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第9話 そして、鬼になる

「ほう?この私をお前如きが殺す?笑わせるな。」

確かにチャナカドゥ……お前からすればふざけた話だよな。

前回、お前はお遊びだったのにボコボコにされた俺が今度はお前を殺すと言ったんだ。

滑稽でしょうがないだろう。

ただなぁ、俺は本気だ。

「やってやるよ。お前を全力で殺ってやる!」

「待ってよ!待ってよシズキ!チャナカドゥ様は守り神なんだよ!」

「あいつを目の前にすりゃお前だってわかってるだろ?あれは、守り神なんかじゃない。英雄でもない。怪物なんだよ。」

今目の前にいるこいつは危険な怪物で、俺はこいつを殺さなきゃならない。

「待って。それでも危ないよ、シズキ……死んじゃうかもよ?」

「大丈夫、勝つから……な?行ってくる。」

俺は1本前へ出て止まる

「言い忘れてた。……コロナ、俺もお前が好きだ。」

俺はそう言い残し鬼神[刃]解放をし、チャナカドゥの方へ走る。

終わらせてやるよ、チャナカドゥ!!


×××


『鬼神[心]覚醒はここぞという時に使いたい、それにあれは隙だらけになるからな、使うタイミングを間違えればいたぶられるだけだ。』

そう、鬼殺しに言われた。ようするにチャンスはそうない。

だが、俺は。

鬼神[刃]解放で終わらす予定だ。

「何をしたか知らんが、身体能力はかなりあがってますね、反射能力も格段に。」

そりゃそうだ。鬼神[心]覚醒で身体能力を格段に上げられる事で反射的に基礎能力も少しそれに近付いたってだけだ。

まぁ、こいつはまだ鬼神[心]覚醒すら知らないんだろうけどな。

それに鬼神[刃]解放でもほぼ互角……これは余裕だな。

ただ奴の能力が未だにわからない。

それが怖いとこでもある。

「腕をあげたのは確かなようだ。そろそろ能力も使ってやる。だが勘違いするなよ?私の本気はその先だ。」

能力が本気じゃねぇのか!?

じゃあどのみち鬼神[心]覚醒は必要って事だな。

そして、あの時と同じようにチャナカドゥは高速で俺に接近してきた。

これと重みのあるパンチ、それだけなら単純な身体能力の強化だったんだがな。

奴に殴られた時、その衝撃が同時に2発だったのを俺は忘れない。

奴の能力は単純な身体能力の強化(・・・・・・・・・・)ではない。

俺はチャナカドゥの接近に対応し、鬼殺しで防御をする。

「ほう?これに反応できるようにはなったのか。」

そう言い、俺と距離を取るチャナカドゥはフォームを変えた。

「魔力効率が悪くなっから使わない気でいたが。状況が変わった、こっちのフォームでやってやるよ。」

フォームで変わるのか?それがやつの能力?わからない。いったいなんだ。

ドォンッ

「なっ!?」

さっきよりも早い。いや、比べものにならない。

フォームが変わっただけでこんなにも変わるのか?

いや、焦るな。黒夢 紫月……。

奴はフォームが変わったから早くなったのか?

いいや、違う。

奴は早くなるからフォームを変えたんだ。

ならするべきことは距離を取り、鬼神[刃]解放をするしかない。

『少しは自分で考えられるようになったな。』

当たり前だ。もうお前に頼ってるだけの俺じゃダメなんだ。

「来た!」

俺は猛スピードで近づいてくるチャナカドゥの背中を強く殴り、そのまま離れる。

「くぅ……っ!なんだぁ?怖気付いて逃げちまうのか?」

「ちげぇよ!お前をぶっ殺す!」

「そっちか。」


×××


「よし、いくぜ、鬼神……」

『どうした?』

「そういえばお前って名前あんの?」

『それ、今聞くか?』

俺の中では重要なんだよ。

「あぁ、今だ。」

『ねぇよ。数百年もこの剣の中だぞ?あったって忘れてる。』

「そうか。じゃあ、お前はシズキだ。」

そう、こいつにだって名前くらいな。

『あ!?それは俺がてめぇに───。』

「俺とお前で雫鬼(シズキ)だ。俺だけでもお前だけでもダメなんだ。2人で1人の鬼なんだよ。」

そう強く言うとシズキはわーったよ。と承諾する。

「じゃあ、やるぞ。シズキ。」

『あぁ。……相棒。』

「『鬼神[心]覚醒!!!』」




───そして、俺は再び鬼となる。

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