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ただの駒ヶ根玉職人でも異世界は救えるか?  作者: 駒雅 嶺太郎
~極東旅行編~
11/24

エルフの隠れ里、壊滅!! ~水の都と無敵の魔物~

 今回はエルフの里編。

 エルフ達の平穏は守られるのでしょうか。

「エ、『エルフの隠れ里』だと!!?」

「はい。なんでもこの近辺で、エルフが多数目撃されているんだとか」


 サード王国の滅亡から数時間、5人は今日も東を目指し飛行していた。


「エルフって言うと、あれだよな!? 耳が尖ってて、かわいい……」

「まぁ、かわいいかどうかは知らないけど……、そうなんじゃない?」

「ウーン アッテミタイ ゼ」


 何と言うことだ! この世界にはエルフも居るのか!


「是非、仲間にしなければ……!」

「まったくもう……」

「…………いた。エルフ」

「だよなー、そう簡単に見つかったら苦労は……うっそ!?」


 うそじゃないよ、と、ミカが下方を指差す。


「うおお!! エルフだ!!!」

「それどころじゃないわ、魔物に追われてるじゃない!」


 数日前も似たようなやり取りがあった気がするが……気にしない!


「助けるぞ! 今回は絶対に操縦ミスしない!!」


 (こま)()()(だま)を急降下させる。

 前回のような失敗(圧殺)は絶対に許されないのだ。絶対に!


「待てよ? 閃いたぜ! オラッ!」

「ぐ? ぐげええぇっ!!」


 失敗(過失致死)成功(新戦法)の母とはよく言ったものだ。


「ちょっとアキラ! また墜落したんじゃ……あっ!」

「戦闘の手間も省けて、エルフも助かって。一石二鳥だろ!」

「流石アキラさん! 魔物を下敷きにしたんですね!」

「あっ! あなた達は!?」

「俺は……ただの旅人さ」


 やはりかわいいではないか!

 理想よりはまだまだ幼いが……思い描いた通りのエルフ少女が目の前に!


「私サーニャって言います! あなた達命の恩人! 隠れ里に招待します!」

「やったぜ」

「キョウノ アキラサン ヘンダゼ」

「こっちです!」


 怖いくらい話が早くて助かる!

 サーニャに連れられ、草を掻き分けながら進む。こんな見晴らしの良い場所に、本当に里などあるのだろうか?


「こっこでーす! ここ! ここ!」

「ここ? って言ったって……何も無いぞ?」

「えいっ!」

「!?」


 無造作に置かれた大きな石にサーニャが触れた途端! 地面が割れ、地下への階段が現れたのだ!


「地下! 道理(どうり)で今まで人間に見つからなかったわけね!」

「…………すごい」

「こ、この先に、まだ一杯エルフが!?」

「もちろん! エルフの里だもん!」


 階段を一段降りるたび、ワクワクが溢れてくるぜ。この先に、楽園が……。



「着きました!」

「おおっ!!!」


 中は思いの(ほか)広かった。

 壁や天井の至る所に、元の世界では見たことのない不思議な光る鉱石が。

 お陰で外の様にとまでは行かないが、十分な明るさを保っているらしい。


「おお! 早速第一村人(むらエルフ)が!」


「サーニャ! 何してるの! 人間を連れて来るなんて!」

「お母さん! 大丈夫! 命の恩人!」

「お、お母様ですか! いやはやお綺麗ですね……」


「もう!アキラったら……」

「アキラサン キャラホウカイ シテルゼ」

「まあ! うちのサーニャを助けて下さったのですか! 歓迎しますわ!」


「エルフって、皆そんな喋り方なの?」



 サーニャの家。

 エルフ達の住居は一見木で出来ている様に見えるのだが、近くで見ると鉱物の様でもある。

 この世界にしか無い素材なのか、もしくは俺には分からない魔法による物なのか。


「まあ! ファースト王国から! 長旅ご苦労様です!」

「いえいえ、駒ヶ根玉に乗って来たので一瞬ですよ。一瞬」

「駒ヶ根玉! って何!?」

「日本っていう国の、由緒ある民芸品でね……ってさっき見たでしよ。魔物を押し潰したやつ」


 この人達のテンションと言うか、話し方は……多少疲れるが、会話が盛り上がるので案外悪くない。


「エルフって、ここに住んでいる人達で全部なのかしら?」

「まさか! 世界中に隠れ里を作って暮らしていますわ!」

「ほう、世界中に……。これはこの先、旅の楽しみになりそうだぜ」

「…………お兄ちゃん……」



「騒がしいね! 誰か来てるのかい!?」

「あっ! お婆ちゃん!」


 むむ、今度はお婆さんがいらっしゃったか。流石に……興味は無いぞ。


「!? サーニャ!! 一体何を連れて来た!?」

「すみませんお婆様、私達怪しい者では……」

「お前達ではない! サーニャ! 入り口を閉め忘れた(・・・・・・・・・)な!?」

「!?」


 (はじ)かれた様に外へ飛び出す。

 地上との唯一の出入口である階段の側に、そいつ(・・・)は立っていた。


「ルシファーの奴が妙に遅いから探しに来てみれば……ラッキー! エルフの巣はっけーん!」

ルシファー(・・・・・)!? てめぇ、魔王軍か!!」

「あぁ? エルフじゃないのも居るじゃん。君達帰って良いよ。シッシッ」


 ルシファー! 思い出すだけでも虫酸が走る糞野郎! その仲間とあらば、容赦はしない!!


「先手必勝だ! 全員で行くぞ!」

「ええ! ハァッ!!」


 炎、水、光、雷!

 四人の属性魔法が激しい閃光を放ち、エルフの里を眩しく照らし出す!!


