですアピール。
どうだ! 俺のコミュニケーション能力は! と心の中でドやっていると、その冒険者らしいおじさんが、
「どこがいいと聞いたんだ?」
「なんでも安くて部屋も広いというこの町にある“お化け屋敷”を借りれたらと思っていますが……どうされたのでしょうか」
そこで冒険者のおじさんの動きが止まった。
そこはかとなく顔色も悪いような気がする。
そうしたのだろうと俺が思っているとおじさんが、
「やめておけ、悪いことは言わないからやめておけ」
「そ、そんなに危険な場所なのですか?」
「……幽霊が昼間から現れるのも怖いが、あいつらは悪戯好きだし何を考えているのか分からないんだ」
「そうなのですか。悪戯好き?」
「そうだ。俺だって、気が付いたら以前の冒険者おいていったらしいワンピースに、俺の服が入れ替えられていて……たまたまちょっと大変な冒険に出たが、戻ってくるとそれ以外服がなくてな……」
「は、はあ」
「それに、仲間にならないかなというかのように、時折その幽霊が俺たちの寝ているところを覗きに来るんだ」
そう怯えるようにつぶやく。
だがこのおじさんたちの話を聞くと、以前この屋敷に住んでいたようあった。
だがその程度であれば、
「お金もあまりありませんし、とりあえずは泊まってみます」
「そうなのか? 大抵あの屋敷に最長で住めたのは一週間らしいからな。なのに、借りた代金は三か月分からなんだよな……」
どうやら長い期間の契約にして、中の人が音を上げる事で儲けるためにそのようなお値段らしい。
黒い設定だ、そう俺は思いつつも、いざとなれば幽霊さんたちは女神パワーで何とかしてもらおうと思いつつ俺は、
「色々とお話しいただきありがとうございました」
「あ~……まあ、それでも行くっていうなら止めねぇ。実際に俺たちも、行ってみたらこのザマで三日しか持たなかったからな。今日のところは喧嘩を売らないでおいてやる。だが、そのうち力試しはさせてもらうぞ。新入りの能力を知るのが俺の一番の趣味だからな」
そういって冒険者のおじさんは去っていった。
どうやら新入りに挑戦するのが趣味らしい。
どんな趣味かと俺は思いつつも、
「これって問題の先送りなのでは」
という事に今更ながら俺は気づかされてしまったのだった。
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