男なら酒だろう?
なんでこんな所にいるんだというようなギルド長たち。
さすがはミネルヴァの女神パワー、と俺は称賛しながらも、こんなに簡単に人間の意識というか記憶改変が可能なら、あまり使っていい能力じゃないよなとも思った。
とりあえず普通に使えるギルドカードさえ手に入れば、俺たちは目的が達成されるし特に悪いことをするつもりもないので、そのあたりは目をつむってもらおうと思う。
そして一通り測定をしてもらった俺は、ミネルヴァに、
「もう少し近くにいる普通の人っぽい能力に数値を改竄しておきましょうか」
とのことで、ミネルヴァが何かをやった。
俺にはよく分からないが、何かをやった。
そして下の方に戻り紙を提出し、そばにある酒場のような場所で待つことになった。
何も注文しないで座っているのもアレなので、
「俺はここにある“ドドリリの実”のジュースにしてみるか。見たことも聞いたこともないし」
「あ、それは果肉がうっすらと黄色果実のジュースです。こう、丸い木の実でして、それを絞ったものです。この地方の特産だった気がします」
ルナがそう説明してくれて、俺はお礼を言ってそのジュースを購入することにした。
ルナとミネルヴァもそれにするらしい。
というわけでそれらを購入して席に持ってくると、スキンヘッドのおじさん二人がやってきた。
ガタイのいいおじさん冒険者といった感じだがそこで、
「なんでそんな子供が飲みそうな“ドドリリの実”のジュースなんざ飲んでいるんだ?」
などと言ってくる。
これはこう言った酒場などでからまれる、“お約束イベント”なのだろうかと俺は思ったが、物語の主人公のように張り倒したりはできない。
俺の“特殊能力”に関するものだと怪しい力で倒すかどこか知らない場所に吹っ飛ばすしかなさそうだ。
これらの選択は非常にまずい。
もう少し普通の能力っぽく“特殊能力”を使えるよう考えねばと俺は思いながら、
「これはこの地方のもので美味しいと聞いたのですが」
「……男なら酒だろう? ここにいる奴らはみんな飲んでいる」
そういわれたので周りを見まわしていると、確かに俺よりも年齢の低い男性も酒を飲んでいるようだった。
ただ人は見かけによらないので、
「俺の年齢ではまだお酒が飲めないんですよ」
「? そうなのか? 確かにどちらというと童顔……何歳だ?」
「十六歳です」
「……この地域では、十三歳から酒が飲めるぞ。でもそういえば場所によっては、二十歳からといった場所もあると聞いたな……そちらの地域から来たのか?」
なので頷くと、
「まあ男なら酒を選ぶべきだ!」
「ですがこれから泊まるところなども探さないといけなくて、お酒はちょっと……」
「ん? 少しなら大丈夫だぞ?」
「というか酒をどうしてそこまで進めてくるのでしょうか」
「な~に、酒を飲んだ時の喧嘩は喧嘩両成敗だからな。……新人の実力が知りたいだけさ。間違っても美少女二人を連れて気に入らねえといったわけじゃないぜ」
などとそのおじさんは言ったのだった。
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