「おっ! こりゃあ中々……!!」


「よし! 入った!」


 直撃!

 ルシファーの様に回避することも出来ず、四人の魔法をモロに受けたのだ。


 しかし!!


「な……そんな、バカな!?」

「あり得ない……無傷(・・)なんて!?」


 そう。あのルシファーでさえ、エリーの炎に巻かれ倒されたのだ。

 だが事実! 目の前の魔物は今も(なお)、ピンピンしている!


「俺は魔王軍幹部の一人、ガフラス! お前らにゃあ悪いがこの俺の体は……如何なる攻撃も通さな(・・・・・・・・・・)()!!」

「何だと!? それじゃあこいつは……、無敵だとでも言うのか!?」

「そーゆー事! 無敵って言やぁ分かりやすかったな!」

「そんな……アキラさん! どうすれば!?」

「いや、無敵なんてあり得ない……必ず弱点はある!」


 そうなのだ。現に、既に俺は一つの手を思い付いたのだが……それを実行する訳には!


「魔物め! 喰らえ!」

「!」


 気付けば騒ぎを聞きつけ、里中のエルフ達が集まっていた。

 風属性と思しき魔法を、一斉にガフラスに浴びせ掛けるのだが……。


「涼しい~! これだからエルフは良いんだよ!」

「そんな! 効いてない!?」

「全員取っ捕まえて、魔王城の送風機になってもらうぜ!」

「! 速い!」


 ガフラスが通り過ぎた後、バタバタと倒されていくエルフ達。

 命を奪うつもりは無いようだが、どちらにせよ里の壊滅は時間の問題!


「あ……あの野郎……! 俺の(・・)エルフの里で好き勝手しやがって! 許せねぇ!!」

「アキラ!?」

「アキラさん!?」

「来い! こっちだ!」


 ガフラスがエルフ達を蹂躙している隙に、サーニャを連れて一直線に駆け抜ける!


「!? チッ! 一匹逃がしたか!」


 目指していた場所はそう、地上への階段!


「アキラ! 逃げるの!? いやだ!」

「違うぞサーニャ! 逃げてるんじゃない……あの野郎をぶっ倒すんだ!」


 目が痛い程の地上の光。俺達を深追いする気は無いのだろう、すんなりと脱出に成功した。


「…………ドロシー! 穴に向かって全力で水魔法だ!」

「アキラサン! デモソレハ マサカ!」

「構わん! やれ!」

「ワ、ワカッタ ゼ! ウオオ!」






「? 何だ……この音?」

「こいつ! 喰らえ!」

「喰らわねーっての! 学習能力ねぇなー……!? 何!!」


 猛烈な勢いで襲い来る大量の流水。その源流は、地上!!


「そう言うことかっ……! ヤバイッ!!」


 慌てて階段に駆け寄るガフラス。しかし時既に遅し。


「くそっ! この水流……強すぎるっ!! 登れねぇ!!」






「……あいつ、登って来たりするかしら?」

「うーん、大丈夫だろうけど……そうだ! ミカ、ちょっとこの水流に電気流してみてくれよ」

「分かった………………えいっ」




「……あっ、あいつ電気効かないじゃん」

「あっ! すっかり忘れてましたね!」


「うおぉ溢れてきた! ドロシー、ストップ! ストップ!」

「リョウカイ ヤメルゼ」

「よーし、これで中は一杯になったな……あっ! 水流無くなったから、あいつ泳いで出てくるかも!」


「マズイわね……そうだ! この入口閉じちゃえば!?」

「それだ! サーニャ、頼む」

「えっと! 分かった!」


「とりあえずこれで……5分くらい置いとくか」

「マホウノミズ タブン ソノクライデ キエルゼ」

「そっか、消えるんだったな。確認しやすくて便利だ」




「!? アキラさん、何かすごいドンドン言ってますよ!」

「やっぱり泳いで来やがったか!」

「大した肺活量ね……、流石は魔物ってとこかしら」

「本当、おぞましいぜ……。この音が止んで2分くらい経ったら開けてみようか」

「…………楽しみ」




「……よし! サーニャ、開けてみてくれ」

「分かった! えいっ!」


 地鳴りと共に口を開ける入口。

 そこに倒れ伏す、一匹の魔物。


「ガフラス……お前自分の事、無敵だとか言ってたな。何故こうなったか、分かるか?」

「……………………」

俺の(・・)エルフの里に手を出したからだ! 地獄で詫び続けるんだな!! お前が(・・・)殺したエルフ達に!!!」


「えっ! 皆は!? 死んじゃったの!?」

「サーニャ……、これは仕方の無い犠牲なのよ」

「…………私も、目の前で故郷、爆発した」


「そんな……! お母さん! お婆ちゃん! うわああああぁぁっ!!」

「許せねぇ……、こんな幼いエルフを悲しませやがって! こんなむごい殺し方で! 命を(もてあそ)んで!!」


 サーニャの慟哭は、どこまでも響き渡った。

 世界のどこかにいる同族達に、この悲劇を伝えるかの様に。



「これも全ては……魔王ッ! 貴様のせいだッ!!」



 泣き疲れた後に訪れる静寂は、エルフ達の魂を悼むかの様に……。



「許さんぞッ!!! 魔王ッ!!!」



 翌朝。新たな仲間を加え、アキラ達は再び東へと飛び立つのであった。


 最初はサーニャ含め全滅させる予定でしたが、書いてて思いの外キャラが立ったので生かしてあげました。やったね!

 その分、書きたかったエルフ達がぷかーっと浮いてるシーンとかは泣く泣くカット。ションボリ。

 そう言えば、それ目的で隠れ里を地下にしたり敵の能力決めたりしたんだっけ。うーん。

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